3年に一度、瀬戸内海の島々を舞台に開催されるアートの祭典、瀬戸内国際芸術祭2022で直島へ行ってきたのでレビューです。効率的に回れるおすすめルートなどもご紹介します。所要時間など含めた瀬戸内国際芸術祭2022全体のざっくり解説はこちら。
【混雑状況】
訪問したのは、ゴールデンウィークの前日、平日の4月27日(木)です。今年はコロナの影響もあって人出が少なく、人気の直島でもかなり空いてましたね。杉本博司ギャラリー、南寺など当日予約で余裕。過去何度か行ったことのあるベネッセハウス、地中美術館は行程から外しましたが(※地中美術館ナイトプログラムレビューはこちら)、なかなか予約の取れないきんざも含めて1日ですべて回ることができました。さすがに会期中の土日祝は混雑すると思いますが、インバウンドの外国人観光客がほとんどいないので、平日はかなり空いてます。例年の混雑状況を考えると狙い目ですよ。
【事前準備】
まず、お伝えしておきたいことですが、直島島内の施設は地中美術館はじめ基本的には月曜日が休館(※月曜日が祝日の場合は火曜日)です。開館カレンダーで行きたい日に美術館がやってるかを確認しましょう。美術館が休みの日は飲食店等も大部分が営業していません。行っても何もすることないです。
日程決まったら、事前の準備としては、まず、瀬戸内国際芸術祭の公式アプリ瀬戸芸デジパスをスマホにインストール。これで全作品の大まかな概要がわかります。書店で売っている公式ガイドブックは重くてジャマになるだけで必要ないかな。買うならKindle版のある地球の歩き方の直島ガイドあたりがおすすめ。
続いて、パスポートを購入です。今回からスマホで入場できるデジタルパスポートが導入されています(※紙のパスポートもあります)。春、夏、秋の3シーズンパスポートで5千円。そのほか、会期限定(4,200円)や1デイ(1,800円)、2デイパスポート(3,200円)も用意されています。
パスポートがあればベネッセハウスやANDO MUSIUM、家プロジェクトなど普段は有料の施設にも無料で入れてオトク(※会期中各1回のみ。後述の有料施設を除く)。ベネッセハウス入場料だけでも1,300円なので、直島回るなら1 デイパス買っといたほうがよいです。写真のようにアプリ上にパスポートの表示がある施設はパスポートで入場ができます。
合わせて、ベネッセのサイトから事前予約が必要な施設を押さえておきましょう。
直島で事前予約が必要なのは、
- 地中美術館(2,100円)
- 杉本博司ギャラリー 時の回廊(1,500円)
- 家プロジェクト「きんざ」(520円)
の3箇所です。特にきんざは15分一組貸し切りで枠が少ない。いずれも時間指定制なので、スケジュール決まったら早めの予約をおすすめします。豊島へ足を伸ばす人は豊島美術館の予約もお忘れなく。
地中美術館については、各種鑑賞プログラムが用意されているので、参加する人は合わせて予約しておきましょう。
- オープンスカイ・ナイトプログラ厶(毎週金・土)
- 夏の特別ツアー(7,8月の金曜日)
- 地中ミニツアー(毎週火・木・日※木は瀬戸芸会期中のみ)
- 地中トークガイドツアー(毎週火・日※瀬戸芸会期中は無し)
- プライベートツアー(22年11/8〜)
- 団体鑑賞(9名以上)
なお、土日祝など混雑していて予約が取れない場合でも、地中美術館については、チケットセンターで年間パスポート(10,500円)を購入すれば予約無しでスルっと入場できますよ。
そのほか、ベネッセハウスミュージアムなどは予約不要。直接現地に行けばオッケーです。家プロジェクトの南寺だけはなぜか当日に現地の本村ラウンジ&アーカイブで整理券を調達する必要がありです。
レンタルサイクルを利用する人は早めの事前予約がオススメ。台数は限られているので、土日祝など繁忙期はすぐ無くなります。
【持参するもの】
会場はスマホ画面のQRコードを提示しての入場になるのでスマホは必須(※今年はデジパスのためかスマホの忘れ物が多いらしいです。ご注意を)。電池切れになったら悲惨なので、モバイルバッテリーも用意しましょう。
あと、バス移動はSuicaとか使えないので100円玉がある程度必要(まあ、無ければ自販機でジュース買えばいいですが)。時間節約するなら宇野駅前のコンビニでおにぎり買っとくのもおすすめです。直島にもセブンイレブンが1店舗ありますが、地元住民用で港から離れたとこにあるので徒歩だと利用しにくいです。
加えて、銭湯I ♥ 湯に入るならタオルや着替えですかね。一応、現地でオリジナルタオル、Tシャツ、パンツ(下着)は販売してます。あと、ポスターで現地のジジババがかけてた黄や赤フレームのサングラスがあると映えます。そのほか、帽子、日傘、日焼け止め、虫よけetc。女木島など島によっては靴を脱いで入場する施設が多いので脱ぎ履きしやすい靴がおすすめです。
【アクセス】
今回は岡山市内からのアクセスだったので、岡山駅発宇野港からのルートを紹介。JR宇野線か両備の特急バスで、岡山駅から宇野駅(宇野港)になります。どちらも本数が少なく、特にJRだと岡山駅発の直通便は宇野駅の到着時刻が、7:26、8:25など、フェリーが出港(7:20、8:22)した直後に着くのでかなり時間をロスします。なお、宇野線については、茶屋町駅始発の便もあるので、岡山駅から瀬戸大橋線で茶屋町駅まで行き、乗り換えるパターンも調べておきましょう。
バス便については、両備バスの玉野渋川特急線だと宇野港8:02、8:58(土日祝8:15、9:08)着の便が、その他に通常の路線バスもあるので便数は多いです。路線バスでも1時間ちょいなので時間的にはJRと大差無いです。フェリーとの乗り継ぎはバスのほうがスムーズかな。
県外からなら宇野港周辺にホテル予約しておくのがおすすめ(※玉野競輪ホテルレビューはこちら)。高松からだと、フェリーの最終便が17:00(高速船は最終19:45)と早めなので直島、豊島、小豆島など東部を回るなら宇野港起点が便利です。直島泊については、島内は夜遊ぶ場所皆無なのでベネッセハウスなど除けば時間を持て余すかも。
直島への船便は1時間に1本の割合で、30分前から乗船券の発売が開始され、定員になると乗れなくなります。ネット予約等はできません。
注意点① フェリーと旅客船は、それぞれ乗り場&乗船券の販売場所が異なります。どちらも宇野駅から徒歩3〜5分程度の場所です。
注意点② 混雑時は整理券が必要になる場合があります。瀬戸芸期間中の土日祝など、繁忙期は増便されることもありますが、乗船できるのは早いもの順。平日でも夕方16-17時あたりの便は利用者が集中するので結構混んでます。特に定員の少ない旅客船は早めに並ぶのがおすすめ。乗船券販売は30分前からですが、整理券はそれより前から配布されています。30分前に行っても乗船できない可能性もあります。あと、往復券を買っていても整理券がないと乗れません。ご注意を。
ちなみに、ほとんどの施設・展示は朝10時スタート(※地中美術館など一部は繁忙期、9時開館する日もあります。開館カレンダーで確認ください)なので、気合入れて早朝から島内に入っても屋外展示以外は見るとこないですよ。
【海の駅なおしま】
直島の玄関口宮ノ浦港にあるのが海の駅なおしまです。金沢21世紀美術館と同じSANAA(妹島和世・西沢立衛)の設計ですね。ほとんどの人がこちらが旅の起点になります。港は本村と風戸にもあるので間違えないように。
海の駅なおしまには、お土産店・ショップやカフェ、トイレ、町営バス停etcがあります。掲示板には美術館の予約状況も掲示されているので情報チェックしときましょう。
数は少ないですがコインロッカー(小・中・大、300〜500円)もあるので大きな荷物はこちらへ。空きがないときは近くのレンタルサイクル店でも預かってもらえます(有料1個500円)。
【エリアマップ】
レンタルサイクル屋さんの提供してるエリアマップで見た直島全体図はこんな感じ。大きく、①宮浦②本村③ベネッセアートサイトーの3地区に分かれています。島の北部は三菱マテリアルの工場なので一般人が立ち入ることはないです。
【移動手段】
島内の移動は、町営バス(100円)か自転車ですね。宮ノ浦〜本村〜つつじ荘と拠点間の移動はバスなら5分、自転車でも15分程度。歩けば30〜40分ぐらいの距離なので元気と時間のある人は徒歩もおすすめです。なお、フェリーに車を乗せれば自家用車で移動できますが、ベネッセアートサイト内は一般車両進入禁止(系列ホテル宿泊者を除く)なので、わざわざ車を持ち込むメリットは少ないです。車で来るなら宇野港に置いていったほうがよいですかね(24時間500円が相場)。
島内は起伏が多く、バス移動が楽ちんですが、いかんせん本数少ない上、ベネッセアートサイト内は町営バスが入れないため、つつじ荘で乗り換えになるし、便によっては乗り継ぎに30分待ちとかあるのが煩わしいです。となると、効率よく回るなら、やはり電動自転車や原付バイクが便利かなと(※アートサイト内は自転車も入れません)。
直島南部のベネッセアートサイト内(地中美術館〜ベネッセハウス界隈)の移動については、無料シャトルバスもしくは徒歩での移動になります。混雑時は増便があるようですが、通常は便が30分に1本(※12〜13時の間は便なし)とかなので、町営バスとシャトルバスの乗り継ぎを調べておいたほうがいいですよ。
おすすめのルートは、①つつじ荘まで自転車で行き、シャトルバスに乗り換えたら、一気に李禹煥美術館・ヴァレーギャラリー前まで。そこから徒歩でベネッセハウス方面へ戻ると下り坂で歩きやすいです。地中美術館へはつつじ荘から町道が繋がっているので、電動自転車で坂を登って行き、鑑賞終わったら宮浦港方面へ下り坂を抜けるのがよいでしょう。
もしくは、②アートサイト北側の駐輪場に自転車を止めて、北側入口からベネッセハウス方面へ徒歩で下って行くルート。つつじ荘から町営バスもしくはシャトルバスで戻れます。③つつじ荘から徒歩で地中美術館方面へは急な上り坂を歩くことになるのでご注意ください。
【鑑賞時間】
鑑賞時間は、李禹煥美術館、ANDO MUSIUM、ヴァレーギャラリーなどはそれぞれ20〜30分見とけば大丈夫です。
杉本博司ギャラリーについては、鑑賞料にお茶と和菓子が含まれているのでお茶休憩と敷地内散策も含めて1時間ぐらい。家プロジェクトの展示は各10〜15分程度、ベネッセハウスミュージアム1時間、地中美術館(含む地中カフェでの休憩)1.5〜2時間て感じですかね。
ただし、ベネッセアートサイト内に点在する作品群を見るなら歩きながらになるので、全部見ようと思えばプラス2時間ぐらいは必要かもです。
エリア別にざっくりまとめると、本村が3時間半(含む昼食)、宮ノ浦が2時間(※I Love 湯での入浴含む)、ベネッセアートサイトが3〜4時間で、プラス地中美術館が1〜2時間程度。拠点間の移動はバスで5-10分程度なので、平日ならきっちりスケジュールを組めば1日で回れるかな。
開館時間は本村エリアが10:00-16:30、宮ノ浦エリアのI ♥ 湯が13:00-21:00、ベネッセアートサイトは、
- 杉本博司ギャラリー 10:00-15:00
- ヴァレーギャラリー 9:30-16:00
- 李禹煥美術館 10:00-18:00
- 地中美術館 10:00-18:00(金土はナイトプログラムあり※要予約&別途1000円必要)
- ベネッセハウスミュージアム 10:00-21:00
となっています(※繁忙期など9時開館の日があります。※10~2月は地中美術館など一部閉館時間が1時間繰り上がります)。
銭湯のI ♥湯は開館時間が13:00〜21:00。13:00〜15:50は浴室見学のみで、入浴は16:00〜21:00です。昼間の見学時間中は銭湯内での写真撮影できますが、銭湯営業中は施設内撮影不可となります。鑑賞料・入浴料はそれぞれ660円。
【ランチ】
今回はお昼ごはん食べませんでしたが、昔と比べて食事できるお店がたくさんあるので、土日祝はそれなりに混むと思いますが、平日なら混んでいても時間をずらせばそんなに困ることはないでしょう。お店が多いのは本村エリアです。競争が激しいのかベネッセ系の施設を除けば観光地の割にお値段はお手頃。
写真は夏会期初日(金曜)に行った本村のうどん屋さん石井商店。ぶっかけうどん(大)で600円です。
【おみやげ】
おみやげは、帰りに海の駅なおしまでまとめて買うのがいいかな。お店閉まるの18時とか早いのでご注意を。個人的なオススメは、ベネッセハウスやANDO MUSIUMで売ってる安藤忠雄直筆イラスト&サイン入り書籍です。地中美術館など安藤さんの直筆イラスト入り。何種類かあるのでお好みでどうぞ。
あとは、瀬戸内国際芸術祭公式グッズのポストカード(200円)や手ぬぐい(1,100円)なんかも人気みたいです。瀬戸芸グッズは宇野駅や高松港でも購入できます。
7月29日からは、瀬戸内国際芸術祭2022のオリジナルフレーム切手も発売されています。直島町役場横にある直島郵便局をはじめ、香川県、玉野市の各郵便局、岡山中央郵便局などで購入できます。1シート1,330円。
【直島1日プラン】
直島1日プランでスケジュールを組んでみるとこんな感じですかね。8:42宮ノ浦港着を想定。
①朝イチで宮ノ浦の屋外展示を見学。草間彌生 赤かぼちゃ、藤本壮介 直島パヴィリオンなど。ギャラリー六区、The Naoshima Plan「住」は時間外でも外から見れます。
②本村で家プロジェクト&昼食(10-13時)。町営バスで農協前まで行き、本村ラウンジ&アーカイブで南寺の整理券をゲットした上で家プロジェクトを見学しましょう。お昼は本村周辺かつつじ荘のカフェですね。
③午後から、ベネッセアートサイトへ。杉本博司(〜14:00)→ヴァレーギャラリー→李禹煥(〜16:00)→地中美術館(〜18:00)→ベネッセハウス(〜19:00)。開館時間を元に計画するとこのルートですが、天気や予約状況によって入れ替えてもいいかな。ベネッセハウスはショップ・カフェの営業が17:00までなのでご注意を。なお、地中美術館ではナイトプログラム(金土のみ、別途料金必要)もあるので、そちらに参加するなら地中美術館を後回しにするのもありです。
④宮ノ浦に戻って、I ♥ 湯へ。銭湯で1日の疲れを癒やしましょう。ちなみに、13:00〜15:50は浴室見学のみで入浴はできないぽい。ただ、この時間なら内部の写真撮影ができるのはメリット(※詳しくはこちら)。そのほか、赤カボチャなど夜のライトアップを見るのもおすすめです。
宇野港行きのフェリー最終が20時25分発(※高速船は22時5分の便有り)なので、なんとか回れる計算です。あくまで混雑しておらず、予約がすべて取れたときの理想的プランですが、これなら関西方面から日帰り弾丸ツアーも可能ですね。
のんびり回るなら、1泊2日にして、1日目宮ノ浦〜本村〜地中美術館、2日目午前にベネッセアートサイト、午後に豊島を組み込むとか(豊島美術館はオススメです)。人気の南寺も午後3時あたりは比較的空いてるようです。
【総合評価☆☆☆☆☆】
ということで、今回の訪問でやっと直島全施設を回れました。私的オススメ3施設を紹介して終わります。
1位は何と言ってもI♥湯です。昔ながらのスタイルの昭和の銭湯で大竹伸朗の世界観を満喫できます。地元の人たちは普通に銭湯として使っているぐらいアートが日常に溶け込んでいるのがステキです。直島行ったらぜひこちらで入浴することをオススメします。
2位は地中美術館・地中カフェですね。安藤忠雄建築の中でもこちらはスケール感も含めてトップクラス。近つ飛鳥博物館の次に好きかも。展示もさることながら、地中カフェで眺める瀬戸内海の夕日は絶景。天気がよければぜひ訪れてほしい場所です。ジェームスタレルのオープンスカイナイトプログラムもおすすめ。
3位は草間彌生の黄色かぼちゃですね。ざんねんなことに昨年の台風で海に流され壊れたため現在は台座のみで展示されていませんが、やはり直島のシンボルといえばあの黄色かぼちゃなんですよね。復活してほしい。