AliExpressでおもしろそうなナイトビジョンカメラを見つけたので入手してみました。商品はNVC200という型番で、超高感度ナイトビジョンセンサーを搭載し最大5K 20fpsのカラー&赤外線暗視撮影ができるという代物です。
スペック的に以前レビューしたNV016と似通っており、カメラスタイルを活かしていろんな場面で高感度カラー撮影と赤外線暗視撮影が楽しめるのではということで購入してみました。NV016やSONY ハンディカム、他のナイトビジョンカメラとも比較しながら暗視性能や赤外線撮影機能を詳しく検証していきます。
【動画内で紹介した製品(Amazonリンク)】
【商品概要】
商品はAliExpressで見つけたナイトビジョンカメラでNVC200という型番です。
SONYのナイトビジョンセンサー搭載を謳い、暗所に強いのが特徴です。高感度センサーを生かしたカラーナイトビジョン撮影に加えて、赤外線光を照射しての暗視撮影にも対応します。
商品説明によると、電子式ではありますが手振れ補正に対応しているようです。NV016には搭載されていない機能ですが、果たして効果はどうでしょう。このあたりも気になります。
NVC200のスペックを見ると、5Kムービーや5200万画素静止画など、NV016とかなり似通っているなという印象です。センサーなど中身は同じものでしょうか。
価格はNV016と比べるとかなりお高いです。コンパクトなカメラボディで使い勝手は良さそうなので、そのあたりに期待して購入してみました。約2万円なり。
なお、似たような商品でNVC100というモデルも。こちらも最大5K撮影ができるようで中身は同じでしょうか。
スペックはNVC200と似ていますが、外観や操作ボタンの有無など若干異なるようです。独立したズームボタンはありません。
【NV016と比較】
NV016とも簡単に比較してみましょう。一番のポイントはサイズ感。本体サイズは14×9×10.5cmで、双眼鏡スタイルのNV016(20×15×7cm)と比べるとコンパクトです。
操作ボタンはNV016の6個に対して、独立したズームボタンなど計10個を搭載し、操作性が向上しています。
スペックを見ると基本的な性能はほぼ同等ですが、カメラレンズはNV016の25mm F1.0 FOV10°に対して、NVC200は50mm F0.8となっています。ただ、FOV(画角)やセンサーサイズが未記載なため、どの程度のズーム倍率が得られるかは不明です。
焦点距離50mmということはセンサーサイズが1/1.8インチなら、35mm換算で250mm相当(FOV10°)となる計算です。これならNV016のスペックに近い数字です。デジタル50倍は光学5倍(250mm)×デジタル10倍ということでしょうか。
NV016と異なる点として、手振れ補正に対応しているのは大きな魅力です。動画撮影時にEISで手ブレを抑えることが期待できますが、実効性は検証が必要です。
【開封してみた】
ということで、注文から1週間で商品は到着です。さっそくチェックしていきましょう。
ムダに立派なケースに入っています。本体よりかなりデカいです。
同梱品は、64GBのマイクロSDカード、ストラップ、USBケーブルなど。説明書は、英語と中国語。
本体サイズは14×9×10.5cmで。
タテヨコはiPhone SEよりひと回り大きいくらい。パナGHシリーズのようなちょっと大きめのミラーレスカメラと同程度のサイズ感です。
ボディの厚みは4cmくらいで、レンズ部を入れると10.5cmになります。
重量の実測値は322グラム。
本体前面には50mm f0.8と記載されたカメラレンズがあり。
その左側のパネルの中に赤外線LEDライトが内蔵されているようです。
赤外線カメラで撮影するとNV016と同タイプのIR LEDが搭載されているのが確認できます。
レンズ下部には赤色レーザーを照射するターゲットポインターが配置されています。
背面は大部分を4インチモニターが占めます。画面サイズは87×49mm。
モニター左側にIRプラス・マイナス、ズームイン・アウトボタンが。
右側には電源スイッチと、モード、メニュー、再生ボタンが配置されています。モニターの上にはLEDが2つあります。
電源はスライド式です。独立した電源スイッチがあるのはうれしいですが、チープでカチッと止まらないのが気になります。電源オンから10秒程度で撮影可能になります。
本体上部にはWiFiオン・オフとシャッターボタンです。
左側面にはマイクロSDカードスロットとUSB Cポートが。付属の64GBカードで6時間近い4K動画を撮影できます。
底面は三脚ネジ穴のみ。バッテリーにはアクセスできないようです。
レンズは直径20mmくらい。フィルターネジは無いので、IRフィルターやテレコンなど装着するには改造が必要です。
LCDのサイズやレンズの大きさなどはNV016と似通っており、カメラセンサーや基板など含めて内部パーツはNV016と同じものを使っているようです。
NV016と比べるとだいぶコンパクトになっています。
デザイン的には、ぱっと見はミラーレスカメラぽいですが、レンズ部のプラスチック感が安っぽいかなという印象です。なお、フードはレンズ筒にしっかり固定されているので、動かすことができません。ピント調整時向きが変わって意味を成しません。
レンズが左寄りなのが気になります。本体中央に持ってきて、IRライトをサイドに寄せたほうが、モニターと光軸が一致して使い勝手は良いと思うのですが。
【メニュー】
操作メニューについて簡単に説明しておきます。メニュー画面はNV016とほぼ同じですが、一部アップデートされているようで若干違いがあります。
NV016では52MPだった静止画最大画素数が96MPになっています。動画は最大5Kですがフレームレートは20fpsに制限されます。
WiFiをオンにするとスマホアプリで映像を確認できます。ドラレコ用のアプリのため、遠隔で録画操作はできますが細かい設定変更には対応しません。WiFi接続中も本体操作は可能でデジタルズーム操作などは画面に反映されます。
Key Toneは操作音のオンオフです。
露出は±2.0EVまで1/3段刻みで補正できます。
ピクチャーインピクチャーでピント合わせ用の拡大画像が画面右上に表示されます。
画面輝度は5段階で変更できます。
Gyro RSCは電子式手ブレ補正です。ただ、この機能をオンにするとデジタルズームが使えなくなります。
メニュー言語は日本語にも対応しています。そのほか詳細はブログやNV016の過去動画を参照ください。
【取扱説明書】
【操作性】
操作性については、NV016よりは使いやすくなった印象。ボタン配置など操作性を考えたデザインです。左手でピント操作をしながら、右手でしっかりカメラ本体をホールドし、シャッター操作できます。
電源やズーム操作に独立したボタンが割り当てられており、NV016のような長押し操作が無くなっているのはうれしい。
気になる点としては、ボタンを押すとカチャカチャとクリック音がうるさい点ですかね。
動画の撮影画面はこんな感じです。左上から撮影モード、メモリ残量、日付、バッテリー、解像度、ズーム倍率の情報が表示されます。
【改造】
近赤外線域の感度が強いセンサーということでIRフィルターやテレコンを付けて撮影したいとこですが、NVC200のレンズにはフードが付いているため、このままでは装着できません。ということで、フィルターアダプター取り付けの改造をしていきましょう。
レンズ先端のフード部はかなりタイトですが、接着されていないので、レンズ下部を押さえてまっすぐ引っ張れば取り外せます。
レンズ筒の内径は27mm前後。
外径は52mmです。
手元にあった28-37mmステップアップリングがちょうどよいサイズ感だったので、こちらを接着剤で固定します。ステップアップリングの固定方法について詳しくは過去動画や記事を参照ください。
ZOMEIのIR760フィルターを装着してみました。これで可視光域をカットした赤外線撮影ができます。フィルターは前側にもネジが切ってあるので、IRフィルターを挟んでテレコンを装着することもできます。
パナソニックの2倍テレコンDMW-GTC1です。85gと軽量なので強度的には大丈夫そう。
SONYの2.6倍テレコンVCL-DH2637だとこんな感じ。132gの金属製テレコンなのでアダプターの接着強度的にちょっと不安ですね
重めのテレコン付けるには強度的にちょっとどうだろうということで、もう少ししっかり固定できる方法を探してみます。レンズ筒の外径は52mmで、55mmメスネジがサイズ的にはよさそう。AliExpressで55mmメスメスアダプターというものを見つけたので注文しました。
何の用途に使うのかは不明ですが、両サイドが55mmメスネジの特殊なアダプターです。
セットしてみたところわずかにルーズです。
37 to 55mmステップダウンがカッチリハマります。ただ、密着箇所が薄いので。
メスメスアダプターとセットにすることで。
NVC200のレンズ筒にピッタリハマりました。レンズ筒の外側にしっかり固定されるので、重量のあるテレコンも大丈夫です。とりあえずはハメておくだけで大丈夫そうですが、接着剤で固定したほうが確実かな。
VCL-2637を取り付けてみました。これなら多少の衝撃を与えても外れることはないでしょう。
【スペック詐称】
NVC200のレンズ直径はNV016と同じ20mmです。撮影した動画の画角も変わらないので、使っているセンサーなど中身はNV016と同じと思ってよいでしょう。
ところで、レンズ口径20mm、焦点距離25mmとなると計算上レンズの明るさを示すf値はf1.25になります。カタログスペックのf0.8とは異なるのが気になります。このあたりも深掘りしてみましょう。
ということで、NVC200にどのようなセンサーが使われているのかを調査です。以前レビューしたNV99Sは1/4インチ800万画素のSC8052というセンサーが使われていました。調べたところSC8052はSmartSens Technology(上海思特威电子科技有限公司)という会社が製造するCMOSイメージセンサーのようです。
NV016の焦点距離は25mmということで、1/4インチセンサーであれば、250mm相当という画角は計算上一致します。また、スペックではレンズの明るさがf1.0となっています。レンズ口径20mmなので焦点距離25mmならf値はf1.25と近い値です。NV016もNV99Sと同等のセンサーが使われていると思ってよいでしょう。
NVC200はどうでしょう。スペックを見るとレンズは焦点距離50mmでf0.8となっています。焦点距離50mmで250mm相当の画角を出すにはセンサーサイズは1/1.8インチということになります。
ただ、1/1.8インチでf0.8だと計算上はレンズ直径が6cmを超えることになります。実際のレンズサイズは3分の1の20mmで矛盾します。やはり、スペックを誇張している可能性が高いです。
結論としてはNVC200はNV016と同じSmartSens Technologyの1/4インチ8MPセンサーSC8052が採用されている可能性が高いです。SONYセンサーや焦点距離50mm、f0.8といったカタログ数値はこの手の商品ではありがちなフェイクです。
【まとめ】
ということで、まとめです。NVC200のカメラユニットはナイトビジョンスコープNV016と同じものが使われているようで、高感度センサーや高輝度赤外線ライトなど基本性能はほぼ同じです。カメラスタイルの外観に加え、本体サイズはかなりコンパクトになりデザインや操作性はだいぶ良くなったかなという印象です。NV016と比べると価格が高いのがマイナス点でしょうか。あとスペック詐称はいただけませんね。
そのほか、簡単な改造でフィルターやテレコンも装着できるので、予算が許すならNV016よりおすすめです。画質など基本的な内容はNV016と同じなのでそちらの過去レビューも参考にしてください。次回はNVC200を使ってテスト撮影です。カラーナイトビジョンや赤外線暗視撮影の性能を詳しく検証します。IRフィルターを使った赤外線撮影やテレコン装着、カラー&赤外線暗視撮影も試してみたのでお楽しみに。
最後までご視聴ありがとうございました。このチャンネルでは赤外線撮影に関する各種話題やレビュー動画をお届けしています。動画アップ時に通知がいくのでチャンネル登録いただけるとうれしいです。
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