前回、赤外線改造したパナソニックのマイクロフォーサーズミラーレスカメラLUMIX GF5で長時間動画撮影できるようにと電源カプラーを入手し、接続したところ動作しなくなりました。
AliExpressで入手したカプラーもしくは使用したACアダプターの品質がよくなかったようです。過電圧など電源周りのトラブルでヒューズが飛んだのか動作しなくなりました。カプラー内には保護回路が搭載されていなかった可能性があります。
ということで、今回は故障したGF5の修理と、オークションで入手した格安400mm単焦点レンズを使っての暗視撮影テストの模様をお届けします。
GF5を分解して故障の原因を探る
あやしいのはヒューズなど電源周り
とりあえず、GF5の内部を確認してみます。カプラーを繋げたときから使えなくなったので、電源周りがあやしい。原因になりそうなヒューズを探します。
▶GF5の分解方法については以前の記事を参考にしてください。
右中央に位置するFの文字がプリントされたチップがヒューズ(Fuse)と思われます。SMDヒューズと呼ばれるもので、過電流を保護する役割があります。過電流でヒューズが飛んでるのでしょうか。
ヒューズの抵抗値に異常が見られます
マルチメーターで確認したところ、156Ωの値が表示されます。正常ならほぼ0Ωですが、156Ωと高い値のため内部断線の可能性が高いです。内部ヒューズの断線が原因で動作しなくなったようで、部品交換をすれば復旧できる見込みです。
同じようなヒューズがAliExpressで10個250円程度で販売しています。ただ、かなり小さなチップでハンダを使っての交換作業は素人には難易度が高そうです。ということで、ヒューズ交換は保留とし、代替手段としてジャンク機からの部品流用を検討します。
ヤフオクでジャンクGF5を入手
ジャンク品からパーツを流用
ヤフオクを物色したところ液晶不良のジャンクGF5(以下ホワイトGF5)を見つけました。送料込みで4,180円です。純正バッテリーも付いてるので、パーツが流用できればお安い買い物になります。ということで落札しました。
届いた商品です。画面は映らないけど電源は入るみたいで、シャッターも切れますが、LCD表面のコーティング剥がれも確認でき、全体的に状態は良好とは言えません。
本体左下にボディの凹みが。外観から判断すると、落下の衝撃でLCDにダメージが加わり表示されなくなったようです。センサーユニットやメイン基板(ロジックボード)は問題なさそうです。
入手したジャンクGF5を分解
分解の前に確認すること
- バッテリー・SDカードを外す
- ストロボコンデンサを放電する
- 静電気対策
- ホコリ対策
- ネジ管理
手順1:背面パネルを外す
それでは分解していきましょう。今回は背面パネル周辺の分解手順に絞って解説します。センサーなど本体部分の詳しい分解手順については以前の記事で詳しく解説しています。まずは、底面3カ所のネジを外します。
さらに左側面2か所と、右側面2か所のネジを外せば背面カバーが外れます。
背面カバーから出ている2本のフレキシブルケーブルを外します。黒いパーツ(フリップロック)を爪先など使って90度跳ね上げるとロックが解除されます。あとはケーブルを引き抜くだけ。フリップロックは細かいパーツで壊れやすいので慎重に扱ってください。
手順2 : LCDパネルを取り外す
LCDパネルの状態を見るため外すことに。背面パネルの3本のネジを外せば、LCDを固定している金具を取り外せます。
LCDパーツが外れました。
ボディに凹みのあった左下から亀裂が入っているのがわかります。こちらを新品と交換すれば動作するはず。
ただ、AliExpressではバックライトなしのLCDパネルしか扱いがないようで、バックライトを取り外して付け替えとなるとひと手間かかるかもしれません。分解に慣れていない人にはバックライト付きユニットを探すのが無難です。
手順3 : GF5のメイン基板を交換
ここからが修理の本編になります。GF5(ブラックBK)のLCDをジャンクGF5(ホワイトW)に付け替えればよいのですが、ホワイトGF5は本体に凹みがある上に、ローパスフィルターの取り外しが面倒なので、状態のよいブラックGF5の本体を活かすことにします。
GF5BKとGF5Wのメイン基板を取り外して交換します。
やはりメイン基板に問題があったようで、基板交換しただけで電源が入るようになりました。無事修理完了です。
メイン基板とLCDが壊れたホワイトGF5も、新品のLCDを入手して、ヒューズ交換すれば使えるようになると思われますが、当方の技術力では難しそうなので今回はここまでにします。
修理したGF5で元通り撮影できるか
トキナーのSD 400mm F5.6を入手
それでは修理が完了したGF5でテスト撮影していきましょう。通常のテスト撮影は前回実施済なので、今回はヤフオクで入手したトキナーのSD 400mm F5.6の性能検証も合わせて試してみます。400mm単焦点が送料込みで3,780円(本体2,480円+送料1,300円)はお得です。
安価にもかかわらず、カビなどダメージもなく状態のよいレンズです。フルサイズ400mmの割にコンパクトなレンズで、重量980gと所有しているSIGMA 50-500や70-200と比べると軽量で携帯性は良さそうです。
レンズはペンタックスK(PK)マウントで、PK-M43アダプター経由でGF5に装着します。
マイクロフォーサーズでは35mm換算で800mm相当の画角が得られます。古い単焦点レンズで、赤外線撮影時にホットスポットが出にくいと想像していますが写りはどうでしょうか。
予算が許すならLEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3とか使いたいところですが、さすがに20万円のレンズは無理です。
赤外線テスト撮影(奈良公園)
奈良公園でスナップ撮影
今回は、鹿の赤外線暗視撮影を計画して奈良に入りましたが、あいにくの雨模様で中止に。M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R(以下ED 40-150mm)を携えて朝から奈良公園で赤外線スナップ撮影です。
曇り空のためIR760を装着します。ISO160でシャッタースピードは1/400秒出ているので、動体でも問題なく撮影できます。
IRフィルターの選定基準は下記記事に詳しく記載しているので興味のある人は参考にしてください。▶スマホで赤外線撮影は可能?IRフィルター比較と限界(680〜950nm)
動画撮影も試してみました。三脚不使用で、手ブレ補正も効かないため、ぶれ気味ですがご了承ください。
IRフィルターの代わりに、UV/IRカットフィルターを装着することでカラー撮影もできます。奈良公園での赤外線撮影については、もう少し暖かくなったら再チャレンジの予定です。
猿沢池で100mの画角チェック
場所を移して、猿沢池の対岸からベンチを撮影してみます。各レンズの画角をチェックしていきましょう。距離は100m程度です。
広角端40mmの画角から。ED 40-150mmは光学式手ブレ補正機構を内蔵していません。加えてGF5もボディ内手ブレ補正を搭載していないので、手ブレ対策が必要に。三脚を使って撮影しています。
望遠端150mmは35mm換算で300mm相当になります。このレンズはオーバーインフに対応しているので、ローパスフィルターを外しても無限遠でピントが合います。
なお、オーバーインフについては過去記事で詳しく解説しているので興味のある人はそちらを参照ください。▶Panasonic DMC-GF5 フルスペクトル改造レビュー|赤外線撮影・無限遠フォーカス問題を徹底検証(第2回撮影編)
さらにデジタル2倍ズームでここまで拡大できます。まずまずの拡大率ですが、携帯性を考えると合格点です。
Tokina SD 400mm F5.6(PKマウント)の遠景・画角チェック
レンズをSD 400mm F5.6に交換しました。このレンズは72mm径のためIRフィルターは装着していません。オーバーインフ非対応のため無限遠ではピントが合いませんが、100m程度の距離なら問題なくピントが合います。
ややボンヤリした画質です。SD 400mmは、①F8まで絞らないと画質がイマイチ②パープルフリンジが出やすいレンズという評価のようですが、そのあたりが影響しているのでしょうか。
デジタル2倍ズームを併用することで100mの距離でもここまで拡大できます。ただ、画質的にはこのままではやや厳しいかなという評価。絞り値による画質の変化や、IRフィルターやUV/IRフィルターを装着したとき写りがどうなるか、次回もう少し詳しく検証します。
赤外線テスト撮影(うめきた公園)
梅田へ移動して赤外線スナップ
場所を梅田に移しました。ED 40-150mmで何パターンかIR760を装着してスナップ撮影です。
HEP FIVEの観覧車です。GF5はオートフォーカスが使えるので赤外線スナップ撮影にはおすすめです。
天気が良くなってきたのでIR850に切り替えます。
HEP FIVE前の交差点で動画撮影してみました。ED 40-150mmは小型レンズなので、撮影していても怪しさは抑えられます。
うめきた公園へ移動
うめきた公園でもテスト撮影です。うめきた公園については以前にNV016を使った暗視撮影もテストしているので、そちらも参考にしてください。
▶大阪梅田 うめきた広場でナイトビジョンカメラのテスト撮影メモ
IR760から。IR760では赤色域の可視光も取り込むため、やや赤みが目立ちます。
IR850です。人が座っている段差まで距離は約90mあるので、望遠端でもこの程度の拡大率になります。
デジタル2倍ズームでここまで寄れますが、画角的には物足りない。オリンパスはボディ内手ブレ補正でレンズ側に手ブレ補正が内蔵されていないため、手ブレ補正が効くG VARIO 100-300mm/F4.0-5.6 II /POWERあたりが欲しいところです。
北梅田のビル群も撮影してみました。IR850では可視光域がほぼカットされるため雰囲気が変わります。
こちらはIR760です。夕日の時間帯は赤みが強調されるIR720やIR760が映えます。
赤外線暗視撮影(うめきた公園)
同じくうめきた公園で暗視撮影のテストも検証です。大屋根の下からベンチに座っている人を狙います。距離は約90m。
VCSEL 850nmの赤外線ライトを照射しています。IRフィルターは外しています。
IIIF150 Raptorのナイトビジョンカメラで撮影すると、画面中央の明るい箇所に赤外線が照射されているのがわかります。低速シャッター(1/20)と高感度(ISO 2919)で明るく写っていますが、肉眼ではもう少し暗くなります。
今回使用したVCSEL IRライト(850nm)についてはこちらのページにまとめています。▶赤外線ライト IRトーチ(5W LED / VCSEL)関連情報まとめ
動画撮影したものから画像を切り抜いています。広角端40mm(35mm換算で80mm)ではこのような画角です。フルスペクトル化GF5では赤外線にも感度があるため、IRライトで照射された箇所が明るくなっています。
望遠端150mmでもこの程度。物足りない画角です。
デジタル2倍ズームです。センサー感度の低いGF5ですが、明るさは十分です。
SD 400mm F5.6に交換しました。35mm換算で800mm相当になります。日中は今ひとつな画質でしたが、夜間暗視撮影では問題なく使えます。
デジタル2倍と組み合わせるとここまで寄れます。F5.6と暗めなレンズではありますが、単焦点で光学ロスが少ないことが貢献しているようで、十分な明るさです。ホットスポットも確認できません。
NVC200のような近赤外線域のセンサー感度が高いナイトビジョンカメラと比べると、センサー感度の面でやや見劣りするGF5ですが、高輝度IRライトと単焦点レンズの組み合わせなら、90mの距離でも十分明るく撮影できることがわかりました。
Tokina SD 400mm F5.6の評価
今回検証したSD 400mmは、F5.6とやや暗めなレンズではありますが、単焦点レンズで光学構成が5群8枚と比較的シンプルな構造です。現代の複雑なズームレンズより透過ロスは少なく、公称F5.6に対してT5.8〜T6.0くらいと暗所耐性は高そうです。
ただ、F5.6ではソフト傾向が強くF8まで絞らないと実用的なシャープネスが出ないというのが弱点のようです。とはいえ、フルサイズ400mmとしては1kg切りのコンパクトなレンズで、ホットスポットも目立たないので、遠距離の赤外線撮影用レンズとしてはコスパ高くておすすめです。今回は旅行のついでのざっくり検証になったので、このあたりも含めて後日改めて詳しく検証します。
まとめ:故障を乗り越えて見えた超望遠暗視の可能性
今回のトラブルを通じて、GF5の電源周りの脆弱性と、チップヒューズによる保護回路の重要性を再認識しました。ハンダ付けによるヒューズ交換は難易度が高いですが、今回のような「ジャンク機からの基板移植」であれば、初心者でも比較的安全に修理が可能です。
また、併せてテストしたTokina SD 400mm F5.6は、日中の解像度には課題があるものの、赤外線暗視撮影においてはホットスポットも出ず、非常に高いコストパフォーマンスを発揮してくれました。軽量な400mm単焦点という特性は、機動力が求められる夜間撮影において大きな武器になります。
今後は、今回課題となった「絞り値による画質の変化」や「IRフィルターごとの描写の違い」について、さらに深掘りしていく予定です。
次に読むのにおすすめの記事:
▶[Panasonic DMC-GF5 フルスペクトル改造の全工程はこちら]
▶[夜間撮影の最強の味方!VCSEL赤外線ライト比較レビュー]
SIGMA APO 400mm f/5.6との比較
参考までに、同じく安価に入手できる単焦点400mmレンズのSIGMA APO 400mm f/5.6と比較してみました。
SIGMA APO 400mm f/5.6 vs Tokina SD 400mm f/5.6 比較表
| 項目 | Sigma APO 400mm f/5.6 (APO / APO Macro / Tele Macro版中心) |
Tokina SD 400mm f/5.6 (SD / AT-X SD版中心) |
|---|---|---|
| 光学構成 | 10〜11群7〜8枚 (2枚SLD/APO補正) |
8群5枚 (1枚SD低分散) |
| 重量(目安) | 約960g〜1.45kg (バージョンによる) |
約980〜990g (軽量コンパクト) |
| 最短撮影距離 | 約1.6m(Macro版)〜4m | 約2.4m〜4m (バージョンによる) |
| AF | AFあり(HSM版も存在) | 主にMF(一部AT-X AF版あり) |
| 開放f/5.6のシャープネス | △〜○(Macro版がやや有利、ソフト傾向) | △(ソフトでコントラスト低め) |
| f/8以降のシャープネス | ○(良好、個体差大) | ○(コーナーまで安定しやすい) |
| 色収差(CA) | APO補正で良好だが個体差あり | やや目立つ(特にf/5.6) |
| T値(実効透過率) | 要素数が多い分ロス多め 油汚れ個体でさらに悪化しやすい |
シンプル構成でロス少なく有利 (T/5.8〜6.0程度推定) |
| IRホットスポット | 古い単焦点のため比較的出にくい (個体差あり) |
単焦点シンプル設計で出にくい傾向 (f/8〜f/11でほぼ解消) |
| 暗所/IR実用性 | ★☆☆☆☆ (三脚必須、油汚れに注意) |
★☆☆☆☆ (軽量で扱いやすくT値有利) |
| 中古価格目安(2026年現在) | 2〜5万円前後 (状態良いMacro版は高め) |
1〜3万円前後 (コスパ最強) |
| コメント | APO補正で色収差が抑えられ、Macro版は近接撮影も可能。AFが欲しい人に有利。ただし油汚れ(haze)個体が多く、実効T値が落ちて暗所IRで不利になるケースが多い。 | 軽量・シンプル設計でT値・IRホットスポット耐性に優位。f/8で実用的になり、GF5の軽量ボディとのバランスが良い。コスパ重視・実験用に最適。 |
よくある質問(FAQ)
Q1. Panasonic GF5が突然動かなくなった原因は何ですか?
A. AliExpress製のカプラーと品質の低いACアダプターの組み合わせにより、過電圧などの電源トラブルが発生し、基板上のチップヒューズ(SMDヒューズ)が断線した可能性が高いです。
Q2. チップヒューズが故障しているか確認する方法は?
A. マルチメーターで抵抗値を測定します。正常であればほぼ0Ωですが、100Ω以上の高い値が出る場合は内部断線の可能性が高く、交換が必要です。
Q3. GF5のヒューズ交換は初心者でも可能ですか?
A. SMDヒューズは非常に小さく、精密なハンダ作業が必要なため難易度は高めです。初心者の場合はジャンク機からの基板移植(ニコイチ修理)のほうが現実的です。
Q4. ジャンクGF5を使った修理はどのように行いますか?
A. 動作不良の本体と、別のジャンク機から正常なパーツ(主にメイン基板)を取り出し、移植します。今回のケースでは基板交換のみで復旧しました。
Q5. 液晶が壊れたGF5は修理できますか?
A. 可能です。AliExpressなどでLCDパネルを入手して交換できますが、バックライト付きユニットでない場合は分解作業が増えるため難易度が上がります。
Q6. Tokina SD 400mm F5.6は赤外線撮影に向いていますか?
A. 単純な光学構成のため透過率が高く、IRホットスポットも出にくい傾向があります。暗所の赤外線撮影でも実用的で、コストパフォーマンスに優れたレンズです。
Q7. マイクロフォーサーズで400mmレンズを使うとどのくらいの画角になりますか?
A. 35mm換算で約800mm相当となり、遠距離の被写体を大きく捉えることができます。
Q8. GF5は暗視撮影に使えますか?
A. フルスペクトル改造を施し、赤外線ライトを併用すれば暗視撮影が可能です。ただし専用ナイトビジョン機に比べるとセンサー感度はやや劣ります。
Q9. IR760とIR850フィルターの違いは何ですか?
A. IR760は可視光の赤成分も一部含むため赤みが出やすく、IR850は可視光をほぼ遮断するためモノクロに近い描写になります。
Q10. 赤外線撮影で手ブレを防ぐにはどうすればよいですか?
A. 三脚の使用が基本です。加えてシャッタースピードを確保するためにISO感度を上げる、明るいレンズや強力なIRライトを使うと安定します。


























