ということで、きょうはペン型カメラの話題です。少し前の話ですが、地元岡山でニュースになった医師の健康診断盗撮事件を調べてみました。小学校や中学校の健康診断で、ペン型カメラを使って児童生徒の裸を盗撮した事件です。ニュースの映像から、医師が犯罪に使ったとみられるペン型カメラがAmazonで販売されているのを見つけたので、実際に入手して、動画撮影機能など、詳しく調べてみました。果たして、どのような手口で犯行はおこなわれたのか、検証スタートです。
【事件概要】
事件は2020年5月、京都市内で性風俗サービスを利用した際に女性を盗撮した疑いで、岡山市の開業医の男が任意で取り調べを受けたことから始まります。
医師はホテルにデリヘル嬢を呼んだ際の様子を、ペン型のカメラで隠し撮りしていたのが見つかり、警察に通報されたようです。
警察がペン型カメラを押収、解析したところ、デリヘル嬢盗撮動画のほかに、定期健康診断の小学校女児や中学女子生徒の下着姿など、40人以上の盗撮動画を確認したということです。
逮捕された医師は、岡山市内で小中学校の校医をしており、健康診断中にペン型カメラを胸ポケットに差した状態で、児童・生徒が裸になった様子を動画撮影していたとみられています。
この医師は、遅くとも2015年から、性風俗サービスを利用する際に常習的に盗撮を行っていたことがわかっています。そのほかにも、学校医を務める小学校や中学校の検診で盗撮行為を繰り返していたようです。
【カメラを入手】
地元のニュースなので、興味深く見ていたところ、犯行に使用されたペン型カメラの映像が見つかりました。
調べてみると、Amazonで外観がまったく同じ商品が販売されていたので、検証用に注文してみることにしました。価格は3,199円です。
同梱品は、このような感じです。詳しい使用法を記した日本語の説明書がついています。
USB Type Aの延長ケーブルです。内蔵バッテリーに充電する際に使います。
Micro SDリーダーと替芯5本、プラスドライバーです。ドライバーは、替芯を交換するときに使うようです。
サイズ感はこんな感じです。ボールペンにしては太くて、悪目立ちしますね。部長ぐらいの役職の人が持ちそうな雰囲気です。
先端を回すとペン先が出てきて、ボールペンとして文字を書くこともできます。
クリップの上にカメラのレンズがあります。パッと見では気づきません。
拡大するとこんな感じです。レンズが覗いているのが見えますね。
秘匿性は極めて高く、よほど注意しなければカメラに気づかれないでしょう。
ペン先を外すと中からUSB端子が出てきます。クリップ側にカメラとバッテリーが仕込まれています。
USB Type A端子です。一般的なUSBポートに接続できます。
裏面はMicro SDカード(TFカード)スロットになっています。
付属のUSBケーブルで電源につなげて充電します。パソコンのUSB端子に挿し込むと外部ストレージとして認識されるので、直接SDカードを閲覧することもできます。
【テスト撮影】
USB端子の下側に撮影モードスイッチがあります。モード1は録音と静止画撮影で、モード2はビデオ録画です。
ビデオ録画(モード2)は、電源ボタンを長押しすると電源が入り、青色LEDが3回点滅後に消灯で、録画がスタートします。撮影終了時は、録画ボタンを1回単押しすると、黄色LEDが点滅します。
浴室でテスト撮影してみました。暗所には弱いようで、室内だとかなりノイズがのりますね。今どきのスマホカメラと比べると画角も狭いです。
犯人は、ホテルでデリヘル嬢をこっそり撮影していたようですが、検証動画を見た感じでは、薄暗い部屋だとそんなにきれいに撮れないのではと思います。
撮影データを見ると、記録サイズはフルHDの1920×1080 30fpsです。10分ごとにファイルが分割されて、1動画あたりのファイルサイズは1.8GB程度でした。
【屋外撮影】
屋外でも撮影してみました。写真のようにポケットに入れて歩いてみました。胸ポケットだと画角が安定しないし、揺れやすいので、なかなか狙ったとおりには撮影できません。カバンなどに固定したほうが撮影しやすいかもしれませんね。
こんな使い方をするやつもいたようです。余談ですが、京都府警はこの手の犯罪取り締まりに力を入れているようで、ニュースで目にすることが多いです。
歩きながら家電店内で撮影してみました。やはり、今どきのスマホ動画などと比べると、暗所耐性が低いようで、室内では微妙な画質です。望遠寄りなので手ブレも目立ちますね。晴天下ならもう少しきれいな画が撮れるでしょうか。
カフェで固定して撮影してみましたが、ノイズは多いですね。10年前のカメラのような画質です。画質に拘る人には向かないでしょう。まあ値段が値段なので、こんなものなのかな。
録画を始めた状態で放置しておいたら、80分で止まっていました。内蔵バッテリーの持ちは1時間10〜20分ってとこでしょうか。ストレージの使用量は13.6GBでした。
なお、モバイルバッテリーを繋げるとすぐに充電が始まるので、外部電源を供給した状態では撮影はできないようです。
【UVC対応】
パソコンに繋げて、録画配信アプリのOBSを起動したところ、UVC(USB Video Class)機器として認識されました。パソコンやスマホに接続して、OBSやUSB Cameraなど、UVC対応の録画アプリで録画することもできます。
UVCでデバイスのプロパティを見たところ、解像度は1280×960となっています。センサーは960Pで、録画時にソフトウェアで1080Pにアップスケールしているようですね。
試しに、AndroidのUSB Cameraアプリに繋げてみました。スマホストレージにもビデオ録画できました。これなら、電源はスマホから供給されるので、バッテリーの残り時間を気にしなくてもいいですね。
【まとめ】
ということで、まとめです。ざっくり使ってみた感じでは、操作が簡単で扱いやすいカメラです。秘匿性も高いので、こっそり撮影するにはもってこいのカメラでしょう。
ただ、カメラセンサーの品質はよくないので、室内で撮影するには、今ひとつな画質です。比較的光量の大きい場所でもかなりノイズが乗っているので、薄暗い室内だとノイズだらけできれいには映らないです。
まあ、こんなカメラを手に入れたら、あんなシーンやこんなシーンを隠し撮りしてみたくなる気持ちはわからなくもないです。このようなカメラが安価で手軽に購入できるAmazonなど販売業者側にも問題があるような気はしますが。
ネットで調べたところ、ペン型カメラを使った盗撮事件報道が山のように出てきました。ニュースで報道されているのは、主に医療関係者や公務員などですが、報道されない一般の事案を含むと、かなりの検挙数になるのではないでしょうか。
ちなみに、逮捕された医師は、その後に起訴され、懲役2年6ヶ月、執行猶予4年の有罪判決がくだされています。逮捕時に氏名や顔写真も公表され、開業医として経営していたクリニックも現在は他人の手に渡っています。盗撮発覚で社会的地位を失ったようです。ご愁傷さま。
なお、今回の動画は、犯罪抑止の観点から事件の裏側を検証したもので、懸命な視聴者の皆さんは、この動画に触発されて盗撮に手を染めることのないようご注意ください。アフィリエイト目的で購入リンクは貼っておきますが、こういう商品は買ったら使いたくなるので購入はおすすめしません。捕まったら人生詰みますよ。注意はしましたからね。
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