【レビュー】フルカラー&赤外線ナイトビジョンデジカメNVC200レビュー(完全版)


6月に購入した赤外線暗視撮影機能を搭載したナイトビジョンカメラNVC200の3カ月使用レビューをまとめました。コンデジスタイルで、高感度フルカラーおよび赤外線モノクロ暗視撮影に対応。最大5K動画52MP静止画を撮影可能な中華デジカメです。

暗視撮影機能を軸に、良かった点やイマイチな点、比較機種との違いを解説します。

さらに、テレコン外部赤外線ライトマウント改造の情報も紹介。ナイトビジョンデジカメの購入を検討中の人は参考にしてください。実写サンプルや操作方法は過去動画やブログを参照ください。それではレビュースタートです。

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※過去の記事・動画をまとめています。

[使用した商品]

商品概要


商品はAliExpressで見つけたNVC200という型番のナイトビジョンカメラです。コンデジスタイルの望遠暗視スコープで、カメラと暗視撮影用の赤外線投光器を備えます。低照度カラー赤外線ナイトビジョン撮影に対応しているのが特長で、35mm換算265mm相当の光学望遠レンズとデジタルズームで最大1765mm相当(※25mm×10.6×デジタル6.6倍)の超望遠撮影ができます。価格は2025年9月現在、AliExpressで2万円前後、日本のAmazonでは2.3万円前後で入手できます(※掲載時の価格です)。

※10.6倍=1/4インチセンサークロップファクター

※デジタル6.6倍=デジタル10倍の実際の倍率

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コンデジスタイルの外観で、向かって右側にカメラレンズが配置されています。レンズ横には暗視撮影用の赤外線を照射するIR LEDライトが内蔵されています。

本体サイズは14×9×10.5cmで、タテヨコはiPhone SEよりひと回り大きいくらい。パナGHシリーズのようなちょっと大きめのミラーレスカメラと同程度のサイズ感です。

ボディの厚みは4cmで、レンズ部を含むと10.5cmになります。

重量の実測値は322グラムで。

本体前面には50mm f0.8と記載されたカメラレンズがあります。

レンズは単焦点25mmで、画角が10°ということで35mm換算で265mm相当です。市販のビデオカメラでいうところの10倍(※25mm起算)くらいのズーム倍率です。

デジタルズームは最大10倍ですが、実際の倍率は6.6倍程度。カラー撮影ではそれなりに画質が低下しますが、ナイトビジョン撮影ならデジタル5倍(※実際の倍率は2倍)あたりまでは常用できます。

レンズ左側のパネルの中に赤外線LEDライトが内蔵されています。

赤外線カメラで撮影すると中が見えます。850nmタイプの7段階可変式IR LEDで、ナイトビジョン撮影用の近赤外線光(NIR)を照射できます。

背面は大部分を4インチモニターが占めます。画面サイズは87×49mm4インチ(480×854)IPS型TFT液晶で、デジカメとしては大型の部類です。

5段階で輝度調整でき、晴天下でも問題なく使えます。ピント合わせにはやや精細感が不足しますが、視認性は良好です。

搭載しているカメラセンサーはおそらくSmartSens TechnologySC8052で、8MP1/4インチセンサーです。

1/4インチセンサーは一般的なカメラセンサーと比べるとかなりサイズが小さく、1画素あたりの受光面積が狭いため画質が低下するデメリットがあります。

一方で、小型センサーはレンズサイズを小さくできるのがメリットです。

1/4インチセンサーではクロップファクター(切抜効果)によりフルサイズの10.6倍の画角になるので、25mmのレンズでも35mm換算265mm相当の倍率が稼げます。

撮影は最大で静止画5200万画素動画5K 20fpsに対応します。4K 30fps8MPセンサーで記録できますが、5K動画や800万画素を超える静止画については画素補間しているようです。画素数を上げても画質は大差ないので24MP静止画や4K動画あたりを常用しています。

夜間撮影機能については、街灯程度の光源があれば高感度センサーを生かしてカラー撮影できます。

加えて、明かりがまったくない環境では、内蔵IRライトを使った赤外線撮影ができます。

バッテリー容量は3,000mAhで、3時間程度の赤外線動画撮影ができます。USB Cポート経由で外部バッテリーも使えるので困ることはないでしょう。

記録はmicroSDカードで最大512GBまで。USB Cポートはパソコンに繋げると外部ストレージとして利用できるほか、UVC(USB Video Class)に対応し、1080PのUSBカメラとして認識させることも可能です。

WiFi接続

NVC200はWiFi機能を使ってスマホアプリにカメラの画像を表示できます。遠隔でカメラ画像を見ることができるので画角の確認はできますが、ブロックノイズ多め&遅延があるのでピント合わせには向きません。電波が届く範囲は10mくらいです。

使用感

3カ月使ってみての感想をまとめてみました。総評としては同じナイトビジョンスコープのNV016と比べるとお値段高めではあるけど、カメラスタイルで操作性の高い良機です。

基本的な性能はNV016と同じですが、それに加えて、

  1. コンパクトボディ
  2. 操作性
  3. 赤外線撮影
  4. 高輝度赤外線LED
  5. その他

といったあたりを特長として挙げることができます。詳しく解説していきます。

①コンパクトボディ

NVC200最大の魅力はコンデジスタイルの外観です。パッと見は普通のデジカメなので、いろんな意味で使いやすい。

NV016とほぼ同じ性能にもかかわらずかなりコンパクトにまとまっています。小型でカメラスタイルのボディは扱いやすく、NVC200をメイン機として利用しています。

②操作性

NV016と比べると操作性が向上しています。IRプラス・マイナスズームイン・アウトボタンが独立しているので、長押し操作が不要で操作ミスも起こりにくいです。

③赤外線撮影

ナイトビジョンモードで手軽に赤外線撮影できるのも大きなメリットです。さらに、IRフィルターを装着すれば可視光域をカットした赤外線撮影が楽しめます。NV016にも搭載の機能ですが、NVC200はデジカメスタイルでより使いやすいです。

IRフィルターなしでは可視光域も取り込まれますが。

IRフィルターを使うことで可視光域がカットされ、肉眼では見えない近赤外線域を捉えることができます。

高輝度赤外線LED

コンパクトなボディのNVC200ですが内蔵赤外線ライトはかなり強力です。

NV016と同タイプの高輝度IR LEDを内蔵しており、一般的な5W LED赤外線ライトと比較しても明るいです。

暗闇でも30-50m程度の距離であれば、暗視撮影に十分な赤外線を照射することができ、高感度センサーとの組み合わせで光源のない真っ暗な場所でも満足の画質を得ることができます。

⑤その他


そのほか高感度性能4K動画デジタルズーム4インチモニターといったあたりはNV016と同じなので省略です。画質や操作性などはNV016のレビューも参考にしてください。

残念ポイント

個人的には満足のNVC200ですが残念ポイントもいくつかあるので触れておきましょう。不満点は、

  1. スペック詐称
  2. 価格
  3. レンズ
  4. 品質
  5. 手ブレ補正

といったあたり。詳しく解説していきます。

①スペック詐称

まず、販売サイトに記載されているスペックはかなり盛られているのでご注意を。使われているのはSONY製センサーではありませんし、レンズの50mm F0.8もフェイクです。

デジタルズームの最大倍率は10倍となっていますが実際は6.6倍で、内蔵バッテリーの容量も確認したところ4800mAhではなく3000mAhでした。

②価格

NVC200の価格は22000-25000円で、この手のカメラとしてはやや高めです。

内部パーツはNV016とほぼ同じということを考えるとNV016の2倍の価格は高いなという印象です。

③品質

製品品質は今ひとつです。特にレンズフードやレンズ筒などレンズ周りのデザインが安っぽいです。フードが簡単に外せないのも困りもの。

加えて、フィルターユニットが脆弱です。テレコンを装着した状態で落としたときに衝撃で壊れる事態に陥りました。

プラスチック製のパーツでレンズ部を支えており、テレコンを装着するとこの箇所にかなり負荷がかかります。

また、筐体はプラスチック製で剛性が弱く手ブレを起こしやすいです。シャッターを押すだけでボディが動くので写真撮影には向いていません。

④光学レンズ

搭載されているのは25mmの小径レンズで、NV016と同じものです。光学倍率が35mm換算265mm相当というのは物足りないところ。

レンズの品質も今ひとつで、中心部はしっかり解像していますが、周辺部の画質が落ちるのも気になります。

⑤手ブレ補正

NVC200ではNV016にはない電子手ブレ補正機能が搭載されていますが、効果はほぼ感じられません。加えて、電子手ブレ補正をオンにした状態ではデジタルズームが使えないのもザンネンポイントです。

フィルター・テレコン装着

NVC200のレンズにはフードが付いているため、このままではフィルターアダプターを装着できません。ということで改造することに。

レンズ先端のフード部はかなりタイトですが、接着されていないので、レンズ筒を押さえてまっすぐ引っ張れば取り外せます。

37-55ステップダウンリングNVC200のレンズ筒に装着しました。

これでIRフィルターも使えるようになりました。

ナイトビジョンモードに切り替えれば可視光をカットした赤外線撮影を楽しむことができます。

アダプターはレンズ筒の外側に固定されるので、テレコン程度の重さなら大丈夫そうです。こちらも過去記事に詳しく記載しています。

テレコンについては何種類か試しましたが、SONYVCL-DH2637が画質、倍率の両面でおすすめです。2.6倍テレコンで35mm換算650mm相当の画角を得られます。30-50m程度の撮影距離なら十分な倍率です。

フィルターユニット交換

NVC200のフィルターユニットはプラスチック製のパーツで、テレコンを装着すると強度面で問題ありです。

フィルターユニットを金属製のものに交換しました。

これで重めのテレコンレンズを装着してもある程度の強度を確保できるようになりました。

さらにフィルターアダプターマウントを補強しておきます。これでレンズの重さがカメラ本体にある程度は分散されます。

ただし、レンズを支えているのはセンサー基板とプラスチックの土台なので、雑に扱うと壊れそうです。

外部赤外線ライト

強力なNVC200の赤外線ライトですが、30-50mあたりの範囲で適切な照射範囲になるよう設計されているようです。50mを超える距離では光が拡散されて弱まります。

65mの距離ではそれなりに暗くなっています。高輝度な赤外線を照射したり、バッテリー使用を節約したりするために外部ライトの使用がおすすめです。

VCSELタイプの高輝度赤外線ライトを用意しました。AlonefireというブランドのTK504(VCSEL)です。

VCSELは光源が面発光で、従来モデルのLEDと比べてムラがない指向性の高い光を照射できるのが特長です。

照射範囲を調整できるため、100m先の狭い範囲に赤外線を照射できます。

ホットシューがないので、L型ブラケットに固定して使います。

同じ条件でVCSELを照射すると65m先でも明るく撮影できます。本体のバッテリーを節約する意味でも外部赤外線ライトはおすすめです。

  • 赤外線ライトまとめ
  • マウントアダプター

    さらなる倍率向上を目指してフルサイズ用レンズを装着するためにマウントアダプターを取り付ける改造を施すことに。ニコンFレンズ用のマウントアダプターを調達です(※マウント改造には専門知識や工具が必要です。分解でセンサーダストが付着すると正常に撮影できなくなりますのでご注意ください)。

    NVC200は監視カメラなどで使われるCマウントが使われているので、マウント変換アダプターを装着することでニコンFなどフルサイズ用のレンズを取り付けることができます。

    SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3を装着です。1/4インチセンサー10.6倍に拡大されるので35mm換算では5300mm(500mm×10.6)相当になります。

    900m先のホテルへカメラを向けます。肉眼だとこれくらいの距離感です。

    最上階のレストランの様子もよくわかります。改造については過去記事で詳しく解説しているので、そちらも参考にしてください。

    • NV016まとめ(魔改造編)
    • 総合評価☆☆☆☆☆

      ということでまとめです。NVC200はコンパクトさと操作性が魅力のナイトビジョンカメラです。性能的にはNV016とほぼ同じですが、コンデジスタイルの外観とコンパクトさは大きな利点です。双眼鏡スタイルのNV016では人目が気になるような場面でも、NVC200ならカメラスタイルの外観で気軽に撮影できます。小型レンズで250mm相当の望遠撮影ができるのも大きなメリットです。

      手動フォーカスで手ブレ補正も効かず、マニュアル設定もできないなど今時のデジカメと比べるとかなりクセのある製品ですが、望遠・暗視撮影用のビデオカメラとしてはおすすめできる一品です。

      暗視機能は街灯程度の明かりがあればカラー撮影でき、光源がまったく無い暗闇でも内蔵IRライトを使った赤外線撮影が可能です。使用しているセンサーの感度が高いので、暗所の画質は一般的なビデオカメラと比べて良好です。

      ほぼ同じ性能のNV016と比べると、価格が高いかなという印象ですが、持ち運びやすさや操作性を重視するならNVC200を選択するのがよいでしょう。監視や野生動物撮影などの用途であれば価格の安いNV016でよいと思います。NV016レビューも参考にしてください。

      カスタマイズについては、フィルターアダプターを取り付ければテレコン装着ができるので、20倍ズーム搭載のハンディカムと同等の望遠撮影が楽しめます。ハンディカムと比べると暗所での感度耐性が高いのもメリットです。

      カメラセンサーは近赤外線域の感度も高いので、赤外線フィルター(IRフィルター)を装着することで可視光をカットした特殊赤外線撮影も可能になります。

      さらにVCSELのような高輝度外部赤外線ライトと組み合わせることで100mを超えるような超遠距離での暗視撮影にも対応します。野生動物の撮影や防犯目的などいろんな場面で役に立つでしょう。

      部品調達やレンズユニットの分解などやや敷居が高くなりますが、マウント改造してフルサイズ用の500mmレンズを装着すれば35mm換算で5000mm超の高倍率撮影も楽しめます。

      過去動画では色んなシーンを想定して撮影した動画サンプルをアップしているのでそちらも参考にしてください。このチャンネルでは、赤外線撮影機材のレビューや各種話題をお届けしています。動画アップ時に通知がいくのでチャンネル登録いただけるとうれしいです。