【レビュー】古い格安テレコンは使える?Panasonic LTZ10をTokina SD400mm F5.6に装着して超望遠・赤外線撮影を検証

1000円台で投げ売りされている古いテレコンは、本当に使い物にならないのでしょうか。今回検証するのは、パナソニックの高級前玉テレコン「LTZ10」。本来は20年以上前のコンパクトデジカメFZ10/FZ20専用として発売された製品ですが、Tokina SD400mm F5.6に装着し、さらにフルサイズ機ソニーα7Sで超望遠撮影を試してみました。

比較対象には、単純クロップ拡大、オリンパス製2倍リアテレコン、さらにLTZ10+2倍リアテレコンの“2段テレコン構成”も投入。画質低下、コントラスト変化、色収差、大気揺らぎまで含めて、実際にどこまで実用になるのかを詳しく検証します。

「古い格安機材で超望遠は成立するのか?」――ヤフオクのジャンク箱から始まった、実験的な赤外線超望遠システムの記録です。

使用機材一覧

Panasonic LTZ10の概要

Panasonic LTZ10は20年以上前に発売されたコンパクトデジカメFZ10/20用の1.5倍テレコンバージョンレンズです。FZ10/FZ20の光学12倍ズーム(420mm相当)に装着すると光学18倍相当(最大630mm F2.8)になります。ズーム全域で明るいF2.8を維持できるのが最大の強みで、当時としては野鳥・スポーツ撮影などで人気がありました。

検証に使用するテレコンは以前、FZ200用に専用アダプターとセットで入手したものです。FZ200に装着すると600mm×1.5倍で35mm換算で900mm相当になります。AFも速く、1080Pではありますが、テレコンを付けてもF2.8通しで動画撮影でき、今でも十分通用するスペックです。

オークションで投げ売り中

LTZ10発売当時の価格は48,000円で、光学性能の評価も高い高級テレコンという位置づけでした。しかし、FZ10/20専用の『64mm』という特殊なネジ径加えて、後玉から取り付け部までズームレンズ繰り出しのため3.5cmほどのスペースがあります。他のカメラへの転用が難しく、現在はオークションで1000円程度(送料別)で投げ売りされています。

TCON-17Xより高画質

LTZ10の本体はアルミ合金製でかなりしっかりした造りです。オリンパスの1.7倍テレコンTCON-17X(左)と比較すると、倍率は1.5倍と劣るものの、レンズ径が大きく、本体もかなりのサイズです。重量は640gで、260gのTCON-17Xよりかなり重くなっています。

LTZ10は前玉径に余裕があり、焦点距離増加に対して有効口径の減少が小さいため、一般的なリアテレコンほど大きなF値低下が起きにくい構造です。以前レビューしたTCON-17Xより画質向上が期待できますがどうでしょうか。

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専用アダプターが必要に

64mm径のLTZ10は、そのままでは取り付けできないので、FZ200専用のアダプターを用います。アダプターは、①64→67mm変換アダプター②スペーサー③67mmオスオス継手リングで構成されますが、今回は特殊径の64mmを一般的な67mmに変換するアダプターのみを使います。

専用アダプターはAmazonで入手できますが、専用品のためお値段高めです。3Dプリンターで72mm径のSD400専用アダプターを制作する方法も考えましたが、重量のあるLTZ10はMJFナイロンでは強度的に厳しそう。かといってアルミで制作となると1万円以上かかりそうなので見送ることに。安く済ませるならLTZ10に67-67mmオスオスアダプターを接着剤で固定するのもありでしょうか(※重量のあるアダプターなので強度的にもつかは不明。自己責任でお願いします。瞬間接着剤は白化を引き起こすのでご注意ください)。

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トキナーSD400mmに装着

オークションで入手した格安400mm単焦点レンズを使っての暗視撮影テスト

レンズは以前レビューしたトキナーSD400mm F5.6を使います。野鳥撮影など携帯性を重視したレンズで、400mm望遠の割に前玉のサイズが小さいのが特長です。SD400mm F5.6の詳しい情報については、以前の記事で使い勝手や画質など詳しくレビューしているのでそちらも参照ください。

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3.5cmの空間の影響は?

72mm径のTokina SD400mmF5.6に装着するため、64-67mm変換アダプターに72-67mmステップダウンリング経由で取り付けます。これで、600mmF5.6単焦点レンズの完成です。

TCON-17Xと比べてレンズ径が大きいので高画質が期待できますが、テレコン後玉とレンズ前玉との間に3.5cmのスペース(ステップダウンリングを含めると4cm)が空くのがどのように画質に影響するかが気になるところです。

かなり大きなテレコンのため撮影には三脚座が必要です。LTZ10付属の専用三脚座に140mmプレートを装着してレンズを支えることができます。付属の三脚座はカメラ固定用のプレートがあるため、径の大きなレンズでは干渉する可能性があります。SD400はぎりぎり装着できました。

LTZ10の三脚座はややかさばるので、キヤノン100mmマクロ用の三脚座ならテレコンの端部にハマります。

互換品でRING A(W) MICR 100mm F2.8という型番です。

端部にぴったりフィットします。金属製なので強度的にも問題なさそう。

同じく互換品のRING A(W)という型番の製品ですがこちらはハマりませんでした。同じ100mmマクロ用の三脚座と思いますが、製品によって微妙にサイズが違うようのなでご注意ください。

LTZ10性能検証

それではSD400mm F5.6にLTZ10を装着してのテスト撮影です。テレコン装着で画質はどの程度低下するでしょうか。ソニーα7Sを使ってフルサイズでの画角&画質を見ていきましょう。

100m先の看板を撮影します。レンズ側の絞りをF11に設定、シャッタースピードを1/200秒に固定して、ISO感度オートで撮影です。画像はJPEGの撮って出しです。まずはテレコンなしから。400mm望遠ですが、フルサイズ機のためかなり遠めです。

デジタル2倍ズームでもこの程度で、大きな文字がなんとか読めるかな程度。

LTZ10を取り付けて撮影するとこのように。1.5倍で600mmです。この日は晴れていましたが、太陽が出たり隠れたりの環境のためテレコンでF値がどう変わるかは検証できませんでした。

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画質については、看板の文字を見ると白フチの分離、細線、コントラストがかなり残っています。このくらいの倍率では大気ゆらぎの影響も軽いです。

弱点もあります。周辺減光気味で、わずかなマゼンタ寄りフリンジ、周辺コントラスト低下に加えて、やや眠いハイライトが残っています。「周辺に向かうほど低コントラスト化」が現れています。周辺部の画質低下はLTZ10とSD400前玉との間の3.5cmのスペースが影響している可能性が高いです。

テレコンなしの画像を、LTZ10と同じ1.5倍に切り抜くとこのように。

2枚の画像から中央看板のピクトグラムを拡大し比較すると、1.5倍切り抜き(左)よりLTZ10のほうがシャープな印象です。中央付近では単純クロップ拡大より有効ですが、“劇的”とはいえません。差は、「お、少し情報増えてる」くらいでしょうか。

弱点も見えます。クロップ拡大と比べると、コントラストの低下、パープルフリンジ、白エッジ肥大、ハロ(エッジ周辺に発生するにじみ状の光の縁取り)の増加が確認できます。特に黒地+白文字部分で顕著です。これはおそらく、LTZ10の倍率色収差と球面収差、フレアの複合に由来します。

また、LTZ10側のほうが細部情報はやや増えて見えるのに、シャキッと見えません。これはMTFの高周波が弱いからです。つまり、低周波コントラスト=残っている、高周波コントラスト=落ちている状態です。その結果、文字は読める、情報は増える、でもキレ味は甘いという古い前玉テレコンらしい挙動です。

さらに面白いのは、LTZ10側は「空気揺らぎ」まで拡大している可能性がある点です。左は単純デジタル拡大なので、元画像以上には空気の乱れを増やしません。しかしLTZ10は実際に光学拡大しているので、大気揺らぎ、微妙なフレア、ピント揺れも同時に拡大します。結果として、「情報量は増えるのに、透明感は増えない」という状態になったようです。超望遠ではよくある現象です。

ただ、総合すると、この比較はLTZ10(右)にかなり有利な結果といえます。

理由は、実情報が増えていることが確認できるからです。もしLTZ10が「単なる低性能拡大系」なら、解像感だけ増え、偽ディテール化して文字内部情報は増えないはずです。しかし今回の検証では、小文字や図形内部に差が見えています。情報量は増えているので、RAW現像で局所コントラストや色収差を補正すれば、見栄えが改善する余地はありそうです。α7Sの12MP、SD400中央部、LTZ10中央部の組み合わせは、まだ光学的意味がある領域です。これは結構重要な結果です。

RAW TherapeeというRAW現像ソフトでコントラストを補正するだけで(右写真)かなり画質が改善しました。フレア由来の白いかすみが取れて、文字の輪郭もシャープになっています。

今回の比較を見る限り、SD400+LTZ10は現代超望遠のキレではありませんが、「古い400mm望遠として普通に成立している」レベルで、かなり実用的といえるでしょう。

2倍リアテレコン

比較用に、OMマウントレンズ用の2倍リアテレコンも用意してみました。TELECONVERTER 2X-Aでヤフオクで1000円前後で手に入ります。200mm F4など明るめのレンズ用テレコンですが、F5.6のSD400mmで実用できるでしょうか。

F5.6のSD400に取り付けると、焦点距離は800mmになりますが、リアテレコンのため光量が低下し、F値は2倍のF11まで暗くなります。

2倍リアテレコンの画像です。

テレコンなしの画像を2倍に拡大したものと比較してみます。オリンパス2倍リアテレコンは完全に無意味ではないですが、かなり厳しい状況です。特に印象的なのは、倍率は増えているが、情報量増加がコントラスト低下にかなり食われている点でしょう。

光学的拡大自体は成立しており、被写体情報そのものは増えています。問題は、“解像”より“コントラスト”です。リアテレコン2倍では、白文字周辺の発光感、紫寄りハロ、黒の締まり低下がかなり増えています。これが、「大きいのにシャープに感じない」原因です。

ただし、この劣化は、「完全な解像喪失」ではなく、「収差とフレアでMTFが低下」している状態です。情報は残っているが、コントラストが潰れているので復元余地があります。RAW現像でうまく補正できれば、単純クロップより有利になる可能性はあります。

総評すると、SD400+2倍リアTCは、情報そのものは増えているが、その情報が低コントラスト化している状態といえます。

LTZ10と比較

リア2倍テレコン(左)とLTZ10とを比較してみます。LTZ10を500%に拡大、2倍リアテレコンを同じサイズに合わせています。リア2倍テレコンは文字のエッジが比較的シャープです。LTZ10は若干甘いですが文字の輪郭は十分維持している印象です。「解像していない」というより、微細コントラストが低下しているように見えます。

リア2倍テレコンは、白文字や色付きラインの周辺でマゼンタやシアンの色収差が目立ちます。LTZ10はコントラストこそ若干低下するものの、色収差の発生は比較的少なく、全体として自然な描写を示しています。

  • 純粋なシャープネス:リア2倍テレコンがやや優勢
  • 色収差:LTZ10が優勢
  • コントラスト:リア2倍テレコンがやや優勢
  • 実用画質:ほぼ互角

という印象です。撮って出しの見栄えはリア2倍テレコンが優勢ですが、マゼンタ/シアンの色収差については、現像ソフトの色収差補正で軽減はできても完全修復は困難なので、最終画質を追い込む素材としてはLTZ10が優勢という評価になります。

LTZ10+2倍リアテレコン

LTZ10と2倍リアテレコンをダブルで装着してみました。

1.5倍×400mm×2倍で1200mmに。100m先の看板をここまで拡大できます。

さらにデジタル2倍ズームです。小さな文字も判読可能になりました。

200m先の人物を撮影するとこのような拡大率です。

意外と使える2段テレコン

さすがに2段テレコンは画質的に厳しいかと思いましたが、撮影した画像を見ると、晴天下であればそれなりに撮れるかなといった印象です。良い点は次のあたりです。

中央解像は意外と残っている

白Tシャツの輪郭や顔のパーツ、帽子の縁などを見ると、完全に崩壊してはいません。α7Sの低画素(12MP)が有利に働いており、レンズ系の限界をセンサーが無理に暴いていない印象です。

ボケが自然

ミラーレンズ系のような暴れ方ではなく、背景の木の溶け方は比較的滑らかで、古い望遠レンズらしい柔らかさがあります。

超望遠特有の圧縮効果が強い

被写体間距離が詰まって見え、立体感があります。公園のスナップなのに舞台を覗いているような画になっています。

フロントテレコン+リアテレコンという、かなり実験的な組み合わせですが、「ちゃんと撮れている」のは、α7Sとの組み合わせが噛み合っているからといえます。もしこれがα7R系の高画素機だったら、周辺崩れ、フレア、色収差、解像不足がもっと露骨に見えていたはずです。

2段テレコンの限界

一方で、限界もかなり見えています。

コントラスト低下が大きい

全体に白っぽいフレアが乗っています。特に木の暗部が締まらず、黒が浮いています。これは、古いTokina SD400+2倍リアテレコン+LTZ10前玉という多数のガラス面による内部反射の影響が大きそうです。

周辺像がかなり甘い

左端の自転車や右端人物を見ると、像流れと滲みがあります。LTZ10の周辺性能限界が強く出ている可能性があります。

色収差・球面収差系のにじみ

白服周辺にわずかなマゼンタ/グリーン方向の滲みがあります。特に高コントラスト境界で顕著です。

大気揺らぎの影響が強い

この焦点距離域だと、昼間は空気の揺らぎでMTFがかなり削られます。被写体の手前に池があることも影響しているでしょうか、画面全体に「少し水越し」のような揺れ感があります。

動画の画質は?

動画も撮影してみました。コントラストが低下し、それなりに画質は悪くなっていますが、使い物にならないというレベルではないです。S-Logで収録して後処理すれば大丈夫でしょうか。

2段テレコンの評価

2段テレコンについて総評すると、「高画質」というより、“実験超望遠システムとしてかなり面白い成功例”でした。特に、古いフォーサーズ望遠+リアテレコン+前玉テレコンをフルサイズα7Sで成立させている点は、かなりマニアックですが独自性があるといえるでしょう。LTZ10、SD400、リアテレコンのいずれも安価に入手できるので、お値段以上の価値はあると感じます。

LTZ10画質を改善させるために

コントラスト低下や黒浮きなど目立つかなという印象のLTZ10ですが、画質を向上させるための改善余地もいくつかあります。

フード強化

LTZ10は迷光に非常に弱いので、深い自作フードはかなり効くと思われます。

晴天下を避ける

早朝・夕方で大気揺らぎを減らすと解像感がかなり改善する可能性があります。

モノクロ化との相性

LTZ10は色収差より輝度解像が勝っているタイプなので、モノクロ化すると急に「味」に変わる可能性があります。赤外線撮影などでも色収差を抑えることができるため、画質改善の効果が期待できます。

LTZ10の位置調整

前玉テレコンは主レンズとの間隔で性能が変わることがあります。数mm単位で像質が変化するケースもあります。3.5cm浮いた状態になることで、「周辺光線の角度ズレ」が発生します。周辺人物や自転車が少し「溶ける」感じになっているのは、この影響がかなりありそうです。

「フレア増加」にも影響しています。迷光反射が起き、しかも古いコーティング同士なので、現代レンズほど反射抑制が強くありません。木陰の黒が締まり切らないのはこれも一因でしょう。

3.5cm空間の影響

さらに重要なのが、「有効補正位置ズレ」です。前玉テレコンは、単純な拡大鏡ではなく、「主レンズの残存収差込み」で設計されています。ところが3.5cm離れると、球面収差、色収差、像面湾曲の補正位置が微妙にズレます。

これにより、LTZ10が「補正装置」ではなく、「追加収差発生装置」に近い動作を始める場合があります。特にSD400のような古い400mm級は、元々ある程度の残存収差を抱えているので、それが増幅されやすいです。

3.5cmのスペースを詰めることで、周辺光線の角度ズレを改善できる可能性があります。ただ、かなり厚みのあるアルミ合金のため工作機械による加工が必要です。素人では敷居が高そうです。

まとめ|意外と健闘したLTZ10

今回の検証では、Panasonic LTZ10は“古い前玉テレコン”としては予想以上に健闘していました。特に中央解像は比較的良好で、単純クロップ拡大より実情報が増えている場面も確認できます。Tokina SD400mm F5.6との組み合わせでは、現代の高性能超望遠レンズのようなシャープさこそありませんが、1000円前後で入手できる中古機材として考えると、十分実用的な画質といえるでしょう。

一方で、周辺コントラスト低下、フレア、色収差、大気揺らぎの影響は大きく、特に2段テレコン構成では「解像力」より「MTF低下との戦い」という印象でした。ただ、RAW現像との相性は悪くなく、モノクロ化や赤外線撮影では色収差の影響を抑えやすいため、意外なほど“味のある画”になりそうです。

注意点として、今回はSD400を開放から2段絞ったF11固定で撮影していますが、F5.6など開放側では、収差で画質が大きく悪化する可能性があります。近日中に天候が安定した状態で絞りと画質の関係や、テレコン装着による光量の変化なども検証予定です。

LTZ10は専用設計ゆえ転用が難しく、現在は中古市場で極端に安価に流通しています。しかし、工夫次第ではフルサイズ機でも十分遊べるポテンシャルを持っていました。最新レンズの性能を追求する記事ではありませんが、「格安オールド機材でどこまで超望遠を成立させられるか」という意味では、かなり面白い実験結果になったと思います。

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