ナイトビジョンスコープ「NV016」を分解・改造し、フルサイズ用の望遠レンズを装着できるか検証しました。
コンパクトで扱いやすいNVC200に対し、レンズ交換の手間やセンサーダストのリスクを避けるため、NV016を望遠撮影専用機として活用する方針です。
本記事では、内部構造の確認からC/CSマウント化の加工手順、さらにキヤノンEFレンズを装着した実写テストまでを詳しく解説します。2倍テレコンやデジタルズーム併用時の画質変化や光量低下についても検証し、実用性を客観的に評価します。
NV016を望遠専用機として改造する理由
NVC200との使い分けと課題
ナイトビジョンデジカメNVC200を分解・改造することでフルサイズ用の望遠レンズが装着可能になりました。しかしNVC200はスナップ撮影に適したコンパクトさが特徴で、望遠撮影の都度レンズ交換するのは面倒です。レンズ交換作業ではカメラセンサーにダストが付着するリスクもあります。
NV016をベース機に選んだ理由
そこでNV016を望遠撮影専用機として改造し、NVC200で使用したキヤノンEFレンズ用のCマウントアダプターを装着することにしました。NV016にフルサイズ用レンズを装着して超望遠カメラ化していきます。
なお、NV016やNVC200の概要については撮影編、分解&改造編など過去動画で詳しく紹介しています。併せてごらんください。
【動画内で紹介した製品(Amazonリンク)】
- ナイトビジョンスコープ NV016
- EOS-Cマウントアダプター
- NIKON-Cマウントアダプター
- ナイトビジョンカメラNVC200
- VCSEL高輝度赤外線トーチ Alonefire TK504(IR850 / IR940)
NV016の分解と内部構造の確認
前面パネルの取り外しと構成パーツ
それではNV016を分解していきましょう。本体前面のゴムキャップを外すと前面パネルを固定しているネジ穴が現れます。
前面パネルを外すと内部を確認できます。部品が少なくかなり無駄なスペースがあります。
カメラセンサー・IRライト・各ユニットの配置
前面パネルから見ていきましょう。左からカメラセンサー、マイク、レーザーポインター、IRライトが収まっています。
本体上部(画面下)に各種配線が繋がっています。ここにメイン基板があります。
カメラセンサーはフレキシブルケーブルを外せば簡単に取り外せます。
IRライトはプラスチックで溶着固定されており簡単に取り外せません。
レーザーポインターとマイクは簡単に外れました。
ボディ分解とメイン基板の構造
※レンズ改造にはこの作業は必要ありません。
続けてメイン基板にアクセスするためにボディも開けてみることに。ゴム製のLCDフードを外して。
ストラップ金具のプラスネジ4箇所を外します。
内側左右の各3箇所にツメがあるのでスクレーパーを使って天板を外します。
SoC・メモリ・WiFi周りの構成
メイン基板が出てきました。NVC200とは異なり片面にほとんどのチップ類が配置されています。
上の大きなチップはSoC(システムオンチップ)ですが表面が削られているのが確認できました。その下はSECとプリントされているのでサムスン電子のメモリ(4GB)でしょう。
基板上のスイッチ×6個は天板パネルから操作できる構造です。
バッテリー・アンテナ・配線の取り回し
WiFiアンテナが繋がっているのがRealtekのチップです。その下はWinbondというメーカーのフラッシュメモリ(1GB)のようです。
WiFiアンテナは本体側面に両面テープで貼り付けてあります。
上側にはカメラセンサーやLCDなどに繋がる各種配線です。
裏面はTFカードスロット、リセットスイッチ、USB-Cポートとバッテリー配線×2箇所。
バッテリーは1,500mAh×2個です。
メイン基板を本体から外すとこんな感じです。
ディスプレイ構造と筐体の特徴
LCDパネルの構造と仕様
メイン基板を外したディスプレイ部です。
ディスプレイパネルを筐体から外しました。
パネルのメーカーは不明です。
流用筐体の可能性と内部設計
本体内部はなぜかマット仕上げになっています。古い筐体を使い回しているようで、もとの製品は2.4インチのLCDをレンズ裏に配置して、マグニファイア(拡大鏡)で4インチに拡大していたようです。
小型化の余地と改造ポテンシャル
分解後、撮影に必要な最小限のパーツを確認しました。本体サイズは部品に対してかなり大型ですが、改造によりコンパクト化も可能です。3Dプリンターで筐体を製作すれば半分くらいのサイズになりそうです。
レンズユニットの構造とマウント仕様
CSマウント構造と分解時の注意点
ここからが本題です。NV016にCマウントアダプターが装着できるかを確認するためレンズユニットを詳しく見ていきましょう。使われているパーツはNVC200と同じですね。
※レンズユニットの分解作業はセンサーダスト付着のリスクがあります。ご注意ください。
※付着する汚れの種類によってはレンズユニットを分解してのセンサークリーニングが必要になります。
カメラセンサー基板の裏面です。フィルターユニットの配線が繋がっています。
レンズはねじ込み式のCSマウントです。これならNV016でもCマウントレンズが使えそうです。
フィルターユニットの強度的な課題
ただ、NVC200同様にフィルターユニットはプラスチック製のため強度面で問題ありです。
アダプター経由で望遠レンズを装着すると、このプラスチックパーツでNV016本体を支えることになります。
NV016の場合、レンズユニットが筐体に支えられているのでNVC200よりは強度がありそうです。ただし、レンズやアダプターをねじ込む時にフィルターユニットに横方向の力が加わるのでそのあたりが不安です。
IRカット/パスフィルターの仕組み
金属製のCSマウントの奥に見えるのがフィルターユニットです。カラーモードではUV/IRカットフィルターで紫外線と赤外線をカットしますが、ナイトビジョンモードではIRパススルーフィルターに切り替わり、赤外線をセンサーに届ける仕組みです。
カメラセンサーは赤外線も取り込むため、IRフィルターが無い状態では近赤外線域が取り込まれて赤みのかかった画像になります。
NV016では通常撮影時にIRカットフィルターがセンサー前に入り、近赤外線を遮断することで自然な色再現を実現しています。
C/CSマウント化とアダプター加工
センサーサイズと画質への影響
フィルターの下にはカメラセンサーが見えます。NVC200と同じ小型1/4インチセンサーのようです。
※フィルターに埃が付着するとセンサーダストの原因になります。ご注意ください。
前面パネルです。ここにC/CSアダプターが収まればEOS-Cアダプターを取り付けて各種レンズが使えます。
C/CSアダプターの干渉とサイズ問題
C/CSアダプターのサイズが1mmほど大きく、装着には加工が必要です。
フロントパネルへの収め方と加工手順
本体を削るとレンズ筒の強度が落ちそうなのでマウントアダプターをヤスリで削ってサイズ調整です。
フロントパネルになんとか収まりました。
EFマウントアダプターの装着確認
これでEOS-Cマウントアダプターも問題なく装着できます。C/CSアダプターが本体のプラスチック筒で固定されるので、重めのレンズを付けてもNVC200よりは強度を保てそうです。
組み立てと動作チェック
配線を繋ぎなおして動作確認した上で再度組み立てます。
EFレンズを装着です。動作確認が正常に完了しました。これでNV016でもキヤノンEFレンズが使えるようになりました。
とはいえ、フィルターユニットの強度が不安なので、NVC200で使ったものと同じ金属製のフィルターユニットを注文です。
合わせてニコンFマウント用のアダプターも注文しました。これでニコンレンズも使えるようになります。
EFレンズ装着による超望遠撮影テスト
500mmでの月面撮影と解像感
簡単にテスト撮影してみましょう。シグマAPO50-500mm F4-6.3を装着して月面撮影です。
望遠端500mmです。クレーターもくっきり映っています。
4K動画から1080Pを切り抜くとここまで拡大できます。
2倍テレコン使用時の画質変化
さらに2倍テレコンを装着して1000mmです。かなりの拡大率ですがF値は2倍のF12.6に、受光量が4分の1になります。
テレコン無しと比べると、ノイズが増えて画質も甘いかなという印象です。
2倍テレコンにより画角は縦横それぞれ1/2になり、結果として被写体は面積比で約4倍に拡大されます。
デジタルズーム併用時の限界
さらにデジタル5倍でここまで拡大できます。
拡大されているのはこのあたりです。
遠距離撮影(約900m)での実用性検証
テレコン装着でどれくらい光量が落ちるかを確認するために静止画も撮影してみました。900m先のレストランを撮影です。静止画撮影時のシャッター速度の下限は1/15秒です。テレコンなしの500mmではISO740です。
テレコン使用時の光量と画質への影響
2倍テレコンを装着するとISO2852まで上がりました。2段分感度が上がり、光量は4分の1になった計算です。画質はだいぶ甘くなりましたが、ISO感度上昇に伴うノイズの影響はそれほどでもない印象です。
NV016改造のメリットと注意点
今回はEOS-Cマウントアダプター装着のためNV016を分解改造してみました。NV016の基本的な構造はNVC200と似ておりレンズユニットはほぼ同じものが使われています。
高倍率撮影が可能になるメリット
C/CSアダプターの加工が若干手間ですが、簡単な改造でNV016でもC/CSマウント規格のレンズを装着できるようになります。これでNV016でもフルサイズレンズを使った超望遠撮影が可能になりました。夜間監視や野生動物撮影の用途に最適です。25mmのオリジナルレンズに比べて高画質で高倍率の撮影が実現できます。高い倍率を求める人にはこの改造がおすすめです。
レンズ選択と運用のポイント
NV016のオリジナルレンズは25mmで光学倍率がやや物足りない上に周辺部の画質がいまひとつなので、より倍率の高いC/CSレンズやKOWAなどの高性能レンズに交換するのもありでしょう。前回の動画ではC/CSレンズの画質比較もしているのでそちらも参考にしてください。
まとめ|NV016は低コスト超望遠機として成立するか
今回の検証では、NV016は基本構造がNVC200と近く、比較的シンプルな加工でC/CSマウントレンズやEFレンズを装着できることが確認できました。特にフロントパネル側のクリアランス調整のみで対応できる点は大きなメリットです。
一方で、フィルターユニットが樹脂製である点や、レンズ装着時に横方向の負荷がかかる構造には注意が必要です。重量のあるレンズを使用する場合は、金属製ユニットへの交換や物理的な支持方法を検討したほうが安全です。
画質面では、光学500mmに加えて2倍テレコンを使用することで高倍率撮影は可能ですが、F値の上昇に伴う光量低下によりノイズや解像感の低下が発生します。ただし、用途を限定すれば十分実用的なレベルです。
NV016はオリジナル状態では倍率・周辺画質ともに物足りない部分がありますが、レンズ交換を前提とした改造を行うことで、低コストで高倍率な赤外線撮影システムへと拡張できます。夜間監視や遠距離観察用途において、有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
NV016にフルサイズ用レンズは装着できますか?
C/CSマウントアダプターを加工して取り付けることで、キヤノンEFレンズなどのフルサイズ用レンズを装着可能です。ただし、そのままではサイズが合わないため、アダプター側の削り加工が必要になります。
NV016とNVC200の違いは何ですか?
基本的な撮影構造は似ていますが、NV016はスコープ型で筐体に余裕があり、レンズユニットの固定構造も異なります。そのため改造ベースとしてはNV016のほうが扱いやすい場合があります。
CマウントとCSマウントの違いは何ですか?
CマウントとCSマウントはネジ径は同じですが、フランジバックが異なります。Cマウントは約17.5mm、CSマウントは約12.5mmで、CSマウントのほうが5mm短い設計です。そのためCマウントレンズをCSマウント機に装着する場合は5mmのスペーサーが必要になります。
2倍テレコンを使うとどのくらい拡大されますか?
焦点距離は2倍になり、画角は縦横それぞれ約1/2になります。その結果、被写体は面積比で約4倍に拡大されます。ただしF値も2段分上昇するため、光量は1/4に減少します。
テレコン使用時の画質はどの程度低下しますか?
F値の上昇による光量不足の影響で、ノイズの増加や解像感の低下が発生します。特に高倍率時は顕著ですが、用途によっては実用可能なレベルです。
改造時に注意すべきポイントは何ですか?
レンズユニットの分解時にセンサーダストが付着するリスクがあります。またフィルターユニットが樹脂製のため、重いレンズを装着すると強度的な不安があります。作業は自己責任で行ってください。
NV016のセンサーサイズはどのくらいですか?
1/4インチクラスの小型センサーが使用されている可能性が高く、フルサイズレンズ装着時は強いクロップ効果が発生します。
改造するとどのような用途に向いていますか?
高倍率の赤外線撮影が可能になるため、夜間監視や野生動物観察、遠距離対象の記録に適しています。






















































