ミラーレスカメラの「赤外線カメラ化(フルスペクトラム化)計画」が始動しました!YouTubeでPanasonicのマイクロフォーサーズカメラDMC-GF5をフルスペクトラム化する動画を見つけ、我が家に眠っていたGF5も赤外線改造してみることに。分解の全工程を写真付きで紹介しています。中古で安く手に入るGF5を使って、幻想的な赤外線写真の世界を楽しみませんか?
以前、Pentax Q7のローパスフィルター(IRフィルター)を除去したことがありますが、今回はより高性能なセンサーを搭載したミラーレス一眼での本格改造です。
第1回となる今回は「分解・フィルター取り外し編」。プラスドライバーとピンセットがあれば30分程度で作業可能です。改造に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
動画内で紹介した製品(Amazonリンク)

Panasonic GF5を赤外線改造(フルスペクトラム化)するメリットと準備
改造前に知っておきたい!故障リスクと注意点
- 故障のリスク: フレキシブルケーブルの断線など、本体に致命的なダメージを与える可能性があります。
- センサーの汚れ: センサーが露出するため、ホコリの付着やセンサークリーニングが必要になる可能性が高いです。
- 感電の危険: フラッシュ内蔵機種のため、内部に高電圧回路(キャパシタ)があります。
- 自己責任: 一度分解するとメーカー保証は受けられません。
- 無限遠が出なくなる:ローパスフィルターを外すと光軸がずれるため、一部のレンズでは無限遠側でピントが合わなくなります。詳細は別記事に詳しくまとめています。
ローパスフィルターについて
ローパスフィルターは本来、高い周波数をカットする(低い周波数を通す)ためのフィルターを意味し、赤外線フィルターとは異なりますが、GF5ではローパスフィルターの表面に赤外線カットフィルターが貼り付けてあるので、この記事内では便宜的にひとまとめにしてローパスフィルターと呼びます。
なぜ中古のGF5が赤外線改造に向いているのか?
今回、GF5を選んだ理由は以下の通りです。
- コスパ: メルカリ等の相場で6,000円〜7,000円と安価に入手可能。
- 改造のしやすさ: 構造が比較的シンプルで、赤外線化の定番機種。
- スペック: 2012年発売の旧機種ですが、常用ISO 6400(拡張12800)と、赤外線・暗所撮影にも耐えうる感度を持っています。
【注意:他モデルを検討中の方へ】
旧モデルのGF3や後継のGF6も構造は似ていますが、GF6は注意が必要です。ダストリダクションユニットがセンサーと一体化されており、取り外しにはハンダ作業が伴うため、GF5よりも難易度が格段に上がります。
分解改造の参考にしたYouTube動画はこちら
今回参考にしたYouTube動画はこちらです。中国語ですがGF5を分解してローパスフィルターを取り外す様子が見れます。
ほかにもGF3の分解動画やWebサイトを参考にして分解していきます。GF6はこちら。
分解に必要な工具と放電の重要性
作業を安全に進めるため、以下の準備を推奨します。
- 電気絶縁手袋: 感電防止のため。
- 放電の待ち時間: バッテリーを抜き、2〜3時間放置してキャパシタを放電させてから開始してください。
- 工具: 精密プラスドライバー、プラスチック製ピンセット(または先端ゴム付き)。
【完全図解】GF5の分解・フィルター取り外し工程
ステップ1:外装パネルと12本の精密ネジの取り外し
それでは分解スタートです。GF5のローパスフィルターを取り外せるでしょうか。まずは底面と左右側面のネジ計12本を外します。
※注意点: ネジの長さが場所によって異なります。再組み立て時に迷わないよう、外した位置通りに並べて保管するのがコツです。
ステップ2:液晶パネルとメイン基板(ロジックボード)の分離
背面パネルを少し開けると、メイン基板とLCDをつなぐ2本のフレキシブルケーブルが現れます。
- 黒いフラップ(ロック機構)を爪で90度起こすとロックが解除されます。
- ケーブルを痛めないよう、ヘラ等を使って均一に力を加え、慎重に引き抜いてください。
このようにバックパネルが外れます。
センサーユニットにアクセスするため、メイン基板を外します。
放熱シート: センサー接続部に貼ってあるシートは、ドライヤーで軽く温めると剥がれやすくなります。
ケーブル類: 基板の上下にある計9か所のコネクターを外します。
シャッターユニット: 右上のケーブルは非常に抜けやすく、抜けてしまうと上部パネルのさらなる分解が必要になるため要注意です。
白いコネクター:ロックがなく引き抜くだけのケーブルもあります(写真の2か所)。白いコネクターは少しタイトですがピンセットでつまんで左右にグリグリしながらゆっくり引っ張ると抜けます。
メイン基板:ケーブルをすべて抜いたらメイン回路基板(ロジックボード)を外します。3箇所のプラスネジを抜き、メイン基板を左にずらすと取り外しできます。
上部パネル:フラッシュの下の金具を上げると前側パネルのロックが外れます。
シャッターボタンのあたりをグリグリと押すと上部パネルが外れます。
※キャパシターに注意
フラッシュ用のコンデンサー(キャパシター)です。感電の危険性があるのでドライバーなどで触れないように気をつけてください。可能であればテスターで電圧をチェックしておいたほうが安心です。
ステップ3:センサーユニットの摘出とバックフォーカスの注意点
センサーは3箇所のネジで固定されています。
※重要: このネジはセンサーのピント調整(バックフォーカス)も兼ねています。外す前に「ネジの締め込み具合(回転数)」をメモしておくことを強くおすすめします。
ネジを抜くとバネが出てくるので紛失に注意してください。
ステップ4:ローパスフィルター(IRカットフィルター)の除去
センサーユニットを分離したら、フィルター枠のネジ3本を外します。
これでフィルターユニット(右)が外れました。
現れた「青いガラス」が、紫外線と赤外線をカットしているローパスフィルターです。
フィルターのサイズは厚さ3mmでタテヨコが17×22.5mmです。
取り付けスペースの大きさは23×18mm。
左上に1箇所だけ2×2mmの切り欠きがあります。
赤外線カットフィルターをチェック
取り外したローパスフィルターが赤外線をカットしているか確認してみます。ナイトビジョンカメラでリモコンの発光部を撮影すると赤外線が明るく映りますが。
取り外したローパスフィルターを発光部の前に置くと発光量が少なくなり、赤外線光がカットされているのがわかります。
超音波ユニットの赤外線カットを確認
超音波フィルターのプラスチックフレームにも0.5mm厚のフィルターが配置されています。サイズは31×28mmです。
こちらもIRを遮断するようで、ナイトビジョンカメラで撮影すると赤外線がほぼ映りません。
超音波ユニットのフィルターが外せない
ただ、このフィルターは超音波ユニットのフレームに接着されているため簡単には外せません。取り外すには基板ヒーターやヒートガンのような装置が必要です。
ということで、とりあえず3mm厚のローパスフィルターだけ外してどう写るか確認することにします。
ローパスフィルターを外した状態で組み立て
元に戻す時の注意点としては、組み立て時にセンサーユニットの振動モーターに繋がる細いケーブルを基板側に出しておくことくらい。
フレキシブルケーブルを元通り繋ぎ直せば組み立て完了です。GF5はプラスドライバーと精密ピンセットがあれば比較的簡単にローパスフィルターを取り外せます。
ローパスフィルターレスでテスト撮影
組み直したカメラで撮影するとIRカットフィルターが無いため、やや赤みのかかった画像になります。赤外線は通しているようです。
まだ赤外線がカットされている
ただ、照明を落とした状態でIRライトを当てて撮影するとかなり暗いです。まだ赤外線が遮断されているよう。超音波振動ユニット側のフィルターも取り除かないとダメみたいです。
ステップ7: 超音波フィルターを取り外し
ということで、赤外線をカットする超音波フィルターも除去することに。再び分解して超音波フィルターユニットを外しました。
超音波フィルターユニットを丸ごと取り外しても撮影に影響はないようで、カメラは問題なく動作しています。ただ、センサーはむき出しになるので、ホコリなど汚れが付着しやすくなるのでご注意ください。
赤外線撮影テスト
赤外線を透過するようになった
超音波ユニットを取り外したGF5で赤外線撮影テストです。超音波ユニット有りのときより赤みが増しました。
真っ暗な状態でIRライトを当てて撮影すると、赤外線を受光して明るく映っています。これで赤外線撮影が可能になりました。
IRカットフィルター装着で可視光をカット
ZOMEIのIR760フィルターを装着すれば、可視光域をカットした赤外線透過撮影も可能です。
FireTVリモコンを赤外線撮影
赤外線撮影ではお馴染みのFire TVリモコンを撮影してみましょう。リモコンのプラスチックは赤外線を通しやすい素材でできています。
IRライトを照射した状態でローパスフィルターを外したGF5で撮影してみました。IRフィルターなしの状態では内部の単四電池がわずかに透けています。ただ、可視光も受光するため透過具合はいまひとつです。
IRフィルターを装着して可視光をカットすると、内部がはっきりと透けて見えるようになりました。透過度の強弱は素材に影響されます。興味のある人は過去記事を参照ください。
屋外で赤外線テスト撮影
無限遠でもピントが合っています
ローパスフィルターを取り除いたカメラで問題なく撮影できるかを確認するため、屋外でテスト撮影してみました。レンズはオリンパスのM.ZUIKO D-ED 14-42ですが、無限遠でもピントが合っています。
150mm望遠レンズも使えました
ZUIKO D-ED 40-150の広角端40mmです。こちらも問題なく撮影できます。
望遠端150mm(300mm相当)でもピントは合っています。
IRライトを使って暗視性能を検証
暗視性能もテストです。以前レビューしたVCSEL IRライトで赤外線を照射して75m先のスワンボートをZUIKO D-ED 40-150で撮影します。VCSEL IRライトについては過去記事で詳しく紹介しています。
望遠端150mmです。倍率不足でボートには寄りきれませんが画質は上々です。
赤外線ライトをワイドにするとやや暗くなりますが、画面全体を映すことができます。
カメラ設定をモノクロモードに切り替えることで赤味を消せます。
デジタルズームの画質も上々
デジタル2倍ズームでは35mm換算600mm相当の倍率に。古いカメラとはいえマイクロフォーサーズセンサーだけあってノイズの少ないきれいな画質です。
デジタル4倍(1200mm相当)でもノイズはそれほど目立ちません。デジタルズームを併用すればかなりの拡大率で、暗視撮影用途でも十分使える性能です。
トラブル発生! 無限遠が出ないレンズも
問題点も見つかりました。単焦点レンズのPanasonic H-HS030を装着して撮影すると無限遠でピントが合いません。ローパスフィルターを外したことで無限遠のピント位置がズレているようです。
近距離ではオートフォーカスが働いているので、3mm厚+0.5mm厚の2枚のフィルターを外したことが原因で、無限遠側でのピント位置が合わなくなった(無限遠が出なくなった)と考えてよいでしょう。
▶Panasonic GF5 赤外線改造レビュー|無限遠が出る対応レンズ決定版!
ここが重要!ローパスフィルター除去の影響を解説
フィルター除去で前ピンになり無限遠が出なくなる
ローパスフィルター除去の影響を図解するとこのような感じになります。GF5センサーユニット内に配置されているガラス製のローパスフィルターを取り外すと、屈折率の関係でピント面がセンサーから離れて、前ピン(ピント位置がレンズ側にズレた状態)になります。このため、無限遠でピントを最長にしても焦点が合わず、画像がボケてしまいます。
同程度の厚みのガラスで修正する必要が
ローパスフィルターのあった場所に同じ厚みのガラスを挿し込めば屈折率を修正でき、元通りにピントが合うようになります。とりあえずズームレンズなら赤外線撮影できるようにはなったので今回はここまで。オーバーインフ(オーバーインフィニティ)の問題については次回もう少し詳しく解説するので、興味のある人はそちらを参照ください。
▶【実機検証】Panasonic DMC-GF5 フルスペクトル改造レビュー|赤外線撮影・無限遠フォーカス問題を徹底検証
まとめ|赤外線改造は初心者でも可能か
以上、Panasonic LUMIX GF5の分解とローパスフィルター除去の工程をお届けしました。
実際に分解してみると、GF5は構造が非常に合理的で、慎重に作業すれば初心者でも十分に赤外線カメラ化が可能だと感じました。特に、センサー固定ネジの回転数をメモしておくことと、フラッシュ用コンデンサーでの感電を避けることが、成功への大きな分岐点となります。
GF5はローパスフィルターを外すだけでは赤外線撮影には対応しませんが。
フィルターユニットを丸ごと取り外すことで赤外線が撮影できるようになりました。作業時間の目安は30分程度で、慣れれば10分もかかりません。慎重に行っても1時間程度でできます。
フィルターを外したことで、このカメラは目に見える光だけでなく、未知の「赤外線の世界」を捉える準備が整いました。
手元にあった2本のズームレンズを試してみましたが、無限遠でピントが合うので、そのまま問題なく使用できます。ズームレンズであればローパスフィルター除去によるフォーカスのズレは影響が少ないみたいです(※ズームレンズでも無限遠が出ないものもあります)。
ローパスフィルターを外しても無限遠が出やすいオーバーインフ対応レンズの一覧もまとめてあるので、そちらも参考にしてください。
▶Panasonic GF5 赤外線改造レビュー|無限遠が出る対応レンズ決定版!
改造作業はプラスドライバーとピンセットがあれば比較的簡単に取り外しできるので、手軽に赤外線撮影を楽しむにはGF5はおすすめです。GF3からGF6あたりまでは内部構造が似ているので参考になるかと。
GF7 / GF8 / GF9 / GF10については外観が変わっているので、内部構造が異なる可能性が高いです。
注意点として、単焦点レンズなど一部のレンズではローパスフィルターを外す影響で無限遠でピントが合わない問題が発生します。マウントアダプターを使って超望遠レンズを使うときなど不具合が生じるのでなんとか改善したいところです。
次回はいよいよ「組み立て・実写テスト編」です。
無事に電源は入るのか? ピントは合うのか? そして、IR720フィルターを装着した際、どのような幻想的な写真が撮れたのか……。驚きの実写結果は、次回の記事で詳しくレビューしますので、ぜひ楽しみにお待ちください!
▶【実機検証】Panasonic DMC-GF5 フルスペクトル改造レビュー|赤外線撮影・無限遠フォーカス問題を徹底検証
よくある質問(FAQ)
カメラの赤外線改造について、よくいただく質問をまとめました。
Q1:初心者でも自分で改造できますか?
A: 精密ドライバーの扱いに慣れている方であれば、30分〜1時間ほどで作業可能です。ただし、基板のコネクターなどは非常に繊細ですので、焦らず慎重に作業することが成功の鍵となります。
Q2:改造後、普通の写真は撮れなくなりますか?
A: はい、そのまま撮影すると全体的に赤みを帯びた(あるいはマゼンタ色の)独特な写りになります。通常の写真のように見せるには、レンズの前に「IRカットフィルター(UV/IRカットフィルター)」を装着し、ホワイトバランスを調整する必要があります。
Q3:ピント(無限遠)が合わなくなると聞いたのですが?
A: ローパスフィルター(厚さ約3mm)を取り除くと光の屈折率が変わるため、わずかにピント位置が手前にズレます。そのため、一部の広角レンズなどで遠くにピントが合わなくなる(無限遠が出ない)場合があります。センサーの固定ネジを調整することで、ある程度の補正は可能です。
Q4:改造に必要な費用はどれくらいですか?
A: 今回使用したPanasonic GF5であれば、本体が中古で約6,000円〜7,000円、工具(精密ドライバー・ピンセット)が1,000円程度です。合計1万円以下で本格的な赤外線カメラ環境を構築できます。
Q5:改造に失敗して電源が入らなくなった場合は?
A: 多くの場合、フレキシブルケーブルの差し込みが甘いか、斜めに入っていることが原因です。もう一度分解し、コネクターの接続を確認してみてください。それでもダメな場合は、基板のショートや断線の可能性があるため、自己責任での作業となります。
▶【実機検証】Panasonic DMC-GF5 フルスペクトル改造レビュー|赤外線撮影・無限遠フォーカス問題を徹底検証



















































