【レビュー】PENTAX Q7を赤外線カメラ化してみた

大掃除をしていたら、使っていないPENTAX Q7が出てきたので、赤外線撮影専用カメラに改造してみることにしました。ローパスフィルター(UV/IRカットフィルター)を取り外して、代わりに可視光をカットするIRフィルターを挿入します。10年前に発売された機種ですが小型赤外線カメラとしてどれぐらい使いものになるのか。合わせて、暗視撮影透過撮影超望遠撮影にもチャレンジしてみたので、興味のある人は最後までご覧ください。

PENTAX Q7

PENTAX Q7は、今から10年以上前の2013年に発売された超小型のミラーレスカメラです。1/1.7インチ裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、有効1240万画素で写真や動画撮影ができます。

計6種類のレンズが発売されており、望遠レンズ(06 Telephoto)を装着することで、小さいながらも35mm換算200m相当のズーム撮影もできます。

動画撮影は、フルHD1080p 30fpsと今どきのデジカメやスマホと比べると見劣りしますが、ヤフオクなどでも1.5-2.5万円と安価に入手できるので、手軽に赤外線撮影を楽しむにはおすすめのカメラです。

ちなみに、同じQマウントですがセンサーサイズがQ7より一回り小さい1/2.4インチQ10もあります。こちらは、センサーが小さく暗所耐性は弱いですが、望遠レンズ装着時300mm相当の画角が得られます。

赤外線改造

このQ7を赤外線カメラとして改造するためには、赤外線をカットするガラス製フィルター(ローパスフィルター)を取り除く必要があります。一般的なデジタルカメラでは、センサーの手前に紫外線(UV)と赤外線(IR)をカットするフィルターを配置しています。

Q7では、本体前面にある赤いフィルターが、ガラス製のUV/IRカットフィルターです。これを取り外すことで、センサーが赤外線を受光できるようになります。通常、デジカメのローパスフィルター除去は、カメラ本体の分解など難しい作業が必要ですが、Q7の場合、このガラス板を強引に割ることで、比較的簡単に取り外せます。

Q7のローパスフィルターは、プラスチック製のフレームに差し込んであるようです。分解すればガラスを抜くことができそうですが、安いカメラなので、このガラス製フィルターを無理やり割って取り外します。

フィルターは、手ブレ補正ユニットと一体になっているので、触るとグラグラ揺れています。プラスチックパーツの黄色くマークした箇所をニッパーでカットします。あとはガラスをピンセットで摘んで取るだけです。

プラスチックパーツには、側面からの遮光用にゴム製の蛇腹が付いていました。プラスチックフレームはキープしつつ、ガラスだけ割ったほうが良かったかもですね。なお、フィルターガラスには、ダストクリーニング用の配線が繋がっているので、そちらは切断して適当に処理しました。

フィルターを取り外すとこのような感じになります。細かいガラスの破片がセンサーに付着したので、エアダスターで除去して作業完了です。

ローパスフィルターを外すだけでは、可視光が取り込まれるので、代わりにIRフィルターを貼り付けて赤外線だけを取り込むようにしておきます。写真の黄色い箇所に薄手の両面テープで固定します。

FUJIFILMIR84フィルターをフレームのサイズに合わせてカットし、貼り付けました。これでとりあえず赤外線改造が完了です。

試し撮り(室内)

それでは、試し撮りです。とりあえず室内で何パターンか撮ってみましょう。浴室内での撮影です。クレヨンしんちゃんのフィルムカット袋をバインダーに挟んだものを被写体にします。

IR84フィルターを挟んでいるため、浴室の白色LED照明だけでは光量が足らないようです。感度がISO12800まで上がり、かなりノイズが乗ります。

ということで、赤外線光のみを照射する特殊な赤外線ライト(IRトーチ)を照射して撮影します。

LEDライトの光量でISO800まで下がりました。ノイズも少なくきれいに写っています。カラーセンサーのため若干赤みのかかった色になります。

動画も撮影してみました。30fpsですがきれいに撮影できますね。

透け透け撮影です。バインダーの上にTシャツを被せて撮影します。肉眼では見えませんが、赤外線の効果で透けて見えます。

Tシャツを水で濡らして撮影した画像はこんな感じです。きれいに透けていますね。透け透け撮影は成功です。

試し撮り(屋外)

屋外でも撮影してみました。パッと見た感じでは、全体的にぼんやりした画像になっていますね。曇り空が影響したのか、ピントが合っていないのか、どちらでしょうか。

天気の良い日に改めて撮影してみました。やはり、無限遠でピントが合わないようです。ローパスフィルターを外したことで、無限遠側のピント位置がズレています。

ズームすれば多少マシですが、それでもピントが甘いかな。

ローパスフィルターを除去すると、屈折率の関係でピント面がレンズ方向にズレて、焦点が合わなくなります。このため、無限遠で画像がボケています。ピント位置を修正するために、ローパスフィルターのあった場所に、ガラス板を挿し込みます。

IRフィルターでは厚みが足りないようなので、それより少し厚みのあるガラス板を差し込みます。紫外線光域は取り込まなくてよいので、余っていたUVフィルターを使います。フィルター枠の凹みをマイナスドライバーで回転させるとフレームが外れてガラスを取り出せます。

顕微鏡用のスライドガラスなんかも使えると思います。Amazonで購入できます。

アクリル板のほうが加工は簡単ですかね。

フィルター枠からUVカットガラスを取り出しました。Q7に取り付けてあったローパスフィルターより、やや厚みがありますが、厚いぶんには問題ないでしょう。

ガラスカット用にダイソーでデザインナイフを調達です。

タングステン製の刃を使っているのでガラスもカットできます。

ローパスフィルターのサイズに合わせて、●●mm四方の大きさにカットします。

カットが下手くそでガラスがギザギザになりましたが、両面テープで貼り付けたら完成です。今回使用したUVフィルターは1.5mm厚ですが、0.5〜1mmぐらいのガラス板がよいですかね。

ガラス製のIRフィルターも売っているので、赤外線撮影専用で使うなら、そちらを加工してハメてもよいでしょう。Aliexpressなら2000円ぐらいで手に入ります。

改めて屋外でテスト撮影です。この時点ではIRフィルターを外してあるため、赤外線域から可視光域までを捕捉する、赤みの強いカラー画像になります。UVガラスを差し込む前は、写真のように無限遠のピントが合いませんでした。

ガラス板を配置したことでピント位置が補正され、無限遠側でもピントが合うようになりました。元からあったローパスフィルターより、挿入したUVフィルターは厚みがあるため、無限遠だとややピントがズレますね。少し戻せば合焦します。オートフォーカスも問題なく動作しています。

ただ、赤外線フィルターを外しているので、このままでは純粋な赤外線域のみの撮影はできません。ということで、レンズに赤外線フィルターを装着します。55mm径のIRフィルターZOMEI IR680を、55 to 40.5mmステップアップアダプター経由で装着です。カメラの感度が低いので、IRフィルターの数値は低いほうが感度が上がって使いやすいです。

680nmIRフィルターでは、赤色光域も透過するので、かなり赤みのかかった画像になります。

写り自体は問題なさそうですね。

IR680nmで撮影すると赤味がかかっていますが。

IR760nmに替えると、こんな感じになります。フィルターの数値を上げると、それに伴い受光量も少なくなるためシャッター速度が下がります。

屋外での透過撮影も試してみました。晴天下で赤外線量が多いので問題なく透けています。

超望遠撮影

ついでに、超望遠撮影にもチャレンジです。CANON EFレンズ用のマウントアダプター経由で、SIGMAAPO50-500mmを装着してみました。Q7の1/1.7インチセンサーでは、35mm換算で4.6倍の画角が得られます。

スマホカメラの写真です。ここから、画面中央左手の看板を撮影します。

APO50-500mmはフィルター径が86mmで装着できるIRフィルターが無いので、カラー画像になります。広角端50mmです。35mm換算で230mm相当になります。

望遠端500mmです。2300mm相当で、看板の説明文も読めますね。

こちらは、CCTV用のCマウント フジノンレンズ12.5-100mmを装着して撮影してみました。望遠端100mmで460mm相当の画像です。

ちなみに、IRフィルターの代わりにUV/IRカットフィルターを装着することで、元通り可視光域のみを補足できます。赤外線光の影響で出ていた赤みが解消され、普通のカメラとして使えます。

  • フィルター無し→暗視撮影
  • IRフィルター→赤外線撮影
  • UV/IRカットフィルター→通常撮影

赤外線改造しても、フィルターを交換することで使い分けができます。

こちらはIIIF150 Raptorのナイトビジョンカメラで撮影したものです。Q7はカラーセンサーで感度が低い上に、画素数が1240万画素なので、Raptorの6400万画素モノクロ画像と比べると画質がイマイチな感じです。


暗視撮影

暗視撮影も試してみましょう。IRフィルターは取り外しての撮影になります。赤外線域にも感度が出ますが、暗闇では普通のカメラと同じで真っ暗になって撮影できません。

赤外線LEDライトを当てるとはっきりと写るようになりました。肉眼では赤外線光は見えません。

赤外線LEDライトは、ズームできます。小型のライトですが、ズームすれば10mぐらいの距離でも光が届き、暗視撮影できます。

まとめ

ということで、まとめです。PENTAX Q7では、難しい分解・改造なしで、ローパスフィルターを簡単に取り外して赤外線カメラ化できます。コンパクトなカメラなので取り回しも楽で使い勝手はよいです。ただし、無限遠でピントを合わせるためには取り除いたローパスフィルターと同じ厚みのガラス板を差し込んでピント位置を調整する必要があります。

メリットとしては、オークションなどで安価に入手できて簡単に改造できる点をあげることができます。オートフォーカスや手ブレ補正などカメラの機能をフルで使える上、センサーサイズが1/1.7インチと小さいので、望遠撮影に向いています。露出補正などマニュアル設定も細かくできるので、スマホやCマウントカメラより設定の幅は広いです。

一方で、古いカメラのため動画はフルHD 30fpsでしか撮影できないほか、今どきのカメラやスマホと比べると、センサーの感度も低いのでフィルターを挟むとかなり暗くなるのがデメリットです。晴天下なら問題ありませんが、雲天や室内では使いづらいです。

今回は手元にあったPentax Q7を使いましたが、一般的なミラーレスカメラでもローパスフィルターを取り外すことで同じように赤外線撮影を楽しめます。赤外線撮影用にカメラを改造してくれる業者もありますが、改造するならできるだけ新しいカメラを使ったほうがいいですかね。

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