前回、単眼鏡スタイルの暗視スコープNVS-20をレビューしましたが、50m以上の超望遠撮影のために、もう少し倍率が欲しいよねということで、光学テレコンを付けれるように改造してみました。37mmフィルターネジを取り付けて、パナソニックの2倍テレコンやニコンの3倍テレコン、赤外線フィルター(IRフィルター)など装着して撮影してみたのでご紹介です。
テレコン撮影は、NVS-20のほかにも、各種カメラに応用できるかと思うので、画質など参考にしてください。果たしてデジカメ用のテレコン装着で望遠画質はどの程度改善するのか。検証スタートです。
なお、今回の動画に登場するテレコンなど各種機材はブログで入手方法など紹介しているので、詳しくは概要欄を参照ください。
【Amazonリンク】
37-30mmステップアップリング(本体取付用)
28-37mmステップダウンリング(ニコンTC-E3ED用)
30-37mmステップダウンリング(ソニーVCL-DH2630/2030用)
【テレコン調達】
今回テレコンを装着する小型ナイトビジョンカメラNVS-20のカメラレンズは直径22mmで、フィルターネジはありません。
このため、パナソニックの2倍テレコンDMW-GTC1を装着するには37mm径のフィルターネジが必要です。
レンズ部の直径は3cm程度。凹凸があるので37mmや39mmのフィルターアダプターはサイズ的に難しそうです。
レンズユニット部分の直径が28mmで、ボディ側のフラットな箇所が31〜32mmです。テレコンや赤外線フィルター(IRフィルター)を使用するには31mm未満のフィルターアダプターを接着剤で固定すればいけそうです。
25-28mmのステップアップリングを置いてみました。ピタッとはまりますが、NVS-20ボディのレンズ周りが斜めになっているので、アダプターをセンサー面に対して水平に配置するのが難しいかな。
30.5-37mmのステップアップリングが見つかりました。これならボディの水平な箇所に固定できそうです。
今回はコニシのウルトラ多用途SUを使います。こちらは完全に固まるまでに24時間程度かかりますが、弾性があってカチカチに固まらず、かつ、きれいに剥がしやすいのが特長です。
なお、アロンアルファなど速乾性の瞬間接着剤は溶剤が気化してボディやレンズに付着すると白化現象を引き起こすのでご注意を。
がっちり固定したい場合は、低白化タイプやUV固化タイプの接着剤がおすすめです。
37-30.5mmフィルターアダプターの取り付け完了です。これでNVS-20に37mm径のフィルターが装着できます。
フィルターネジがあれば、レンズ保護用に市販のレンズキャップも装着できるので、標準仕様にしてほしいですね。
パナソニックの2倍テレコンDMW-GTC1(パナ2倍)を装着してみました。プラスチック製で85gと軽量なので、強度的にも問題なく使用できます。
もう少し倍率が欲しいなということで小径のテレコンを探してみたところ、ニコンの3倍テレコンTC-E3ED(ニコン3倍)が使えそうなので調達です。
こちらは金属製でガラスレンズのためか262gと、かなりの重量です。GTC1の3倍です。
COOLPIX 900シリーズ専用のため、取付径が28mmと特殊です。
28-37mmステップダウンリングを調達しました。
取り付けるとこんな感じ。カメラ本体に対してレンズが大きいかなという気はしますが、強度的には問題なく使用できます。
もう1つ。SONYの2.6倍テレコンVCL-DH2630(ソニー2.6倍)です。Cyber-shot Wシリーズ用のテレコンです。
こちらはやや倍率が落ちますが重量は132gとTC-E3EDの半分です。
こちらも30mmという特殊な径のため、30-37mmステップダウンリングを調達です。
径が小さくNVS-20にピッタリのサイズ感です。カラーがシルバーというのが残念ポイントです。
同じくSONYの2倍テレコンVCL-DH2030(ソニー2倍)です。パナ2倍と同じ85gですが、サイズはこちらのほうが小さいです。
【テスト撮影】
それではテスト撮影です。ソニー2.6倍とソニー2倍、ニコン3倍、パナ2倍の各テレコンを装着して、撮影した画像を比較してみましょう。
撮影場所はいつもの岡山城です。
テレコン無しで撮影するとこのような感じです。デジタル3倍付近と6倍の画質を見ていきます。
なお、前回レビューしたとおり、NVS-20の動画はそのままだとアスペクト比がおかしいので、4K撮影したものをHandbrakeという変換アプリで1440×1080に変換しています。
パナ2倍です。35mm換算で500mm相当です。デジタルズームより画質は良好です。
ニコン3倍です。750mm相当になります。西日が強いため露出オーバー気味ですが画質は問題ないです。
ソニー2.6倍です。650mm相当です。
ソニー2倍です。500mm相当です。
設定がオートで、曇り空のため太陽が出たり隠れたりで厳密な比較ができませんが、いずれも満足のクオリティです。やはりデジタルズームよりは光学テレコンを付けたほうが画質的に有利ですね。
続いては、250m先の橋を超望遠撮影します。
画面中央の看板を6倍デジタルズームで撮影します。
この看板を250m離れた場所から撮影してどの程度映るのかを見ていきましょう。
テレコン無しです。全体的にのっぺりした感じです。看板の文字も潰れていますね。
ソニー2倍です。看板手前の鉄骨のサビがきれいに見えてきました。看板の赤丸もしっかり解像しています。
ソニー2.6倍です。文字の輪郭がぼんやり見えてきました。
ニコン3倍です。かなりハッキリと見えてきました。さすがに看板の文字は読めませんが、あとひと息のところまできています。
ついでに赤外線撮影も試してみました。ZOMEIのIR 760フィルター(37mm)を装着して撮影です。
問題なく撮影できますね。これで赤外線域のみを取り込む特殊撮影することができます。フィルター前側には同じ37mmのネジが切ってあるのでテレコンの間に挟んで超望遠で赤外線撮影することもできます。赤外線撮影について詳しくは過去の動画を参照ください。
【夜間撮影】
夜間撮影も試してみました。85m離れた対岸のスワンボートを撮影します。スマホカメラで撮ると、このような感じ。肉眼ではほとんど見えない環境です。パナ2倍、ソニー2.6倍、ニコン3倍で比較してみましょう。等倍とデジタル6倍の画像です。
まずはテレコンなしから。スワンボートのお尻にあるAの文字にピントを合わせて撮影します。テレコンなしでは文字は読めません。
パナ2倍です。形は見えてきましたがAの文字が潰れており、やや解像感に欠けます。
ソニー2.6倍です。Aの文字がきれいに解像しています。小さなボディの割になかなかの性能です。
ニコン3倍です。倍率は申し分ないですが、ややシャープさに欠けますかね。静止画を比較してみるとソニー2.6倍のほうが解像感がある印象です。
【まとめ】
ということで、まとめです。今回はパナ2倍、ソニー2倍、2.6倍、ニコン3倍の4種のテレコンを試してみましたが、いずれも性能的には問題なし。
ただ、NVS-20にニコン3倍はサイズと重量が微妙な感じではあります。ソニー2.6倍と比べると重量の割に画質がイマイチな印象です。
後日、詳しく紹介しますが今回紹介したテレコンをハンディカムHDR-AX55に装着したところ、原因は不明ですがニコン3倍だけ画質がイマイチな場面がありました。撮影環境によっては全体的に白くボヤケるようです。
そのあたりも含めて、画質、サイズなどトータルでソニー2.6倍がオススメですかね。いずれのレンズも販売終了していますが、メルカリなど安ければ2000円程度で手に入ります。
なお、今回入手したテレコンはいずれもメルカリで購入しました。ニコンTC-E3EDは1580円。
SONY DH2630は1658円、DH2030は1200円でした。取付径が特殊なためか比較的安価に入手できます。Amazonでも中古商品の取扱いがありますが、ちょっと高いです。
ちなみに、今回はZOMEIの赤外線フィルターを装着するため37mm径のフィルターアダプターを選択しましたが、VCL-DH2630やVCL-DH2030を使うなら30mm径のフィルターアダプターでもよいでしょう。
AliExpressで30mm径の赤外線フィルターも販売されているので、赤外線撮影も可能です。
ということで、NVS-20でのテレコンテストでしたが、次回は今回紹介したテレコンのほか、オリンパスの1.7倍テレコンTCON-17を加えた4種のテレコンをSONYハンディカム HDR-AX55に取り付けて、ナイトショット画質比較にチャレンジします。動画アップ時に通知をお届けできるのでチャンネル登録といいねいただけるとうれしいです。