FUJIFILM X100Sで赤外線撮影は可能?IRフィルター680〜950nmで徹底検証

赤外線撮影というと、センサー改造をした専用カメラが必要だと思っていませんか?

実は、一部の市販カメラでは赤外線フィルター(IRフィルター)を装着するだけで赤外線撮影が可能な場合があります。以前の記事では FUJIFILM X20 を使った赤外線撮影を紹介しましたが、今回は APS-Cセンサーを搭載するFUJIFILM X100S を使って赤外線撮影を検証してみました。

IR680〜950nmのフィルターを使い、
  • X100Sはどこまで赤外線を捉えられるのか
  • 市販カメラで赤外線撮影は実用になるのか
  • 改造カメラとの性能差
を実写比較しながら詳しく解説します。

X100Sで赤外線撮影はできる?

本日も赤外線撮影の話題です。今回は、赤外線の感度が比較的高いといわれている市販のカメラやスマホが、改造無しで、どれくらい赤外線撮影を楽しめるのかを調べてみました。

以前の記事で、FUJIFILM X20に赤外線フィルター(IRフィルター)を装着することで、赤外線撮影ができることを紹介しましたが、今回は新たにFUJIFILM X100Sに赤外線フィルターを装着しての赤外線撮影にチャレンジしてみました。

UV/IRカットフィルターを除去、改造した赤外線撮影用デジカメや、専用ナイトビジョンカメラを搭載したスマホとどれぐらい性能差があるのかを比較してみました。それでは検証していきましょう。

なお、赤外線フィルターなど撮影機材の入手方法などはこちらに最新情報をまとめています。

▶赤外線撮影に必要な機材まとめ|カメラ・IRフィルター・NDフィルターの選び方と注意点

IRフィルターを装着して赤外線撮影

肉眼では見えない赤外線

まずは赤外線撮影について簡単に紹介しておきます。赤外線は780nm以上の波長のことで、肉眼では見ることのできない光の波長域です。

デジカメに搭載されるCMOSセンサーは、目に見えない赤外線域にも感度を持ちますが、一般的な製品では、人の目に見える380〜780nmの可視光線波長域のみを捉えるよう、紫外線(UV)と赤外線(IR)をカットするフィルター(UV/IRカットフィルター)がセンサーの前面に配置されています。

一部の機種は赤外線感度がある

しかし、一部の機種では、赤外線域にも感度を持つよう設計されているものがあります。身近な例では、iPhoneのインカメラは、アウトカメラと比べて赤外線の感度が高くなっています。iPhone SEのインカメラでリモコンの赤外線発光部を撮影すると、明るく点滅するのがわかります。一方、アウトカメラではほとんど光が写りません。

IRフィルターを使えば赤外線撮影が可能に

このような赤外線域の感度を高めに設計したカメラでは、市販の赤外線フィルター(IRフィルター)を装着することで、難しい改造なしでも赤外線撮影を楽しめます。

X100Sの内部構造|赤外線感度はある?

今回検証に使うのは、FUJIFILM X100Sで、10年以上前に発売されたカメラです。最新モデルは今年3月に発売されたX100VIです。以前の検証で試したX20で赤外線撮影ができたので、同じ系統のセンサーを搭載するX100Sでも試してみることにしました。

▶【レビュー】FUJIFILMのデジカメ&スマホで赤外線撮影してみた

ローパスレスだがIRフィルターはある

X100SのセンサーはAPS-Cサイズで、ローパスフィルターレスということですが、赤外線をカットするフィルターは配置してあるようで、専用カメラほどの赤外線感度はないようです。

なお、一般的には、ローパスフィルターは赤外線や紫外線をカットするものを指すことが多いですが、厳密にはローパスフィルターとUV/IRカットフィルターは別物です。ローパスフィルターはモアレ(偽色や縞模様)を防ぐために、わずかに像をぼかすフィルターです。ローパスフィルターレスのカメラでも、UV/IRカットフィルターは配置されています。

X100Sで赤外線撮影|渋谷交差点・岡山城(作例)

渋谷

X100Sで赤外線撮影してみました。FUJIFILMのセンサーは、X20同様にある程度赤外線を捕捉するよう設計されているみたいです。

IR680フィルターを装着して撮影するとこのような雰囲気になります。撮影データを見るとISO6400と感度が高めですが、シャッタースピードは1/30でなんとか手持ち撮影できるレベルです。ただ、IRの数値は低いので赤色域の可視光が強く、赤味のかかった画像になります。この画像だけでは780nm以上の近赤外線域まで捉えられているかはわかりません。

IR760フィルターを装着すると赤みが軽減されますが、シャッタースピードはかなり落ちるので、手持ちでの撮影や動態撮影は厳しいです。最新の高ISO撮影ができるモデルなら実用できるかもしれません。

屋外でも撮影してみました。晴天下で赤外線撮影には条件の良い日です。

760nmの赤外線フィルター(IRフィルター)を装着して、赤外線撮影します。開放端のF2.8でシャッタースピード1/30秒です。ISO6400まで上がっているので暗所などノイズが目立ちますが、拡大しなければ気にならないレベルです。760nmフィルターでも写っているので、ある程度の赤外線は捉えられるようです。

三脚に乗せて、シャッタースピードを1/5まで下げると、それなりに見れる絵になってきました。ただ、古いカメラで高感度耐性が低いのでISO800でも、空の青い部分など、かなりノイズが目立ちます。

画質を良くするために、ISO100固定で撮影です。シャッタースピードは30秒とかなりの長時間露光です。写りは上々で、ノイズも気にならなくなりました。

5種のIRフィルター|IR680~940で比較

IR680 作例

フィルターの違いも見ていきましょう。IR680ではかなり赤味の強い画像になります。数値が低いぶん可視光を通すのでISO500で撮影できます。

IR720 作例

IR720です。ISO2500まで上がります。

IR760 作例

IR760ではISO6400に。

IR850 作例

IR850です。IR760では気にならなかったホットスポットが目立ってきました。コーティングの影響で画面が同心円状に白くなっています。

IR940 作例

IR950です。中央の白い点がかなり目立つようになりました。

ということで、X100SでもIRフィルターを装着することで赤外線撮影はできることがわかりました。X100Sは、以前検証したX20と比べると、センサーサイズが大きく高感度耐性が高いので、ISO感度は上がりますがそれなりにきれいな写真が撮影できます。

なお、IRフィルターについては、こちらの記事でも詳しく比較検証しています。

▶【レビュー】スマホカメラに5種類のIRフィルターを付けて赤外線撮影してみた

動態撮影検証|弱点が明らかに

人物も撮影してみましたが、ISO800でもシャッタースピード2/5秒で、被写体ブレしていますね。

ISO3200まで上げてもシャッタースピードは1/10秒です。人物など動きのある被写体は難しいかな。高感度でも低ノイズで撮影できる今どきのセンサーなら、もう少しきれいに写るかもしれません。

フルスペクトラム化Pentax Q7と比較

フルスペクトラム化Pentax Q7 作例

ちなみに、赤外線撮影用に改造したPentax Q7にIR760フィルターを装着して撮影するとこのような写真になります。

赤外線カットフィルターを取り外してあるので、ISO160 シャッタースピード1/40で撮影できます。これなら室内でも動画撮影できます。

▶【レビュー】PENTAX Q7を赤外線カメラ化してみた

X100Sの赤外線撮影|風景中心ならあり

ということで、まとめです。市販のカメラやスマホでも、機種によってはある程度赤外線域への感度があるので、IRフィルターを取り付けることで赤外線撮影が楽しめます。赤外線感度があるかは、カメラをテレビなどリモコンの発光部に向けるとわかります。感度の高いカメラなら肉眼では見えないリモコンの赤外線が写ります。

ただし、市販のカメラでは赤外線感度があったとしても、赤外線カットフィルターの影響でセンサーに届く赤外線の光量がかなり不足するため、ISO感度を上げたり、シャッタースピードを落としたりするなどの工夫が必要です。三脚は必須ですし、ISO感度が上がるために画質も今ひとつです。風景撮影なら長時間露光で撮影できますが、動きのある被写体や動画撮影などは厳しそうです。

とはいえ、無改造で赤外線フィルターを買うだけで楽しめるので、赤外線撮影を体験するにはよいかもしれません。今回は古めのカメラで試してみましたが、皆さんのお手元のカメラで赤外線撮影できたものがあればコメントください。


まとめ

今回の検証では、FUJIFILM X100SでもIRフィルターを装着することで赤外線撮影が可能であることが確認できました。

ただし、市販カメラはセンサー前面にUV/IRカットフィルターがあるため、赤外線の光量が不足しやすく、撮影条件には制限があります。

主なポイントをまとめると次の通りです。

  • IR680〜760では赤外線撮影が可能
  • ISO感度が高くなりやすい
  • シャッタースピードが遅く三脚が必須
  • 人物など動きのある被写体は難しい
  • 風景撮影なら十分楽しめる

本格的に赤外線撮影を行うならフルスペクトラム改造カメラが有利ですが、X100Sのような市販カメラでも、IRフィルターを使えば手軽に赤外線写真の世界を体験できます。

「まず赤外線撮影を試してみたい」という方には、意外と面白い選択肢になるかもしれません。

▶赤外線カメラ改造(GF5 / Q7)

FAQ

Q. FUJIFILM X100Sで赤外線撮影はできますか?

はい。IRフィルター(赤外線フィルター)を装着することで赤外線撮影は可能です。ただしUV/IRカットフィルターがあるため感度は低く、長時間露光が必要になります。

Q. IRフィルターは何nmがおすすめですか?

X100Sの場合は IR680〜IR760nm が比較的撮影しやすい範囲です。850nm以上になると感度不足になりやすく、露光時間が長くなります。

Q. 市販カメラでも赤外線写真は撮れますか?

一部のカメラでは可能です。センサーが赤外線にある程度感度を持っていれば、IRフィルターを装着することで赤外線撮影ができます。ただし改造カメラに比べると光量不足になりやすいです。

Q. 赤外線撮影に三脚は必要ですか?

市販カメラの場合、シャッタースピードが数秒〜数十秒になることが多いため、基本的には三脚が必要になります。

Q. 赤外線撮影の弱点は?

  • 長時間露光になる
  • 高ISOになりやすい
  • 動く被写体が撮れない

といった点があります。

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