赤外線撮影を始めるには、カメラ本体だけでなくIRフィルター(赤外線フィルター)やNDフィルター(減光フィルター)などの機材が必要になります。しかし、赤外線撮影用の機材は種類が多く、どれを選べばよいのか迷う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、YouTube動画で紹介している赤外線撮影機材について、カメラの種類・IRフィルター・NDフィルターの違いや選び方のポイントをわかりやすく解説します。
実際に使用している機材や購入先、購入時の注意点もまとめているので、これから赤外線撮影を始めたい方の参考になれば幸いです。
赤外線撮影に必要な機材
YouTube動画で紹介している赤外線撮影に使用したカメラや赤外線フィルターなどの機材詳細と入手方法を紹介しておきます。リンクはAmazonへつながっていますが、一部商品はヨドバシカメラなどでも購入できます。リンクのない商品は国内での取り扱いがないものです。
赤外線カメラ本体
赤外線撮影に対応したカメラは、
- 赤外線撮影機能搭載ビデオカメラ
- ナイトビジョンスコープ/カメラ
- ナイトビジョン機能搭載スマホ
赤外線撮影対応ビデオカメラ
当ブログで紹介しているSONY ハンディカムFDR-AX55など赤外線機能を搭載したビデオカメラです。家庭用ビデオカメラは、
- 高画質・高音質
- 高倍率ズーム
- 光学手ブレ補正
- コンパクト
といったメリットがありますが、一方で、
- 新商品が少ない
- 価格が高め
- 赤外線域の感度が弱い
- LCDが小さい
などマイナス面もあります。
特にハンディカムは、最新モデルが2022年発売のFDR-AX45A(※ナイトショットなし)とセンサー性能などスペック的にやや見劣りする感が拭えません。
SONYのハンディカムは本体とLCDを繋ぐケーブルが断線しやすく、他社製品と比べると故障しやすいので、中古商品を購入する際は注意してください。
オススメビデオカメラ
FDR-AX60→Amazonリンク
家庭用ハンディカムの最上位モデルで、ビューファインダーが付いているのが特長です。LCDパネルを開かなくても撮影できます。2018年発売の機種で、カメラセンサーなどやや見劣りしますが十分現役モデルとして活躍します。なお、日中、明るい場所でのナイトショット撮影には制限があります。前モデルのAX55も性能的にはほぼ差がないので、選択肢に入るでしょう。下位モデルのAX45Aはナイトショット非対応なのでご注意ください。
▶【日中でも可能】FDR-AX55で赤外線撮影する方法|ナイトショット白飛び対策とIRフィルター検証
ナイトビジョンスコープ/カメラ
ナイトビジョン暗視機能を売りにしたスコープ/カメラです。ビデオ機能を搭載しています。
- 近赤外線域の感度が高い
- 安価
- LCDが大きい(一部機種)
などメリットですが、
- 単焦点レンズ
- マニュアルフォーカス
- センサーサイズが小さい
- 手振れ補正が効かない
- 全体的に品質がいまひとつ
といったマイナス面も目立ちます。ナイトビジョンスコープやカメラについては、他の記事で詳しくレビューしているので参考にしてください。
ナイトビジョン機能搭載スマホ
IIIF150 Raptorのようなナイトビジョン撮影機能を搭載したスマホは、
- コンパクト
- 防水防塵で水中撮影に対応
- 大画面
- 大容量バッテリー
など使い勝手はよい一方で、
- 広角寄りで望遠撮影に向かない
- IRライトが弱い
ので、用途が限定されます。購入検討中の人はRapterのレビューも参考にしてください。
▶【レビュー】赤外線サーマル&ナイトショット搭載スマホ IIIF150 Raptor
赤外線撮影で使うレンズフィルター
赤外線撮影で使うフィルターは、可視光域をカットする①赤外線フィルター(IRフィルター)と、光量調整用の②減光フィルター(NDフィルター)に分かれます。
①IRフィルター(赤外線フィルター)
IRフィルター(赤外線フィルター)は、可視光域(約380〜700nm)をカットし、赤外線域を透過させるフィルターです。透過させる赤外線の波長帯域によってIR720(IR72 / R72)など数値が指定されています。
IRフィルター選択の目安としては、
- 680〜720nm=室内/曇り(屋外)
- 720〜760nm=薄曇り~晴れ
- 850〜950nm=強い日差し
です。用途や環境にあわせて数値を変えますが、はじめての赤外線撮影であれば、720-760あたりがおすすめです。
特にシャッター速度の制限がある動画撮影では、室内で数値の高いフィルターを使うと露出不足に陥り、ISO感度が上がって画質が低下します。逆に、晴天下で数値の低いフィルターを使うと露出オーバーで白飛びが起こりやすくなります。
色調については、数値が低いほど赤色域を透過しやすくなります。680nmや720nmでは可視光域の赤色がそれなりに入るため、赤みのかかった色になります。数値の高いフィルターを使えば赤色域が少なくなるので、モノクロに近い色合いになります。
IRカットフィルターとの違い
天体撮影などで使われる赤外線カットフィルター(IR CUTフィルター)は、赤外線域(760nm以上)を透過させないフィルターで、まったく反対の性能の商品なので間違えないようご注意ください。
ガラス製IRフィルター
ガラスフィルターについては、KenkoのPRO1D R72 Nなど日本メーカーでは720nmしかラインナップがなく番手の高いフィルターは入手がやや難しいです。中国製のフィルターについては、メーカーによって当たり外れがあるようです。
当ブログでは、低価格品としては海外で評価の高いZOMEIの製品を愛用しています。680~950まで5種類がラインナップされており、37mmなど小径のフィルターもあるのでおすすめです。
Amazonで取り扱いのある中国製のノーブランド商品については、品質はピンキリです。安価でも問題なく使える商品もありますが、インチキみたいな商品もあります。フィルター類は高価な商品も多いので、一か八かで試してみるのもありだと思います。
▶スマホカメラに5種類のIRフィルターを付けて赤外線撮影してみた
ゼラチンIRフィルター
FUJIFILMのIR76のようなゼラチンフィルターも赤外線撮影では人気です。プラスチック製シートで簡単に加工できるので、スマホカメラ用のフィルターとしても使えます。ガラスフィルターと比べると、耐久性が低いのがマイナスポイントです。
IR76~96まで11種がラインナップされています。
FUJIFILM IR76→Amazonリンク
IRよりも少し低い波長に対応したSCカットフィルター(シャープカット赤)でも同様の効果を得られます(※SC74/SC72はIR74/IR72と同等の性能です)。
FUJIFILM SC72→Amazonリンク
②NDフィルター(減光フィルター)
NDフィルター(減光フィルター)は、日差しの強いときに光量を減らすフィルターです。ビデオカメラなどオート撮影の機器で露出を調整するときにも使われます。数値が高いほど減光量が大きくなります。写真はKenkoのND400です。
一般的なNDフィルターは可視光域を減光するフィルターですが、製品によっては赤外線をあまり減衰しないものもあります。そのため機種によっては赤外線撮影でIRフィルターの代用として使える場合があります。
IRNDフィルター(赤外線もカットします)
シネカメラなどで使われるIRNDフィルターや一部の高価格帯NDフィルターでは近赤外線域も減光するので、赤外線撮影用途では使えません。購入の際は性能を確認してください。
可変NDフィルター
可変減光フィルター(可変NDフィルター / Variable ND / Fader ND)は、2枚のCPLフィルターを組み合わせることで減光量を自由に調整できるフィルターです。写真はKenkoの可変NDフィルターで、前側のフィルターを回転させることで、ND3からND400の範囲で入ってくる光の量を変えることができます。
可変式で天候の変化に対応しやすいので、IRフィルターと組み合わせて使うのにおすすめです。
▶【日中でも可能】FDR-AX55で赤外線撮影する方法|ナイトショット白飛び対策とIRフィルター検証
赤外線撮影用フィルターの選び方
フィルター径
フィルターサイズは、使用するカメラやビデオのレンズ径に合わせたものを使用するのがよいですが、異なるサイズのレンズがある場合は、最大サイズのものに合わせて用意して、ステップアップリングで使い回すこともできます。ただし、フィルター径が大きくなるほど値段も上がります。
メーカー品とノーブランドの違い
レンズ保護用のMCUVフィルターなどは安価なノーブランド製品でも問題なく使えるケースが多いですが、IRフィルターや可変NDフィルターは、国内大手メーカーや中国でもある程度ブランド力のあるメーカーの製品を選ぶのがよいと思います。
ノーブランド品については以前、Amazonで販売されているNEEWERのNDフィルターを使ったことがありますが、マルミなど大手メーカー製と比べると、素人でもわかるほど明らかに品質が悪かったです。
レビューの王子さまで使っているフィルター
レビューの王子さまでは、ハンディカムAX55の55mm径に合わせたフィルターを使っています。ナイトビジョンカメラやスマホ用には37mm径のフィルターを使っています。
IRフィルターについては、中国メーカーZOMEIの赤外線フィルターを使用しています。ZOMEIのIRフィルターは、日本製フィルターと比べると安価な上、680nmから960nmまで幅広いラインナップがあるのが特長です。37mmの小径フィルターがあるのも使い勝手がよいです。性能的には不満に感じることはありません。
NDフィルターはカメラ撮影で使っている77mm径のMARUMI可変NDやH&YのND1000を使っています。可変NDは安価な製品ではNDを強く効かせたときにムラが出やすいので、中級以上のグレードがおすすめです。
赤外線投光器(IRライト)の選び方
850nmと940nmの違い
赤外線LEDライトは、肉眼では見えない赤外線光のみを照射するライトです。波長の違いで850nmと940nmの2タイプがあります。
850nm(画面左)は発光部が肉眼でも確認できる程度に赤く光りますが、940nmではほとんど発光しないのが特長です(※スマホカメラセンサーに赤外線感度があるため、小さく光っていますが、肉眼では確認できない明るさです)。
室内用IR LEDライト
写真は、Amazonで販売されている赤外線LEDライトです。充電式のLEDライトで発光部はわずかに赤く光ります。コンパクトでカメラのホットシューに取り付けできて便利です。光量がやや少ないので、屋外での望遠撮影には向きません。照射範囲が広いので室内で広い範囲に赤外線を照射するには向いています。
高輝度IRトーチ
離れた被写体に赤外線を照射する場合は、写真のような大型の赤外線IRトーチが必要になります。発光部にレンズを装着することで、ズーム照射に対応します。LEDタイプで30-50m、高輝度VCSELタイプでは100m先でも赤外線を明るく照射できます。赤外線LEDについては下記サイトで詳しくまとめているので参考にしてください。
▶赤外線ライト IRトーチ(5W LED / VCSEL)関連情報まとめ
テレコンバージョンレンズ
ビデオカメラ用フロントテレコン
カメラ本体のレンズでは倍率が足りないときは、テレコンバージョンレンズ(テレコン)を装着することで、ある程度ズーム倍率を稼ぐことができます。
ただし、テレコンの新製品はほぼ発売されていないので、中古での購入が中心になります。ハンディカムなど家庭用ビデオカメラではオリンパスのTCON-17X/DMW-LT55がおすすめです。37mmなど小径のテレコンは画質がかなり低下します。
ナイトビジョンスコープ用テレコン
NVC200などナイトビジョンスコープ用のテレコンはCマウントレンズなので、径が小さいテレコンでも高画質に撮影できます。SONYやPanasonicのデジカメ用テレコンが利用できます。
▶SONYハンディカムにテレコンと外部赤外線ライトを装着して超遠距離赤外線撮影してみた
ただ、いずれも販売終了になっているのでヤフオクなどで中古商品の入手になります。おすすめはSONY VCL-2630/2637です。比較検証しているのでこちらの記事も参考にしてください。
▶NV016 × パナ・ソニー・ニコンテレコンレビュー|夜間撮影でベストな倍率は?
Cマウント用リアテレコン
NVC200などCマウントレンズのカメラではリアテレコン(エクステンダー)も使えます。
フロントテレコンと比べると若干画質が落ちる上に、リアテレコンのためF値が下がりますが、コンパクトで比較的安価に入手できるのでおすすめです。
初心者におすすめの赤外線撮影セット
- IR720フィルター → 入手しやすく扱いやすい
- 可変NDフィルター → 動画撮影時の光量調整に便利
- ナイトビジョンカメラ → 赤外線域の感度が高い
赤外線撮影では、通常の写真撮影とは異なり赤外線に対応したカメラやIRフィルターなどの専用機材が必要になります。
特に重要なのがIRフィルターの波長選びで、撮影環境によって適したフィルターが変わります。初心者の場合は、屋外でも使いやすい720〜760nm付近のIRフィルターから試してみるのがおすすめです。
また、動画撮影などシャッター速度を固定する撮影では、露出調整のためにNDフィルター(減光フィルター)を組み合わせると便利です。
赤外線撮影は、通常のカメラでは見えない世界を写せるとてもユニークな撮影方法です。この記事を参考に、自分の撮影スタイルに合った機材を選んで赤外線撮影を楽しんでみてください。



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