【レビュー】NVC200をレンズ交換式カメラに改造してみた(超望遠撮影編)

ナイトビジョンカメラNVC200のフィルターユニットを金属製のものに交換することでキヤノンEFレンズが装着できるようになりました。NVC2001/4インチセンサーは35mm換算で10倍の倍率を得られるため、フルサイズ用レンズでは超望遠撮影が可能です。今回はSIGMA APO 70-200mm F2.8を装着して屋外でのテスト撮影です。IRフィルターを装着しての赤外線撮影や暗視撮影にチャレンジです。

なお、NVC200の商品概要や改造方法など詳細については過去動画やブログで詳しく解説しているので、動画概要欄を参照ください。それでは撮影スタートです。

SIGMA 70-200mm

ということで、SIGMA APO 70-200mm F2.8です。F2.8の明るいレンズでAPO 50-500 F4.5-6.3と比べると望遠端では5倍の光量が得られます。

場所を公園に移動してテストです。まずは倍率を確認するために125m先の看板を撮影してみましょう。

三脚にレンズを固定して望遠撮影します。NVC200はレンズが左側に配置されており、右端のシャッターボタンを押すと手ブレが発生しやすい。

広角端70mmだとこんな感じです。

望遠端200mmです。文字もしっかり解像しています。

デジタル5倍ズームです。5倍あたりまでは画質の劣化は少ないです。

デジタル10倍ではノイズは目立つものの、看板の小さな文字まで判読できます。

動画も見ていきます。この日は曇り空でしたがレンズが良いのかきれいに撮れています。

日を改めて晴天の日に赤外線撮影をテストです。マウントアダプターに25mm径のIR700フィルターを装着します。フィルターが可視光をカットするのでセンサーには赤外線光のみを取り込むことができます。

37mm径のフィルターでも大丈夫そうですね。

ガラスを抜いたフィルターを接着剤で固定しておけば簡単に着脱できそうです。

まずはカラーモードで撮影してみました。IRフィルターは一部の可視光を透過するため、カラーモードでも赤外線特有のコントラストで撮影可能です。ただ、透過する赤外線の量は少ないのでシャッタースピードは1/30秒まで落ちます。

ナイトビジョンモードに切り替えるとIRパスフィルターに切り替わります。さらにIRフィルターが可視光をカットするので近赤外線域のみ取り込むことができます。

シャッタースピードは1/8000秒です。NVC200のカメラセンサーは近赤外線域の感度が高いのでIRフィルターを装着した状態でも感度が落ちずノイズの少ない画像を撮影できます。

動画撮影も試してみました。赤外線撮影では可視光がカットされるため衣服の柄や色は映りません。超遠距離から赤外線撮影できるので色んな撮影用途に使えそうです。

暗視撮影

暗視撮影もテストしましょう。望遠端200mm100m先の看板を撮影です。

道路から離れた芝生広場はほぼ真っ暗な環境のためカラーモードではかなりノイズが乗ります。とはいえ2000mm相当の望遠撮影でカラー動画が撮れるのはすごいです。

ナイトビジョンモードに切り替えて、照射範囲が遠いVCSELライトで赤外線を照射するとここまで明るく撮影できます。

デジタル5倍ズームでは小さな文字も判読できます。

デジタル10倍ではここまで拡大できます。

100m先のテーブルにカメラを向けてみました。街灯のある場所ならカラーモードで撮影できます。

デジタル5倍です。1/4インチと小型のセンサーですが高感度できれいに撮影できます。

続いて80m離れたベンチにカメラを向けてみました。光学ズームだけでもここまで寄れます。VCSELライトを併用することでかなり離れた場所からでもきれいに暗視撮影できます。

さらにデジタル5倍ズームを併用すると100mの距離でもここまで拡大できます。

WiFi接続すればスマホアプリでリモート視聴することもできます。画角をチェックするには適していますが、画質が粗く遅延もあるためピント調整せには不向きです。

150mくらい離れていてもVCSELライトの光量は十分届くようです

さらに1.4倍テレコンを装着してみました。280mmになります。35mm換算で2800mm相当になるので、60mの距離なら光学ズームのみでかなり拡大できます。望遠端だと寄りすぎるくらい。

少しワイド側に戻して撮影です。この距離なら850nmのIRライトでも光源はほぼ見えません。広めの公園なら200-300mm程度の倍率で十分ですね。

同じ場所で以前レビューしたNV016SONY2.6倍テレコンを装着してデジタル5倍ズームで撮影するとこんな画角です。光学65mm相当になります。

まとめ

ということで、まとめです。ナイトビジョンカメラNVC200キヤノンEFマウントSIGMA APO 70-200mm F2.8を装着しての望遠撮影をテストしました。公園での撮影なら200-300mm程度のレンズで十分でしょう。100~150m程度離れた場所なら十分拡大して撮影することができます。

NVC200のカメラセンサーは小型1/4インチですが、暗所性能は一般的なデジカメより高性能で、動画撮影も問題なくできます。APO 70-200 F2.81.4倍テレコンを装着するとF値はF4に落ちますがそれでも十分な明るさです。野生動物観察や夜間監視など幅広い用途に対応可能です。

赤外線撮影については内蔵IRライトは50mあたりを照らすように設計されているため長距離では光が拡散します。望遠レンズを使った暗視撮影なら、照射距離の長いVCSELのIRライトが高い効果を得られるでしょう。

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【レビュー】NVC200をレンズ交換式カメラに改造してみた(改造&超望遠撮影編)


前回無事修理を完了したカラーナイトビジョンカメラNVC200ですが。

テレコンを付けるには接着剤で補修したプラスチック製フィルターユニットの強度が不安です。

ということで、今回は よりハードな使用にも耐えられるよう内部パーツの交換にチャレンジです。

AliExpressで見つけた金属製のフィルターユニットを調達し交換します。

合わせてNVC200のレンズ部をCマウントレンズに付け替えての超望遠撮影もテストしてみました。

テスト撮影した動画もアップしているので最後までお楽しみください。

なお、ナイトビジョンカメラNVC200の概要や実写サンプル画像については以前の動画やブログで詳しく紹介しているので、製品に興味のある方は動画概要欄を参照ください。それでは改造スタートです。

動画内で紹介した製品(Amazonリンク)

フィルターユニット交換

前回フィルターユニットの修理でNVC200を分解したことでカメラの内部構造がある程度わかりました。

NVC200のカメラ部はセンサー基板フィルターユニットレンズの組み合わせで構成されます。

壊れたフィルターユニットはCSマウント用の汎用品のようです。新品に交換しようとAliExpressで同種のフィルターユニットを探していたところ。

金属製のフィルターユニットが見つかりました。金属製なら重めのテレコン付けても強度的に大丈夫かなと期待も込めて注文です。フルメタルタイプ451円でした。

届いた商品がこちら。サイドのフィルター切替機構はプラスチック製ですが、センサー基板に固定される箇所はレンズマウントと一体化した金属製です。これなら重めのテレコンを装着しても耐えられるくらいに強度は高まるでしょう。

交換作業スタートです。NVC200レンズユニットの分解方法は前回動画を参照ください。まずはフィルターユニットをカメラセンサー基板にネジで固定して。

レンズを装着して元に戻すだけ。簡単ですね。ところが、組み直したカメラをナイトビジョンモードに切り替えてもIRパスフィルターに切り替わりません。動作音はしていますがどうしてでしょうか。

調べたところ商品説明に画面が赤っぽい色なら赤と黒の配線を入れ替えるようにと書かれていました。配線が逆のようです。

フィルターユニットの配線を左右入れ替えることで正常に動作するようになりました。無事に交換完了です。

これでフィルターユニットの強度はかなり高まりました。前回の修理でレンズ筒周りも補強してあるので、重めのテレコンを付けても大丈夫でしょう。

ネジ交換(※6/30追記)

交換でフィルターユニットは強固になりましたがCマウントレンズ交換時にセンサー基板とフィルターユニットを繋げているネジが外れる場面に何度か遭遇。

固定しているネジが短すぎないかということで交換することに。

使われているのはM2という規格で、ネジ径が2mm、長さが3mmです。少し長めの4mm6mmのネジを調達です。6mmが良さそう。

センサーダストが付いているのでついでにお掃除しておきます。

ダイソーでアルコール綿と綿棒を調達。はじめにアルコールで濡らした綿棒で汚れをとって、乾燥綿棒で仕上げます。

長さ6mmでネジ止めします。

ネジ穴の奥までネジが入るのでしっかり固定されます。これで使用中に外れることもないでしょう。

レンズ交換

NVC200のレンズは焦点距離25mmで、35mm換算250mm相当の倍率です。望遠撮影するならもう少し光学倍率が欲しいところ。

NVC200に使われているレンズは監視カメラなどに使われているCSマウントです。手軽に交換できそうなので、追加で望遠化の改造を施してみることにします。

手元にあったC/CSマウントレンズを装着して倍率や画質など比較してみます。今回テストするのは、

  1. KOWA F2 35mm
  2. ノーブランド 5-50mm 
  3. VICTOR F1.8 12.5-75mm
  4. FUJINON TV.Z F2 12.5-100mm

の4種のレンズです。

テスト撮影してみましょう。オリジナルレンズ(25mm)の画角はこんな感じ。本体レビューでも触れましたが周辺部の解像がイマイチな印象です。この画像をベンチマークにして、各レンズを取り付けて600m離れた東横INNの看板をズーム撮影、比較していきます。

KOWA F2 35mmから見ていきましょう。

画質的には問題なし。周辺部もしっかり解像しており、色味も問題ないです。

レンズは2/3インチ用で、1/4インチセンサーNVC200では中心部の高解像な部分を利用できます。

ただ、35mmでは画角は気持ち大きくなったかなくらいで微妙かな。25mmからわざわざ交換するメリットはないでしょう。

ちなみに、このレンズは絞り羽根が付いておらず、絞りディスクを交換して絞り値を変えるタイプなので、やや使い勝手が悪そうです。

続いては中華製ノーブランドの5-50mmレンズ。監視カメラ用の1/3インチセンサー向けレンズで高倍率な割にコンパクトなのが特徴です。このサイズで35mm換算500mmまでズームできる上、絞りも付いているのはうれしい。

テレ端50mmの画像です。画面中央はしっかり写っていますが、KOWA 35mmと比べると周辺部がぼやけているのが気になります。

オリジナルレンズでデジタル5倍ズームしたものよりは解像感があって画質は良いです。

ただ、50mmならオリジナルレンズにテレコンを装着したほうが画角は上回るので、わざわざ換装するメリットがないかな。

NVC200SONY 2.6倍テレコンを装着した時の焦点距離が65mmなので、それよりは高い倍率が欲しいところ。

ということでより倍率の高いCマウントレンズを装着です。C/CSマウントのネジ径は同じ(25.4mm)ですが、フランジバックの長さが異なります。

フランジバックの短いCSマウントカメラは、CS-Cマウントアダプターを介することでCマウントレンズが使えます。

C-CSアダプターを経由してNVC200にレンズを装着します。それぞれ画質をチェックしていきましょう。

ビクターのレンズはHZ-H8060という型番で焦点距離は12.5-75mm、開放F値F1.8です。

テレ端75mmです。オリジナルのレンズと比べると画面がぼんやりして全体的に解像感が落ちる印象です。

フジノンレンズは望遠端の焦点距離が100mmで、オリジナルレンズ(25mm)の4倍の画角が得られます。

望遠端の100mmですが、こちらも画質はイマイチです。マウントアダプターの精度が悪いのか無限遠でわずかにピントが合いません。古いレンズは今どきの高解像度センサーだと厳しいのかな。

ちなみに、ノーブランドで5-100mmというレンズも見つかりましたが、1/3インチセンサー用で対応解像度も1080Pのため画質的にどうでしょう。5-50mmでも十分な性能だったので試してみる価値はあるかも。お値段は5千円程度。

4K 8MP対応の100mm単焦点レンズが見つかりました。こちらは1インチセンサー用で画質は良さそう。価格が1万円近くするのが悩ましい。

前側には40.5mmネジが切ってあるのでテレコンやフィルターも使えそうです。

予算が許すならKOWA100mm F2.8なんかもよさそうです。

EFレンズ装着

もう少し倍率が欲しいよねということで、SVBONYのWiFiカメラユニットSC001をレビューした時に使ったEOS-Cマウントアダプターも試してみることに。

EOS-CアダプターキヤノンEFレンズCマウントに装着するためのアダプターです。これがうまく機能すればNVC200で各種キヤノンレンズが使えますが。

CSマウントを補強するため55-37ステップダウン37-30ステップダウンを組み合わせてレンズ筒を支持できるようにしました。

ぴったり収まりました。

これならレンズを支えているセンサー基板やフィルターユニットへ加わる力がボディーに固定したフィルターアダプターに分散されます。強度的にもかなり強くなったのでは。


なお、EFレンズは絞りリングが無いので、絞りリングのあるニコンFマウントキヤノンFDマウントレンズのほうが使い勝手は良さそうです。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3を装着です。望遠端では35mm換算で5000mm相当の画角が得られる計算です。


広角端50mmです。シャープな画質です。同じ画角のノーブランド5-50mmのテレ端と比較してみると周辺部までしっかり描写されているのがわかります。

望遠端500mmではネオン管まで視認できるほどきれいに写っています。ISO100でシャッタースピードは1/232秒です。望遠側500mmではf6.3と暗めのレンズですがなんとか使えます。

さらに2倍テレコンを装着です。広角端から。

望遠端だとやや甘いかなという感じではありますが、SSが1/60秒なので手ブレが原因の可能性もあります。

さらにデジタル5倍ズームです。

デジタル10倍です。光学5000mm相当×2倍テレコン×デジタル10倍10万mm相当になるのかな。

夜間撮影

夜間撮影もテストです。600m先のホテルはデジタル5倍を併用すれば室内の様子がわかるくらいに拡大できます。

2倍テレコンはF値も2倍になります。ただ、望遠端ではF12.6まで低下するので、夜間撮影では画質的に厳しいですね。かなりノイズが乗っています。

テレコンを外して900m先のホテルへカメラを向けます。肉眼だとこれくらいの距離感です。

最上階のレストランの様子もよくわかります。

デジタル5倍です。

10倍まで拡大してみました。顔も識別できそうです。

テレコン有無で画質がどう変わるか比較です。テレコンなしではISO 710だったものが、2倍テレコンを装着するとISO 1654まで上がります。ノイズがかなり増えています。

デジタル5倍までは画質の劣化が少なく、室内の様子がわかるくらいに拡大できます。テレビに映っている番組の内容もわかります。

センサー感度が高いので、薄暗い部屋でもなんとか人影が見えます。

赤外線ナイトビジョン撮影もテストです。150m先の建物を撮影です。この距離だと内蔵IRライトは拡散されるためほぼ届きません。

VCSELライトで赤外線を照射すれば、この距離でも明るく映すことができます。

ただ、赤外線光に蚊取り線香のような色ムラが出ているのが気になります。レンズが赤外線撮影に対応していないため、コーティングなどが影響して色ムラが出るようです。

月撮影※6/30追加

2倍テレコンを装着して月を撮影してみました。

1080Pで切り抜くとここまで拡大できます。

まとめ

ということで、まとめです。NVC200のフィルターユニットはプラスチック製のため強度面で不安がありましたが、金属製ユニットに交換することでかなり強度を高めることができました。これで重めのテレコンを装着しても大丈夫です。

交換はネジ止め作業で簡単にできるので、NVC200にテレコンを装着するなら購入時に金属製フィルターユニットに交換しておくのがおすすめです。

Cマウントレンズについては、古いレンズは性能的にいまいちの結果でした。ノーブランドでも今どきの高画素に対応したレンズのほうが良い結果を得られます。

なお、Cマウントレンズはセンサーサイズに合わせて1/3インチ1インチなど各種あります。対応するセンサーサイズが小さいレンズはコンパクトですが、周辺部の画質が悪化するので、そのあたりが気になる人は大きめのレンズがおすすめです。

キヤノンEFレンズを使った超望遠撮影は、とにかく倍率を稼ぎたいという人にはおすすめです。NVC2001/4インチセンサーはフルサイズの10倍の倍率を稼げます。画質はそれなりですが、高感度センサーのためF値の大きい暗めの望遠レンズでも動画撮影できるのは大きなメリットです。

なお、レンズ交換の際はセンサーや内蔵フィルターに埃が付着しやすいのでご注意ください。

次回は70-200mmレンズや1.4倍テレコンを装着して屋外撮影に出かけてみます。いつもの公園でIRフィルターを使った赤外線撮影や超望遠夜間暗視撮影にもチャレンジしています。

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