ローパスフィルター除去(フルスペクトル改造)で赤外線撮影に対応したパナソニックGF5の写りやいかに。
ローパスフィルター除去で赤外線カメラ化に成功したパナソニックのミラーレスカメラDMC-GF5ですが、今回はレンズによる無限遠フォーカスの可否や、赤外線撮影、暗視性能などを中心にもう少し詳しく見ていきます。
併せて、以前レビューした改造版ナイトビジョンカメラNVC200との比較もしてみることに。マウントアダプター経由で同じレンズを装着して写りの差を比べます。暗視撮影専用カメラと比べて夜間画質はどちらに軍配があがるでしょうか、最後までお楽しみください。
なお、GF5の分解改造については前回動画で詳しく解説しているので興味のある人はそちらも参照ください。YouTubeには掲載できなかった画像や追加情報についてはブログに随時掲載しています。それでは撮影編スタートです。
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【ズームレンズ】
はじめに前回のテストで気になった点を見ていくことに。
手ブレ補正の効くパナソニックのズームレンズで撮影したところピントが合わない場面があったので、無限遠でピントが合うかどうかを改めて検証してみます。
所有する4本のズームレンズで、遠距離での写りにどのような違いがあるでしょうか。
まずは、前回のテストで問題なく使えたZUIKO Digital ED 40-150です。
モノクロモードで撮影しています。広角端40mmから。オートフォーカスも問題なく動作し、無限遠でもしっかりピントが出ています。
望遠端150mmでもシャープな画質できれいに写っています。
35m先の車両を撮影。マイクロフォーサーズ機だけあって昼間の画質はNVC200より良い印象です。
続いて問題のパナソニックG VARIO 12-32mm F3.5-5.6です。コンパクトで手ブレ補正に対応しているので、このレンズが使えるとうれしいですが。
広角端12mmではオートフォーカスが合焦しにくい上に、ピントも合いません。
望遠端32mmでもダメです。ズームレンズなら大丈夫かと思いましたが、ピントが合わないものがあるようです。
続いてオリンパスのM.ZUIKO DIGITAL 14-42のEZ(左)とIIRです。
電動ズームモデルのEZから見ていきましょう。
広角端14mmです。
望遠端42mmは35mm換算で84mm相当です。
いずれも問題なくピントが合っています。
こちらも無限遠は出ています。結果、オリンパスの3本は問題なく使えましたが、パナソニックのG VARIO 12-32はダメでした。
調べたところ、無限遠でピントが合うレンズか否かはレンズがオーバーインフと呼ばれる無限遠を超える位置にピントが届く機能に対応しているかどうかが影響しているようです。まとめで詳しく解説するのでどのレンズが対応するか興味のある人はそちらを参照ください。
【テレコン】
ついでにテレコンもテストしてみました。M.ZUIKO DIGITAL 14-42のIIRに装着して撮影します。
望遠端84mmではきれいに写っています。
こちらはSONYの2.6倍テレコンVCL-DH2637です。古いハンディカム用テレコンですが、37mmネジ込みで意外と使えます。金属製鏡筒でGTC-1と比べるとやや重量はあります。
望遠端で109mm(35mm換算218mm)です。こちらも問題なく撮影できます。画質に大きな差はないので、倍率が高いVCL-DH2637がおすすめです。
もうひとつ。オリンパスのTCON-17Xもテストです。
こちらは58-55ステップダウンリング経由でZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6に装着です。他のテレコンと比べるとかなり重量があるので、レンズへの負荷が気になります。
もう1パターン。250m先の橋の看板を撮影します。
テレコン装着で、拡大すれば平仮名がなんとか読めるようになりました。
2倍デジタルズームと合わせれば1000mmを超えます。フロントテレコンはF値がほぼ落ちないので望遠や暗所撮影ではシャッタースピードが稼げて有利です。
テレコン性能については、過去の比較記事も参考にしてください。
【UV/IRカットフィルター】
ローパスフィルター除去で赤外線撮影ができるようになったGF5ですが、UV/IRカットフィルターがない状態ではかなり赤みのかかった画像になります。
元通りの色合いでカラー撮影するために、都度分解してフィルターユニットを再装着するのは面倒です。手軽に切り替えできるようにレンズに取り付けるタイプのUV/IRカットフィルターを入手しました。
最小径は46mmで、37mm径は取り扱いが無かったので、なぜか一番安い55mm径を購入です。
55-37ステップアップリング経由で装着しました。
近赤外線域がカットされることで赤みが薄れて、空の青さが戻りました。これで手軽にカラー撮影もできます。
続いてIR720フィルターを装着してみました。こちらは可視光をカットし、近赤外線域を取り込みます。IR720では赤色域もある程度透過するので、赤みのかかった画像になります。
IR850では可視光がほぼカットされてこのような雰囲気に変わります。赤外線撮影も問題なく使えます。
【暗視撮影】
暗視撮影もテストです。公園の芝生広場でほぼ真っ暗な環境です。
VCSEL IRライトを照射して100m先の看板を撮影です。スマホのナイトビジョンカメラで撮影すると赤外線光が照射されているのが確認できます。
NVC200とセンサー性能を比較するため、SIGMA APO 70-200 F2.8にマウントアダプターを装着してGF5で撮影します。
撮影モードはプログラムモードです。マイクロフォーサーズセンサーは望遠端200mmでは35mm換算400mm相当の画角になります。
評価測光では周辺の暗さに引きずられて看板が露出オーバーになるので、中央重点測光に切り替えて看板に露出を合わせます。ノイズの少ないきれいな画質です。
デジタル2倍ズームです。
デジタル4倍ズームでは粗さが目立ちます。平仮名がなんとか読める程度です。
やや倍率が足りないので2倍リアテレコン(APO TELE CONVERTER 2x EX DG)を装着です。
GF5のプログラムモードでは、ISO感度の上限は1600のようです。写りは上々ですが2倍テレコン装着で2段分暗くなります。シャッタースピードは1/4秒まで落ちているので動きのある被写体は難しい。
デジタル2倍です。小さな文字もカタカナなら判読できます。
デジタル4倍では画質が粗くなります。常用できるのは2倍まででしょうか。
プログラムモードは長時間露光でシャッタースピードが長くなるので、NVC200との比較用にシャッター優先で1/30秒に指定して撮影しました。ISO感度は常用上限の6400に設定しましたが、露出不足で画面が暗いです。
拡張ISO 12800なら十分な明るさですが、かなりノイズが目立ちます。
NVC200はどうでしょうか。画角は約4倍望遠寄りになりますが、センサーサイズは1/4インチでマイクロフォーサーズの1/23の面積に。1画素あたりの受光面積はかなり小さくなります。
ところが、実際の画質を見るとNVC200のほうがシャープできれいです。シャッタースピードはGF5とほぼ同じですが、ISO感度が667と低いことが影響しているようです。
デジタルズームで2倍にしてみました。細かい文字もしっかり解像しています。ドラレコ用に設計されたセンサーで、近赤外線域の感度が高いのでしょうか、夜間の赤外線撮影はNVC200の画質が上回る結果になりました。
動画も見ていきましょう。GF5のデジタル2倍です。動画撮影ではシャッタースピードの下限が1/30に制限されるため、静止画より暗くなります。
NVC200では、1/4インチセンサーの切り抜き効果で光学ズームだけでここまで寄れます。
レンズの違いも比較です。NVC200+APO70-200 F2.8から。100m離れた場所からですが、十分な画質です。
GF5+Zuiko Digital ED 70-150です。望遠端でF5.6と暗めのレンズのため光量がやや不足しています。
VCSEL IRライトを2灯照射することで、だいぶ明るくなりました。撮影距離100mでは300mm F4などもう少し明るく倍率のあるレンズがよさそう。
【メリット・デメリット】
両者のメリット・デメリットをまとめるとこのような感じになります。
NVC200はCSマウント採用でクロップファクターによる切り抜き効果で光学倍率が上がるのが特長です。35mm換算で、マイクロフォーサーズの2倍に対して、1/4インチセンサーでは10.6倍、マイクロフォーサーズの5倍の画角が得られるのは大きなメリットです。
一方で、GF5はミラーレス機で、オートフォーカスや手ブレ補正などに対応、マニュアル設定も充実しているのが最大のメリットでしょうか。
センサーの面積は4/3インチセンサーの225mm²に対して1/4インチセンサーは約約20〜25mm²程度とマイクロフォーサーズが約10倍程度大きく画質面で有利です。
ただ、暗所での赤外線撮影については、近赤外線域の感度が影響するのかNVC200のほうがハッキリと差がわかるほど明るく撮影でき、画質は上かなという結果になりました。遠距離の赤外線暗視撮影用途であればNVC200がおすすめでしょう。
ただ、20-30m程度の中距離や日中の赤外線撮影であれば操作性が高いGF5のほうが使いやすいです。加えて、動きのある被写体ではオートフォーカスの効くGF5が圧倒的に有利でしょう。
【まとめ】
ということで、まとめです。今回は赤外線改造したGF5で撮影性能を検証してみました。レンズについては、オリンパスのズームレンズであればいずれも無限遠でピントが出ましたが、パナソニックのレンズはテストした範囲では単焦点もズームレンズも無限遠でピントが合いませんでした。
オリンパスのレンズは、無限遠を少し過ぎた位置にピントリングのストッパーがあるオーバーインフに設計されています。
このため、ローパスフィルターを外すことでピント位置が前ピンになっても、ピントのズレを吸収できるようです。
一方、パナソニックのレンズについては、今回テストに使用したレンズは設計上、無限遠ギリギリでピント位置を合わせているようです。
ローパスフィルターを外した状態では、光の屈折率の関係で前ピンになってピントが合焦しませんでした。
ただ、パナソニックのレンズで無限遠が合わないのは古いレンズのようです。2014〜2015年あたりに発売されたレンズはオーバーインフに設計されており、無限遠でもピントが合うようになっているみたいです。ブログに対応レンズの一覧を掲載しておくのでそちらも参考にしてください。
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【AI(Grok)の回答】

































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