【実機検証】Panasonic DMC-GF5 フルスペクトル改造レビュー|赤外線撮影・無限遠フォーカス問題を徹底検証(第2回撮影編)

【実機検証】Panasonic DMC-GF5 赤外線改造モデルの限界と性能

Panasonic DMC-GF5をローパスフィルター除去(フルスペクトル改造)すると赤外線撮影は可能ですが、レンズによっては無限遠でピントが合わない問題が発生します。本記事では対応レンズや暗視性能を実機検証しました。

Amazon Fire TVリモコンを赤外線撮影

ローパスフィルター除去(フルスペクトル改造)で赤外線撮影に対応したパナソニックGF5の写りやいかに。

Panasonic  GF5のローパスフィルターを取り外し

ローパスフィルター除去で赤外線カメラ化に成功したパナソニックのミラーレスカメラDMC-GF5ですが、今回はレンズによる無限遠フォーカスの可否や、赤外線撮影、暗視性能などを中心にもう少し詳しく見ていきます。

夜の公園でカップルを赤外線撮影

併せて、以前レビューした改造版ナイトビジョンカメラNVC200との比較もしてみることに。マウントアダプター経由で同じレンズを装着して写りの差を比べます。暗視撮影専用カメラと比べて夜間画質はどちらに軍配があがるでしょうか、最後までお楽しみください。

GF5を分解改造

なお、GF5の分解改造については前回動画で詳しく解説しているので興味のある人はそちらも参照ください。YouTubeには掲載できなかった画像や追加情報についてはブログに随時掲載しています。それでは撮影編スタートです。

⚠️ 法規・マナーに関する重要事項
  • 人物のプライバシーを侵害する撮影、及び他人の敷地内を写す行為は厳禁です。
  • 公共の場での使用は自治体の迷惑防止条例等に抵触する可能性があるため、十分注意してください。
  • 本記事は風景・天体・野生動物観察等の学術・趣味を目的とした検証です。

Panasonic DMC-GF5をフルスペクトル改造するとどうなる?

GF5用マイクロフォーサーズレンズ

はじめに前回のテストで気になった点を見ていくことに。

岡山城で赤外線撮影

手ブレ補正の効くパナソニックのズームレンズで撮影したところピントが合わない場面があったので、無限遠でピントが合うかどうかを改めて検証してみます。所有する4本のズームレンズで、遠距離での写りにどのような違いがあるでしょうか。

ZUIKO Digital ED 40-150

まずは、前回のテストで問題なく使えたZUIKO Digital ED 40-150です。

モノクロ赤外線モードで岡山城を撮影

モノクロモードで撮影しています。広角端40mmから。オートフォーカスも問題なく動作し、無限遠でもしっかりピントが出ています。

モノクロ赤外線モードで150mm望遠撮影

望遠端150mmでもシャープな画質できれいに写っています。

昼間の画質はNVC200より良い印象

35m先の車両を撮影。マイクロフォーサーズ機だけあって昼間の画質はNVC200より良い印象です。

G VARIOは無限遠フォーカスが合わない?原因を解説

昼間の画質はNVC200より良い印象

続いて問題の昼間の画質はNVC200より良い印象です。コンパクトで手ブレ補正に対応しているので、このレンズが使えるとうれしいですが。

広角端12mmではオートフォーカスが合焦しにくい

広角端12mmではオートフォーカスが合焦しにくい上に、ピントも合いません。

望遠端32mmで無限遠が合わない

望遠端32mmでもダメです。ズームレンズなら大丈夫かと思いましたが、ピントが合わないものがあるようです。

オリンパスのM.ZUIKO DIGITAL 14-42のEZ(左)とIIR

続いてオリンパスM.ZUIKO DIGITAL 14-42EZ(左)とIIRです。

電動ズームモデルのEZ

電動ズームモデルのEZから見ていきましょう。

広角端14mm

広角端14mmです。

望遠端42mmは35mm換算で84mm相当

望遠端42mmは35mm換算で84mm相当です。

M.ZUIKO DIGITAL 14-42 EZは無限遠が合う

いずれも問題なくピントが合っています。

M.ZUIKO DIGITAL 14-42のEZ IIR

前回テストに使ったマニュアルズームのIIRです。EZと同じ画角ですが、手動でズームするこちらのほうが使い勝手はよいです。

M.ZUIKO DIGITAL 14-42のEZ IIRで赤外線撮影
M.ZUIKO DIGITAL 14-42のEZ IIRで赤外線撮影
M.ZUIKO DIGITAL 14-42のEZ IIRで赤外線撮影

こちらも無限遠は出ています。結果、オリンパスの3本は問題なく使えましたが、パナソニックG VARIO 12-32はダメでした。

オーバーインフ解説図

調べたところ、無限遠でピントが合うレンズか否かはレンズがオーバーインフと呼ばれる無限遠を超える位置にピントが届く機能に対応しているかどうかが影響しているようです。まとめで詳しく解説するのでどのレンズが対応するか興味のある人はそちらを参照ください。

フロントテレコン装着で画質を検証

フロントテレコンテスト

ついでにテレコンもテストしてみました。M.ZUIKO DIGITAL 14-42IIRに装着して撮影します。

パナソニックの2倍テレコンGTC-1

パナソニック2倍テレコンGTC-1から。軽量で持ち運びに便利なレンズです。

広角端では四隅にケラレ

広角端では四隅にケラレが出ますが。

望遠端84mmではきれい

望遠端84mmではきれいに写っています。

SONYの2.6倍テレコンVCL-DH2637

こちらはSONY2.6倍テレコンVCL-DH2637です。古いハンディカム用テレコンですが、37mmネジ込みで意外と使えます。金属製鏡筒でGTC-1と比べるとやや重量はあります。

VCL-2637望遠端で109mm(35mm換算218mm)

望遠端で109mm35mm換算218mm)です。こちらも問題なく撮影できます。画質に大きな差はないので、倍率が高いVCL-DH2637がおすすめです。

オリンパスのTCON-17X

もうひとつ。オリンパスTCON-17Xもテストです。

58-55ステップダウンリング経由でZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6に装着

こちらは58-55ステップダウンリング経由でZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6に装着です。他のテレコンと比べるとかなり重量があるので、レンズへの負荷が気になります。

テレコンなしではこのような画角

テレコンなしではこのような画角ですが。

1.7倍テレコン装着で255mm、35mm換算で510mm相当

1.7倍テレコン装着で255mm35mm換算で510mm相当になります。

TCON-17Xとデジタル2倍ズーム

デジタル2倍ズームでここまで寄れます。

TCON-17X 250メートル

もう1パターン。250m先の橋の看板を撮影します。

TCON-17X 250メートル

テレコン装着で、拡大すれば平仮名がなんとか読めるようになりました。

TCON-17X 250メートル2倍デジタルズーム

2倍デジタルズームと合わせれば1000mmを超えます。フロントテレコンはF値がほぼ落ちないので望遠や暗所撮影ではシャッタースピードが稼げて有利です。

テレコン性能については、過去の比較記事も参考にしてください。

UV/IRカットフィルターで通常撮影も可能に

GF5フルスペクトラム撮影

ローパスフィルター除去で赤外線撮影ができるようになったGF5ですが、UV/IRカットフィルターがない状態ではかなり赤みのかかった画像になります。

FOTOGA UV/IRカットフィルター

元通りの色合いでカラー撮影するために、都度分解してフィルターユニットを再装着するのは面倒です。手軽に切り替えできるようにレンズに取り付けるタイプのUV/IRカットフィルターを入手しました。

FOTOGA UV/IRカットフィルター

最小径は46mmで、37mm径は取り扱いが無かったので、なぜか一番安い55mm径を購入です。

55-37ステップアップリング経由で装着

55-37ステップアップリング経由で装着しました。

GF5にUV/IRカットフィルター装着

近赤外線域がカットされることで赤みが薄れて、空の青さが戻りました。これで手軽にカラー撮影もできます。

GF5にIR720フィルター

続いてIR720フィルターを装着してみました。こちらは可視光をカットし、近赤外線域を取り込みます。IR720では赤色域もある程度透過するので、赤みのかかった画像になります。

GF5にIR850フィルター

IR850では可視光がほぼカットされてこのような雰囲気に変わります。赤外線撮影も問題なく使えます。

GF5とNVC200の暗視性能比較

暗視撮影もテスト
暗視撮影もテスト

暗視撮影もテストです。公園の芝生広場でほぼ真っ暗な環境です。

VCSEL IRライトを照射して100m先の看板を撮影

VCSEL IRライトを照射して100m先の看板を撮影です。スマホのナイトビジョンカメラで撮影すると赤外線光が照射されているのが確認できます。

SIGMA APO 70-200 F2.8にマウントアダプターを装着してGF5で撮影
SIGMA APO 70-200 F2.8にマウントアダプターを装着してGF5で撮影

NVC200とセンサー性能を比較するため、SIGMA APO 70-200 F2.8にマウントアダプターを装着してGF5で撮影します。

望遠端200mmでは35mm換算400mm相当の画角に
SS 1/4 ISO 1600

撮影モードはプログラムモードです。マイクロフォーサーズセンサーは望遠端200mmでは35mm換算400mm相当の画角になります。

中央重点測光に切り替えて看板に露出
SS 1/20 ISO 1600

評価測光では周辺の暗さに引きずられて看板が露出オーバーになるので、中央重点測光に切り替えて看板に露出を合わせます。ノイズの少ないきれいな画質です。

デジタル2倍ズーム
SS 1/30 ISO 1600

デジタル2倍ズームです。

デジタル4倍ズーム
SS 1/40 ISO 1600

デジタル4倍ズームでは粗さが目立ちます。平仮名がなんとか読める程度です。

2倍リアテレコン(APO TELE CONVERTER 2x EX DG)を装着

やや倍率が足りないので2倍リアテレコン(APO TELE CONVERTER 2x EX DG)を装着です。

GF5のプログラムモードでは、ISO感度の上限は1600
SS 1/4 ISO 1600

GF5のプログラムモードでは、ISO感度の上限は1600のようです。写りは上々ですが2倍テレコン装着で2段分暗くなります。シャッタースピードは1/4秒まで落ちているので動きのある被写体は難しい。

デジタル2倍
SS 1/5 ISO 1600

デジタル2倍です。小さな文字もカタカナなら判読できます。

デジタル4倍
SS 1/5 ISO 1600

デジタル4倍では画質が粗くなります。常用できるのは2倍まででしょうか。

NVC200との比較用にシャッター優先で1/30秒に指定して撮影
SS 1/30 ISO 6400

プログラムモードは長時間露光でシャッタースピードが長くなるので、NVC200との比較用にシャッター優先で1/30秒に指定して撮影しました。ISO感度は常用上限の6400に設定しましたが、露出不足で画面が暗いです。

拡張ISO 12800なら十分な明るさ
SS 1/30 ISO 12800

拡張ISO 12800なら十分な明るさですが、かなりノイズが目立ちます。

NVC200は1/4インチでマイクロフォーサーズの1/23の面積
SS 1/25 ISO 667

NVC200はどうでしょうか。画角は約4倍望遠寄りになりますが、センサーサイズは1/4インチマイクロフォーサーズ1/23の面積に。1画素あたりの受光面積はかなり小さくなります。

NVC200のほうがシャープできれい
GF5 SS1/20 ISO 1600

NVC200のほうがシャープできれい
GF5+x2 SS1/30 ISO 1600

ところが、実際の画質を見るとNVC200のほうがシャープできれいです。シャッタースピードはGF5とほぼ同じですが、ISO感度が667と低いことが影響しているようです。

夜間の赤外線撮影はNVC200の画質が上回る結果
SS 1/30 ISO 511

デジタルズームで2倍にしてみました。細かい文字もしっかり解像しています。ドラレコ用に設計されたセンサーで、近赤外線域の感度が高いのでしょうか、夜間の赤外線撮影はNVC200の画質が上回る結果になりました。

GF5のデジタル2倍

動画も見ていきましょう。GF5のデジタル2倍です。動画撮影ではシャッタースピードの下限が1/30に制限されるため、静止画より暗くなります。

NVC200では、1/4インチセンサーの切り抜き効果で

NVC200では、1/4インチセンサーの切り抜き効果で光学ズームだけでここまで寄れます。

NVC200+APO70-200 F2.8から

レンズの違いも比較です。NVC200APO70-200 F2.8から。100m離れた場所からですが、十分な画質です。

GF5+Zuiko Digital ED 70-150です

GF5+Zuiko Digital ED 70-150です。望遠端でF5.6と暗めのレンズのため光量がやや不足しています。

VCSEL IRライトを2灯照射

VCSEL IRライトを2灯照射することで、だいぶ明るくなりました。撮影距離100mでは300mm F4などもう少し明るく倍率のあるレンズがよさそう。

メリット・デメリット

GF5とNVC200のメリット・デメリット

両者のメリット・デメリットをまとめるとこのような感じになります。

NVC200CSマウント採用でクロップファクターによる切り抜き効果で光学倍率が上がるのが特長です。35mm換算で、マイクロフォーサーズの2倍に対して、1/4インチセンサーでは10.6倍、マイクロフォーサーズの5倍の画角が得られるのは大きなメリットです。

赤外線フィルターを外した改造版GF5

一方で、GF5はミラーレス機で、オートフォーカスや手ブレ補正などに対応、マニュアル設定も充実しているのが最大のメリットでしょうか。

センサーの面積は4/3インチセンサー225mm²に対して1/4インチセンサーは約約20〜25mm²程度とマイクロフォーサーズが約10倍程度大きく画質面で有利です。

ただ、暗所での赤外線撮影については、近赤外線域の感度が影響するのかNVC200のほうがハッキリと差がわかるほど明るく撮影でき、画質は上かなという結果になりました。遠距離の赤外線暗視撮影用途であればNVC200がおすすめでしょう。

20-30m程度の中距離や日中の赤外線撮影であれば操作性が高いGF5のほうが使いやすいです。加えて、動きのある被写体ではオートフォーカスの効くGF5が圧倒的に有利でしょう。

GF5赤外線化検証のまとめ

ということで、まとめです。今回は赤外線改造したGF5で撮影性能を検証してみました。レンズについては、オリンパスのズームレンズであればいずれも無限遠でピントが出ましたが、パナソニックのレンズはテストした範囲では単焦点もズームレンズも無限遠でピントが合いませんでした。

オーバーインフ対応レンズ解説図

オリンパスのレンズは、無限遠を少し過ぎた位置にピントリングのストッパーがあるオーバーインフに設計されています。

オーバーインフ対応レンズ解説図

このため、ローパスフィルターを外すことでピント位置が前ピンになっても、ピントのズレを吸収できるようです。

オーバーインフ非対応レンズ解説図

一方、パナソニックのレンズについては、今回テストに使用したレンズは設計上、無限遠ギリギリでピント位置を合わせているようです。

オーバーインフ非対応レンズ前ピン解説図

ローパスフィルターを外した状態では、光の屈折率の関係で前ピンになってピントが合焦しませんでした。

ただ、パナソニックのレンズで無限遠が合わないのは古いレンズのようです。2014〜2015年あたりに発売されたレンズはオーバーインフに設計されており、無限遠でもピントが合うようになっているみたいです。ブログに対応レンズの一覧を掲載しておくのでそちらも参考にしてください。

このチャンネルでは赤外線撮影に関する各種話題をお届けしています。動画の内容について質問などありましたらお気軽にコメントください。更新情報をお届けできるので、チャンネル登録やいいねいただけるとうれしいです。


GF5対応レンズ一覧(無限遠が出るレンズ)

無限遠の出るマイクロフォーサーズレンズのリンクはこちら(テキスト版)

総評

ローパスフィルター除去によるフルスペクトル改造を施したGF5は、日中の赤外線撮影や中距離撮影では高画質かつ操作性にも優れた一台でした。一方で、遠距離の暗視撮影では専用ナイトビジョンカメラNVC200のほうが高感度かつシャープな結果となり、用途によって最適な機材が異なることが分かりました。

特に重要なのは「無限遠が合うレンズ選び」です。オーバーインフ設計の有無によって使用可否が分かれるため、赤外線改造機ではレンズ選定が画質を左右します。

赤外線撮影はセンサーサイズ、IRフィルター特性、赤外線ライト出力など複数の要素が複雑に絡み合います。本ブログでは今後も改造カメラやナイトビジョン機の比較、IRライト検証などを通して、実写ベースで検証を続けていきます。

GF5の分解改造編やテレコン比較記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

なぜフルスペクトル改造をすると無限遠でピントが合わなくなるのですか? センサー前面のローパスフィルターを取り外すことで、光がセンサーに到達するまでの屈折率と光路長が変わるためです。多くのレンズは「前ピン」傾向になり、ピント位置を無限遠以上に動かせる「オーバーインフ」設計でないレンズでは、遠くにピントを合わせきれなくなります。
オリンパスのレンズならすべて無限遠が出ますか? 本記事でテストした3本(40-150mm、14-42mm EZ/IIR)はすべて良好でした。オリンパス製レンズの多くはオーバーインフ設計になっていますが、すべてのモデルで保証されるわけではありません。基本的には、ピントリングに遊びがあるタイプが適しています。
夜間の暗視撮影で、GF5よりNVC200の方がきれいに見えたのはなぜですか? センサーサイズはGF5(マイクロフォーサーズ)の方が大きいですが、NVC200に使用されている1/4インチセンサーは近赤外線領域への感度が非常に高く、ドライブレコーダーや監視カメラ向けに最適化されているため、特定の波長においては専用機の方が明るくシャープに写る場合があります。
カラー撮影に戻したい時はどうすればいいですか? レンズ先端に「UV/IRカットフィルター」を装着することで、通常のデジカメに近い色合いで撮影することが可能です。ただし、厳密には元のローパスフィルターと特性が異なるため、ホワイトバランスの微調整が必要になる場合があります。
赤外線カメラの撮影で法律上注意すべき点は? 人物のプライバシー侵害や盗撮と誤解される行為は厳禁です。特に夜間の屋外では、自治体の迷惑防止条例に抵触する恐れがあります。あくまで風景撮影や野生動物の観察、学術的な検証など、マナーを守って使用してください。

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