【レビュー】血糖値測定のできるスマートウォッチを買ってみた

針刺し無しで、赤外線を使って血糖値を測定できる糖尿病患者向けの非浸潤型血糖値センサーを搭載したスマートウォッチを買ってみたのでレビューです。24時間、5分刻みで血糖値(mmol/L)を測定できるということですが、結論から先に書くと、こちらの商品は完全にインチキでした。楽天市場Yahooショッピングで似たような商品が各種販売されていますがいずれもインチキ商品です。この手の商品を購入検討している方はご注意を。以下詳細レビューです。

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商品概要

商品はAliexpressで見つけたスマートウォッチで、赤外線LEDで簡単に血糖値を測定できるという代物です。2023年に入ってからこのような非浸潤型血糖値センサーを搭載したチップが流通するようになったようで、安価なものだと3千円台から、様々な製品が発表されています。今回購入したのは写真のような細型腕時計タイプの製品で5,498円なり。過去の経験からこの手のコンパクトな形状のものが着けていてジャマにならず一番使い勝手良いということでチョイスしてみました。

日本でもAmazonをはじめ、楽天市場ヤフーショッピングなどで似たような商品が1万円前後で販売されています。いろんなスタイルの製品がありますが、いずれもH Bandというアプリを利用しており、搭載されているセンサーは同じと思われます。

非浸潤型血糖値センサー

従来、血糖値を測定するには図のような装置を使って指の先から針で微量の血液を採血し、センサーで血液を測定する必要がありました。このような方法で朝昼晩の食前、食後、計6回の血糖値を測定することで糖尿病患者は自分の血糖値を把握しています。

検査キットは医療機関から提供されますが、Amazonなどでも入手できます。

一方、このスマートウォッチに搭載されている非浸潤型血糖値センサーは、本体裏面に搭載している赤外線LED光を手首の血管に照射。反射・拡散された光を分析し、血管中の血糖値を測定する仕組みです。Apple Watchにも搭載が計画されているようで(※2023年4月時点では研究段階で実用化は早くて数年先の見込み)、ネットで調べた感じでは非浸潤型測定器の測定精度は85%ぐらいあるようです。

メリットは、痛みを伴う穿刺(針)を使った採血が不要で、継続的に血糖値を記録することができる点。従来の方法では、食前食後各一回の測定で、食後どのように血糖値が推移していくかまで細かく把握することはできなかったので、飲食や運動に伴う血糖値の変化をリアルタイムで把握できることは大きなメリットになります。例えば間食したり、ジュースを飲んだ後や運動をしたとき、どのように血糖値が推移するのかを視覚的に確認することができます。

開封してみた

Aliexpressで2月22日に注文した商品は3月1日に到着です。送料込みで5,498円

同梱品は本体のほか、ベルト、充電用ケーブル、説明書(英文)など。オプションで金属製ベルトやチェストパッチを同梱したモデルもあります。

充電ケーブルはスマートウォッチでよくある2ピンタイプです。両端にマグネットが埋め込まれており、充電接点に磁石でくっつく仕組みです。

本体裏面はこんな感じ。電極やLED、受光センサーなどが見えます。上部は充電用の接点です。

初期設定

このスマートウォッチは単体でも使えますが、スマホと連携することで測定データを記録してくれたりいろいろ便利です。GoogleプレイストアからH Bandというアプリをインストールします。

肌の色や、生年月日、身長体重など基本データを入力して、スマートウォッチとペアリングします。

デバイス名はE600です。ペアリングできたら測定データが同期されます。

測定してみた

今回購入したスマートウォッチは、3種の赤外線レーザーとECGなどを搭載することで、血糖値はじめ、心拍数血圧ECG(心電図)、SpO2(血中酸素濃度)、HRV(心拍変動)、体温などを測定することができます。血糖値以外は以前にレビューしたスマートウォッチ(血圧測定機能搭載型ECG搭載型など)と機能的には大差ないので説明は省略。今回は血糖値測定機能を中心に見ていきます。

スタートボタンを押すと10秒程度で測定できます。初期設定では、表示は海外で使用される単位(mmol/L)のため、日本で使われる単位(mg/dL)に置き換えるには測定値に18を掛けます。

なお、アプリの設定単位設定からmg/dL表示へも変更できます。

写真の測定結果だと4.43mmol/Lで、18を掛けて79.74mg/dLですね。

アプリの血糖モニターをオンにしておけば、測定した数値が5分ごとに自動で記録され、グラフになって表示されます。

ちなみに、糖尿病が強く疑われる食後120分経過時血糖値の目安はmmol/L換算で7.0以上5.5-7.0は要検査となります。

測定精度は

搭載されている非浸潤型血糖値センサーの測定精度がどの程度のものか。従来からの穿刺で採血するタイプの測定器と比較してみました。グルコース測定器の測定値は6.9mmol/L(※メーターに表示の日時は未設定のため実際とは異なったものが表示されています)。

一方、アプリの直近値を見ると6.69mmol/Lで差は0.2程度。かなり近い値を示していますが…。

インチキデータだろ

測定2日目。午前0時から丸一日食事を取らない状態でデータを取ってみました。しかし、朝から一切食事をとっていないのに、なぜか①9時〜②12時〜③19時〜の3回、規則的に数値が上昇・下降していますね。糖尿病の私(しかもこの日は朝から絶食している)の血糖値が、いくら投薬中とはいえこんなに安定してきれいなグラフになる訳がないです。ちなみに、グラフ中ぽつぽつと飛び出てるのは手動で測定したときのデータです。

なんだか怪しい…。ということで、食事をとった直後にもう一度測定。血糖値は3.42mmol/L(61.5mg/dLです。炭水化物制限しているとはいえ、食後血糖値がここまで低いのはさすがにありえない。

グルコメーターで測定したところ、血糖値は8.7mmol/L(156.6mg/dL)で、スマートウォッチの値とは全然違う…。

どうにも腑に落ちないので、スマートウォッチの時刻を血糖値が上昇する9時30分に設定しなおして、再度測定してみると…。数値が6.74mmol/L(121.3mg/dLに跳ね上がりました。どうやら朝昼晩の食事の時間帯に合わせて数値が上下するようにプログラムされているようですね。その後、何度かグルコメーターと比較してみましたがまったく数値が異なります。これで確信しましたこのスマートウォッチの測定値はデタラメです。

総合評価

ということで評価です。こちらの商品の血糖値測定機能は、朝昼晩の食事の時間帯に合わせて血糖値が上昇〜下降するように数値をプログラムしたインチキ商品です。買う価値なし。というか、買ってはいけない。フェイクデータと断定に至った根拠は以下のとおり。

  1. グルコメーターとの数値が乖離している
  2. 毎日特定の時間(9,12,19時)に規則的に数値が上下する
  3. 時刻を設定変更すると数値が大きく変わる

この測定器の数値を信じた糖尿病患者が薬の服用を止めたりする危険性もあります。危険ですね。これは酷い。久しぶりの星ゼロ。似たような商品もたぶんインチキなので買わないようにご注意ください。

どうしてもこの手の商品が使いたいならアップルウォッチガーミンなど信頼できるメーカーの製品をおすすめします。血糖値測定機能は搭載していませんが、心拍数など健康管理に必要な数値を測定することはできます。安価な商品ならXiaomiウォッチあたりですかね。

なお、楽天市場ヤフーストアなどネットショップで似たような商品を販売している業者がいますが、血糖値測定など医療的測定機能を持った商品は薬事法上の高度医療機器に該当するため、素人が許可なく販売することはできません。今回紹介したスマートウォッチのような商品が市場に出回るのは厳しく取り締まるべきでしょう。買った人は返金申請をおすすめします。

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