赤外線撮影のできるナイトビジョンカメラ(赤外線カメラ)を搭載した中華スマホについてまとめてみました。紹介するのは、各メーカーから発売されている現行モデルで、赤外線撮影機能を搭載したスマートフォンです。夜間の暗視撮影ができるほか、モノクロセンサーを活かした超高解像度撮影や赤外線透過撮影を楽しむことができます。それではさっそく見ていきましょう。
なお、赤外線フィルターなど撮影機材の入手方法などはこちらに最新情報をまとめています。
【トレンド】
はじめに購入ポイントを簡単に説明します。タフネススマホに搭載されるナイトビジョンカメラのトレンドとしては、2021年からオートフォーカス搭載のSONY製20MPセンサーが採用されるようになりました。2023年には、オムニビジョンの64MPセンサーを搭載したものが、一部ハイエンドモデルで採用されています。モノクロで6400万画素の超高精細な画像を撮影できます。同社からは、100MP、200MPのセンサーも登場しており、近い将来、さらに高画素なナイトビジョンカメラ登場が予測されます。
メインカメラについては、58MPや64MPセンサーが多く採用されていますが、ハイエンドモデルではサムスンの 100MPセンサー(ISOCELL HM2)や、200MPセンサー(ISOCELL HP1)を搭載するものも登場しています。
SoCについては、2023年末現在の主流は、MediaTekのHelio G99です。antutuベンチマークのスコアを見ると、iPhone 8などに採用されているAppleのA11 BionicやSnapDragon 845 / 765を上回っています。一般的な用途であれば、スペック的には十分な性能といえるでしょう。上位機種では、5Gに対応したMediaTek Dimensity搭載モデルも登場しています。
【メーカー】
いずれのメーカーも、日本ではあまり馴染がありませんが、海外ではタフネススマホ(Rugged Phone)のブランドとして知名度があります。日本でいうところの京セラみたいな立ち位置ですかね。過去に、CAT、DOOGEE、OUKITEL、IIIF150を使用していましたが、どのメーカーの製品もトラブルなく使えているので、品質面では大手メーカーと比べて大きく劣るということはないです。ただし、XiaomiやOPPOのようなトップブランドと比べると、ハード的には一世代くらい遅れています。あと、カメラなどアプリ関係がやや弱いかなという印象です。
【価格】
価格は、昨今の円安の影響で最安モデルでも2万円台です。搭載するSoC性能や、サーマルカメラなど追加機能の有無で値段が異なります。ハイエンドモデルでは10万円を超えるものもあります。
日本のAmazonで取り扱いのあるモデルは、メーカー直営店では、中国本土と同程度もしくは、日本のほうが安いケースもあります。並行輸入品の場合は1〜2万円程高く販売されているケースが多いです。中国からの発送の店舗もあるのでご注意ください。
AliexpressやBanggoodのような海外通販サイトを使ったほうが安く買える場合もありますが、初期不良のリスクや保証を考えると、数千円の価格差なら日本国内の店舗での購入をおすすめします。
【画素数】
ここからは、商品選択のポイントを具体的に見ていきましょう。ナイトビジョンカメラ(赤外線カメラ)については、Raptorなど、ハイエンド機で6400万画素センサーを搭載したモデルが登場しています。画素数が高いほうがデジタルズームでも画質が劣化しにくいメリットがありますが、一方で、センサーあたりの受光面積が小さくなるので、暗所性能が劣るなどデメリットもあります。夜間の暗視撮影目的であれば、OUKITEL WP17などSONY製IMXセンサーを搭載した2000万画素のモデルもおすすめです。
搭載センサーは、20MPはSONYのIMX350(1/2.78 inch)、24MPはOV24A1B(1/2.83 inch)、64MPはOV64B(1/2 inch)を採用していると思われます。
【オートフォーカス】
ナイトビジョンカメラは、サブカメラ的な扱いのため、古いモデルや廉価モデルでは、オートフォーカスに対応していないものがあります。オートフォーカス対応のモデルをおすすめします。
【露出補正】
カメラアプリケーションについては、一部のメーカーでフルオート撮影しかできないものがあるようです。フルオートでは、撮影対象によっては白飛びや黒つぶれが起こるので、露出補正機能を搭載したものをおすすめします。OUKITELやIIIF150のカメラアプリは、露出補正やフォーカスポイント選択に対応しているのを確認しています。
【カメラ】
メインカメラなど、カメラ機能はXiaomiなど大手メーカーの製品と比較すると、光学手ブレ補正非搭載など、スペック面で劣る部分があります。アプリについても必要最低限で、AI補正などの機能は搭載していません。メインカメラのセンサーはサムスンのISOCELLやSONYのIMXが使われていますが、マクロや超広角などサブカメラはオムニビジョンなど安価な中国メーカーのものが採用されているものが多いので確認が必要です。
【動画】
動画については、フルHD 60fpsが主流です。上位機種では4K 30fps撮影できるものもあります。手ブレ補正はEISで、光学式手ブレ補正(OIS)を搭載したモデルはないようです。
【サーマルカメラ】
サーマルカメラについては、現行モデルではInfirayやFLIRの解像度256×192のものが採用されています。一部上位機種では、500-1000メートルの遠距離撮影やオートフォーカスに対応したものがあります。
【サイズ】
unihertz Tank 3など、一部のモデルでは2万mAhを超える超大容量バッテリーを搭載しているものがあります。こういったモデルでは、重量、厚みとも大きくなって扱いが難しいものがあります。街なかで手にすると悪目立ちします。現在、私が使っているRaptor(359g)のバッテリー容量が10,000mAhですが、これでもかなり余裕があります。用途に合わせてサイズ感のあった製品を選ぶことをおすすめします。
【メーカー別紹介】
それでは、ここからナイトビジョンカメラ搭載の中華スマホを紹介していきます。2023年12月現在の情報です。掲載はメーカー名のアルファベット順です。製品写真があるものは、日本のAmazonで取り扱いがあり、画像タップで購入ページへリンクします。なお、ナイトビジョンカメラ機能をメインに取り上げる都合上、SoCやディスプレイ、インカメラ性能などについては説明を省略しています。詳しいスペックはリンク先の商品ページで確認ください。
【AGM】ナイトビジョンカメラはいずれも20MP、G2 Gardian搭載のサーマルカメラは最長500mの距離まで捕捉できるハイエンドモデルです。全体的にスペックの割に価格が高めです。
G2 Gardian(20MP/108MP):QCM6490/5G/500m Thermal(256×192)/7000mAh/405g[13.7万円]
G2 Pro(20MP/108MP):QCM6490/5G/Thermal(256×192)/7000mAh/405g[10.7万円]
G2(20MP/108MP):QCM6490/5G/7000mAh/405g[7.6万円]
Glory Pro(20MP/48MP):SD480/5G/Thermal(256×192)/6200mAh/370g[7.6万円]
Glory G1S(20MP/48MP):SD480/5G/Thermal(256×192)/5500mAh/315g[7.2万円]
Glory (20MP/48MP):SD480/5G/6200mAh/360g[6.1万円]
【BLACKVIEW】BLACKVIEWのナイトビジョンカメラ搭載モデルは、BL8800とBV8800の2機種です。BLACKVIEWは日本のAmazonに直販店があるので入手しやすいです。
BL8800(20MP/50MP):Dimensity 700/5G/8380mAh/365g[5.1万円]
BV8800(20MP/50MP):G96/4G/8380mAh/365g[3.1万円]
【CONQUEST】デジタル無線機(DMR)を搭載しているのが特徴です。
S23(20MP/108MP):Dimensity 900/5G/Thermal(256x192)/10000mAh/380g[10.1万円]
S22(20MP/48MP):Dimensity 800/5G/Thermal(256x192)/15200mAh/915g[10.1万円]※8インチタブレット
【CUBOT】5G対応のDIMENSITY搭載モデルでは比較的安価なラインナップです。
King Kong Star(24MP/100MP):Dimensity 700/5G/10600mAh/395g[3.7万円]
King Kong 9(24MP/100MP):G99/4G/10600mAh/390g[3万円]
【DOOGEE】DOOGEEのV31 GTは、最長1000mまで捕捉できるサーマルカメラ搭載が特徴です。サーマルカメラの解像度が1080Pですが、搭載しているセンサーがInfirayのTyny1-Cは256x192なので、おそらく、サブカメラと合成して生成しているものです。V30 PROでは、サムスンの200MPメインカメラが採用されています。
DOOGEE V31 GT(24MP/50MP):Dimensity 1080/5G/1000m Thermal/10800mAh/390g[6.1万円]
DOOGEE V30 PRO(24MP/200MP):Dimensity 7050/5G/10800mAh/321g[4.2万円]
DOOGEE V30(20MP/108MP):Dimensity 900/5G/10800mAh/376g[3.7万円]
DOOGEE V20 Pro(24MP/64MP):Dimensity 700/5G/Thermal/6000mAh/376g[3.7万円]
DOOGEE V MAX 5G(20MP/108MP):Dimensity 1080/5G/22000mAh/533g[5万円]
DOOGEE S98 PRO(20MP/48MP):G99/4G/Thermal(256x192)/6000mAh/320g[4.1万円]
【FOSSiBOT】
F102(20MP/108MP):G99/4G/16500mAh/492g[5万円]
【HOTWAV】ナイトビジョンカメラ搭載は、Cyber 7のみですが、5G対応モデルとしては安価です。
Cyber 7(20MP/48MP):Dimensity 700/5G/8280mAh/337g[2.5万円]
【IIIF150】OUKITELのサブブランドです。フラッグシップモデルのRaptorは、64MP赤外線カメラと108MPメインカメラ、サーマルカメラを搭載しています。サーマルカメラが必要無いなら200MPメインカメラ搭載のB2 Ultraもオススメです。コンパクトさを取るならAir1 Ultraもよいでしょう。
Raptor→レビュー(64MP/108MP):G99/4G/Thermal(256x192)10000mAh/359g[5.2万円]
B2 Ultra(64MP/200MP):G99/4G/15000mAh/465g[3.6万円]
B2 Pro(24MP/108MP):G99/4G/10000mAh/349g[2.8万円]
B2(20MP/48MP):G99/4G/10000mAh/356g[2.1万円]
B1 PRO(20MP/48MP):G37/4G/10000mAh/356g[2.6万円]
Air1 Ultra+(24MP/64MP):G99/4G/7000mAh/289g[3.8万円]
Air1 Ultra(20MP/64MP):G99/4G/5000mAh/259g[3.6万円]
Air1 Pro(20MP/48MP):G37/4G/5000mAh/272g[2.5万円]
【Infiray】サーマルカメラメーカーのInfirayでもオリジナルスマホを出しています。スペックの割に値段が高いですね。
PX1(20MP/48MP):SD480/5G/5500mAh/Thermal(256×192)/317g[13万円]
【OUKITEL】OUKITELのタフネススマホはラインナップが充実しています。手頃な価格で比較的コンパクトなWP27、WP17あたりがオススメです。
WP30 PRO(20MP/108MP):Dimensity 8050/5G/11000mAh/413g[5.9万円]
WP27(20MP/64MP):G99/4G/8500mAh/328g[2.6万円]
WP26(20MP/48MP):P90/4G/10000mAh/405g[2.9万円]
WP21 ULTRA(20MP/64MP):G99/4G/Thermal(256x192)/9800mAh/398g[5.6万円]
WP21(20MP/64MP):G99/4G/9800mAh/398g[3.5万円]
WP19 PRO(20MP/64MP):G99/4G/22000mAh/570g[6.1万円]
WP19(20MP/64MP):G95/4G/21000mAh/568g[4.9万円]
WP17→レビュー(20MP/64MP):G95/4G/8300mAh/320g[2.5万円]
【Ulefone】Helio G96でよければ、軽量で低価格のArmor 22はおすすめです。オプションでエンドスコープを取り付けできるのもおもしろいギミックです。
Armor 24(64MP/64MP):G96/4G/22000mAh/647g[3.4万円]
Armor 22(64MP/64MP):G96/4G/6600mAh/328g[2.4万円]
Armor 21(24MP/64MP):G99/4G/9600mAh/400g[3万円]
【Unihertz / 8849】UnihertzのTank 3の、64MP赤外線カメラ&200MPメインカメラは魅力的ですが、いかんせん重すぎです。
Tank 3(64MP/200MP):Dimensity 8200/5G/23800mAh/666g[8.3万円]
Tank 2(64MP/108MP):G99/4G/15500mAh/530g[5.6万円]
【まとめ】
ということで、まとめです。現行モデルで赤外線カメラに重点を置いて選ぶと、高画素のOMNIVISION製64MPセンサーか、高感度のSONY製20MPセンサーの2択になるでしょう。加えて、サイズ感をどうするかですね。この2点にポイントを絞って、個人的なチョイスをいくつかしてみます。
64MPセンサーなら、サーマルカメラを搭載したIIIF150 Raptorや、2億画素メインカメラを搭載したB2 Ultraがおすすめです。Raptorは現在、サブ機として使っていますが、全体的なバランスがとれており、非常に使い勝手がよいです。価格面では、UlefoneのArmor 22が気になりますが、レビュー動画を見た感じでは、オートフォーカスには対応しているものの、露出補正ができるかどうかが不明な点がザンネンです。
20MPセンサーモデルでは、IIIF150 Air1 Ultraが第1候補に上がります。タフネススマホで259gという軽さは、やはり魅力的です。5G対応のDimensity版が出たら買い足すかもしれませんね。コスパ重視ならOUKITEL WP27やWP17もよいでしょう。
実際に使ったことのあるOUKITELとIIIF150がおすすめになってしまいますが、やはり、ナイトビジョンカメラを重視するなら、オートフォーカス対応や、露出補正などアプリの使い勝手は大事なポイントなので、そのあたりの情報が不足する機種はなかなか推しづらいです。それ以外のメーカーで情報ありましたらコメント欄で情報共有とチャンネル登録いただけるとうれしいです。
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