来週金曜日(8/5)から瀬戸内国際芸術祭2022の夏会期スタートということで、混雑する前に直島の地中美術館とベネッセハウスに行ってきました。ジェームズ・タレルのオープン・スカイ ナイト・プログラムも鑑賞してきたのでそのあたりも詳しくご紹介です。
【アクセス】
直島へのアクセスについては、以前の記事(瀬戸芸直島編)で詳しく紹介しているのでここでは割愛します。ただし、今回はナイト・プログラム鑑賞のため、終了時間の午後8時過ぎに地中美術館から宮浦港へ自力で戻る必要がある点は注意が必要。この時間帯はバスが動いてないので、手段としては自転車(15分)、徒歩(30〜40分)、タクシーになります。レンタサイクルは閉店時間を過ぎているので返却ができません。ということで、今回は自宅から折りたたみ自転車を持参することに。
【折りたたみ自転車】
折りたたみ自転車は以前紹介したルノーのULTRA LIGHTを輪行します。行きは岡山駅から路線バスで宇野港へ向かいました。電車やバスに乗せるときは写真のように完全に袋の中に入ってないとダメぽいです。ダイソーで見つけた330円のナイロンバッグがちょうどいいサイズ感。
【直島散策】
4月に瀬戸芸展示はほぼ見たので、今回は地中美術館とベネッセハウスをのんびり見学できればいいかなぐらいのノリです。KEIRIN HOTEL 10に前泊して、昼から直島へ。自転車の持ち込みは、フェリーの乗船料に加えて手数料片道310円が必要です。袋に入れた状態なら荷物扱いで自転車料金はかからないみたいなので、直島についてから組み立てるほうが安上がりでしたかね。
ナイトプログラム開始の夜7時まで時間あるので、前回見学しそこねた巨大なゴミ箱もうひとつの再⽣ 2005−Nと安藤忠雄の桜の迷宮を見に。こちらの2作品は本村から地中美術館へ抜けるショートカットの道中で、最近オープンした直島旅館 ろ霞を横目に山を登っていくと見つかります。さすがに真夏にノーマル自転車では坂道登るのが厳しい…。徒歩ならバスで地中美術館まで、そこから歩いて10分ぐらいです。
本村港前にあるジェラート屋さんNaoshima Gelatoで休憩。ふらっと寄りましたがキウイとミルクのジェラートおいしかったです。
【地中美術館】
午後3時頃から予約しておいた地中美術館へ。土曜日でしたが、当日予約で余裕でした。地中美術館を訪れるのは15年ぶりぐらいですかね。昔はカメラ持ち込み不可で、荷物をチケットセンターのコインロッカーに預けて行った記憶がありますが、現在はカメラ持ち込みできるみたい。
地中の庭を抜けて美術館に入館します。夏場は美術館入るまでヤブ蚊が多いのでご注意を。
SNSブームの影響でしょうか、現在、玄関からショップ手前までは写真撮影できるようになってます。それにしても安藤忠雄の建築は光の取り込み方が美しいですね。感心。
館内は写真撮影不可なので地中美術館のHPから写真を拝借。ウォルター・デ・マリアの部屋。天井から自然光を採光しており、天気や時間帯によって部屋と作品の雰囲気が変わってくるのが特徴ですね。デ・マリアの作品はベネッセハウス向かいの海岸にもあるので時間があれば立ち寄っていただきたい。
クロード・モネの部屋。四方にモネの絵画が展示されています。こちらも自然光下で鑑賞できます。床には白い大理石のブロック70万個が敷き詰められており、室内空間を白く統一することでモネの作品を引き立てるように計算されているとか。スタッフの制服が真っ白なのもそれが理由らしいです。展示されているモネの睡蓮は2000年代はじめに60億円以上で購入したもので、現在はどれぐらいの価値があるのやら。ちなみに、「現代美術館にモネ?」と疑問を感じた方はこちらの「直島誕生」とい書籍がおすすめ。
ジェームズ・タレルの部屋には3つの作品が展示されていますが、写真はオープンフィールド。階段を登って奥の空間に入ると、LED照明が微妙に変化し、なんとも不思議な感覚に陥ります。混んでいる日は長蛇の列ができていますが、この日は空いていたので1人で楽しめました。オープンスカイは後ほど。
地中美術館を上空から見るとこんな感じになります。写真左下がエントランス。左の四角い吹き抜けの階段を登り、細長い通路を抜けた先にある中央の三角形を囲むように3人の作家の展示スペースが配置されています。瀬戸内海国立公園内にあるため、景観に配慮し建物全体を地中に埋めているのが特徴ですね。
見取り図と比べるとわかりやすいです。三角形隣の細長い四角形の空間がウォルター・デ・マリア室のトップライト。その上のピラミッドがモネ室、上部にある小さな正方形がタレルのオープンスカイです。
地中カフェで休憩。ケーキセットでコーヒーつけて1200円ぐらいだったかな。屋外は撮影オッケーです。飲食しなくても屋外スペースは利用できます。
【ベネッセハウス】
時間があったのでベネッセハウスへ行ってみることに。地中美術館からは、アートサイト北側の入口に自転車置いて徒歩で下って行きます。
入口から徒歩15分ぐらい。ベネッセハウスも15年ぶりですかね。会期外なので瀬戸芸のパスポートは使えません。
こちらの美術館については展示換えをしない方針のようで、15年前と内容はほとんど同じです。一部の作品を除いて写真撮影ができるようになってました。
訪れたのは午後5時過ぎでしたが、カフェやミュージアムショップは閉まってるし、屋外に展示されてる安田侃の天秘なんかは窓閉められてて近くでは見れませんでした。残念。
100%楽しむなら午後2時頃までに入館したほうがよさそうです。ただ、夕日が沈みはじめるこの時間帯は景色がきれいです。
ベネッセハウスの庭にある大竹伸朗のシップヤード・ワークスなどいくつかの作品はガチャになってます。1回500円で海の駅なおしまなどで購入できます。
ずっと気になってたベネッセハウス西側にある浜辺の崖に展示されてた作品ですが。
杉本博司の写真だったのね。ベネッセハウスの展示と連動していたとは。
砂浜の謎のオブジェの正体もわかりました。ベネッセハウスでご確認ください。こちらの砂浜には、文化大混浴から海岸沿いに、もしくは李禹煥美術館から海へ向かって歩いていくとアクセスできます。
【ナイトプログラム】
ということで、本日のメインイベント。ナイトプログラムの詳細について口コミが見つからなかったので当日の流れなど詳しく記載しておきます。地中美術館のナイト・プログラムは美術館の営業終了後、ジェームズ・タレルのオープン・スカイを見学できる特別プログラムです。日没前から日没までの約45分間(※所要時間は約80分)、光の大きく変化する時間帯にタレルの演出する空間を満喫できるのです。毎週金曜と土曜に開催しており、地中美術館ホームページから予約できます。予約したら数時間後に確認メール届いて予約確定となります。支払いは当日チケットセンターにて。なお、鑑賞料1,000円とは別に、当日もしくは翌日の地中美術館のチケットが必要になります(当日昼に地中美術館へ行く人は、受付のときにその旨伝えてください)。
7-8月の毎週金曜日は、夏の特別ツアーも開催しています。閉館後の美術館をスタッフさんが案内してくれます。ナイト・プログラムと合わせて見学できるので、金曜日に行くなら併せて参加するのがおすすめですね。
【注意点】
ナイトプログラムに参加する際の注意点としては、
- 開始時刻が日没時間に合わせて前後する
- 終了時はバスが運行していない
- 吹き抜け空間で天気の影響を受ける
といったあたり。今回のケースだと終了が20:10で、直島泊なら宿泊施設が迎えに来てくれるので問題ないと思いますが、宇野泊や日帰りだと町営バスの運行が終了しており、現地からフェリー乗り場までの移動手段を確保する必要があります(※レンタサイクルは営業終了している)。
また、自転車等を積み込みできるフェリーの最終便が宇野港行で20:25発となっているため、季節によっては車やバイク、自転車だとアウトとな点も厳しい。事前にタクシーを予約しておくのが確実かな。
※注① 自転車等積み込みできない旅客船は22:30の便があります。ただし、岡山駅行きのJR最終便は22:15発で乗れません)。
※注②高松港については最終のフェリーが17:00発、高速旅客船が19:45発で間に合わないです。
なお、吹きさらしの空間で夜空を眺めるプランのため、雨の日だとどうなんでしょうね。天気の影響を受ける点も注意が必要です。
【ナイトプログラムスタート】
ということでナイトプログラムスタートです。まず、お伝えしておきたいことは、集合時間に待合室は使えますが、チケットセンター自体は閉館しているので、ショップは利用できません。自販機無いので飲み物等は買えませんし、トイレも施錠されて使えないので、地中美術館へ向かう前に済ませておきましょう。
プログラムの流れはこんな感じ。開始19時(※集合時間は季節により前後します)の10分前までにチケットセンターに行き、ナイトプログラムの参加費1,000円を現地で支払います。当日もしくは翌日の地中美術館のチケットが別途必要です。夜7時になるとスタッフさんから簡単な説明を受けた上で地中美術館へ移動します。
タレルの部屋へ入るとベンチに座って空を眺めます。吹き抜けの屋外で虫が入ってくるので虫除けスプレーするか(チケットセンターで貸してもらえました)、長袖などで対策しておくのがおすすめ。現地ではブランケットを貸してもらえるので、借りてお尻の下に敷いておきましょう。コンクリートのベンチなので長時間座ってるとお尻結構痛くなります。あとは45分間、夕焼けから夜更けまで空の表情が変わっていくのを眺めるだけ。
【宮浦港へ移動】
無事ナイトプログラムも終わり、宮浦港へ。時間的にフェリー最終便が微妙で、最悪、自転車折りたたんで旅客船かなとも思ってましたが、チケットセンターへ戻ってきたのが20時10分頃で20:25発の宇野港行きフェリー便にギリ間に合いそう。ということで、ダッシュで宮浦港へ。下り坂で10分程度で戻れたのでなんとかフェリー最終便に間に合いました。スケジュール的にはなかなかタイトですね。ちなみに、徒歩だと30〜40分程度でたどり着けるみたいですが、夜中で真っ暗な道なのであまりオススメはできないかも。
【宇野港】
20:40に宇野港へ到着。20:31に岡山行きのJR電車が出たばかりで次の便まで約1時間。最終電車が22:15だったので、宇野駅近くのたまの湯という温泉施設で時間潰すことに。ちょうど前日宿泊した競輪ホテルでもらった岡山観光クーポン2,000円があったので入浴です。入浴料1,900円(土日料金)でちょっと高いですが、まあ、クーポン券捨てるよりマシか。湯上がりに館内で牛乳(170円)飲んで2,070円なり。
この観光クーポン、香川県の直島では使えないでので、たまの湯で使えて助かりました。宇野駅周辺だと夜使えるお店が少ないんですよね。宇野泊で瀬戸芸参加する方は早めに使うことをおすすめします。JR宇野駅構内の観光案内所で瀬戸芸グッズが売ってるので、そこで使うのがいいかな。ただ17時(瀬戸芸期間中は19時)に閉まるのでご注意を。岡山駅構内のお土産屋さんとかなら22時まで営業してます。
ちなみに、たまの湯だと入浴せずに食事だけ(ラストオーダー21時)利用することもできるほか、売店で各種おみやげを買うこともできます。岡山の名産品やお菓子、日本酒なんかも販売してました。入浴料が高いので、お風呂入るよりはここでお土産買うほうがいいかな。
【総合評価☆☆☆☆☆】
ということで、久しぶりの地中美術館&ベネッセハウスに加えての初めてのナイトプログラムの評価は星5つです。ナイトプログラムは、硬いベンチの上でぼんやり45分間空を眺めるだけなので好き嫌い分かれるかな。個人的にはたまにはこんな時間もいいかなと思いました。せっかくオープンスカイを見学するなら、空の色が移り変わるナイトプログラムこそ価値があるようにも思えます。雰囲気的には豊島美術館と似てるかな。あそこのモーニングツアーも参加したいですね。
余談ですが、今回の旅をきっかけに見つけた秋元雄史さんの書籍 直島誕生――過疎化する島で目撃した「現代アートの挑戦」全記録 オススメです。ベネッセアートサイト直島の運営に学芸員として携わり、地中美術館館長を務めた著者の奮闘ぶりか記されています。
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