双眼鏡スタイルの望遠暗視スコープNV016レビューの第3弾です。今回は、近赤外線域に強いNV016のセンサーを生かした赤外線透過撮影をテストします。NV016のカメラレンズに可視光をカットする赤外線フィルター(IRフィルター)を装着して、水着を着せたマネキンをナイトビジョン撮影します。赤外線撮影の透過効果で水着は透けるのか。ナイトショットモード搭載のSONYハンディカムHDR-AX55や、赤外線専用カメラ搭載スマホのIIIF150 Raptorとも比較していますので合わせてお楽しみください。それでは透け透け撮影の検証スタートです。
※記事内の動画はYouTubeで視聴できます
[関連記事]
【レビュー】5K録画対応暗視スコープNV016で夜の公園を覗いてみた
[使用した商品]
Panasonic 2倍テレコン DMW-GTC1(※終売)
【カメラセンサー】
NV016に使われているセンサーについて調べてみたところ、ドラレコ用センサーという特性上、一般的なスマホカメラのセンサーと比べると近赤外線の感度が高くなるよう設計されているみたいです。
近赤外線の感度が高いということは、NV016のナイトビジョン撮影機能はいわゆる赤外線透過撮影に適しているのかもしれません。これはテストしてみる必要がありますね。
【IRフィルター装着】
NV016に赤外線フィルター(IRフィルター)を装着して、透過撮影をテストしてみることにしました。カメラレンズ部にIRフィルターを取り付けますが、NV016のレンズ筒にはフィルターネジがありません。
方法としては、ゼラチンフィルターをカットしてレンズに貼り付けるか、レンズ筒にフィルターネジを付けるかの2種類が考えられます。
前回の動画では、37 to 17mmステップダウンアダプターをレンズ筒の内側に取り付けましたが、この方法だとセンサー面に対してきっちり水平にアダプターを配置するのが難しく、光軸がズレてしまうようです。
ということで、39-37mmステップダウンリングを調達して、レンズ筒の前側に接着剤で貼り付けてみました。これならレンズ筒のフチにぴったり装着できるため、光軸のズレも抑えることができます。
※アロンアルファなど揮発性の瞬間接着剤は、乾燥時に気化した接着剤が付着して白くなる白化現象でレンズ筒やレンズが白くなるおそれがあるのでご注意ください。アロンアルファ光のようなUV接着剤がおすすめです。
ZOMEIのIR760フィルターを装着して準備完了です。
【室内テスト】
それでは準備ができたので、室内撮影からテストしていきましょう。検証用のマネキンにクレヨンしんちゃんのフィルムを貼り付けた上で、ピンクの水着を着せて撮影します。
裏地の付いた一般的な水着で、透け効果を確認します。
スマホカメラでカラー撮影するとまったく透けていません。
NV016のナイトビジョンモードで撮影しました。IRライトのレベル1で、シャッタースピードは1/480です。しんちゃんがうっすら透けていますね。赤外線撮影では可視光がカットされるため水着の模様も消えています。
IRライトをレベル4に上げてみました。透け感に変化は無いですが、光量が増えるためシャッタースピードは1/1114まで上がります。
レベル7です。レベル1と比べると透け感は高まったかな。シャッタースピードは1/1686まで上がります。これだけ速いシャッタースピードなら被写体ブレにも強くなります。
Raptorのナイトビジョンカメラで撮影するとこんな感じです。NV016のほうが透け感は高いような気がします。
■
動画も撮影してみました。徐々にIRライトの光量を上げていきます。レベル1で十分な光量がある上に、オートで露出を補正するので透け感に大きな変化はないようです。
続いて水着に水をかけての撮影です。水で濡らすことで肌と生地とが密着する上に、生地の隙間に水が入るため、より透けやすくなります。
Raptorで撮影するとこのような透け感です。濡れていない時よりはっきりと透けて見えるようになりました。
NV016です。Raptorよりクッキリと透けていますね。赤外線受光量の多いドラレコ用センサーの効果で透け感が強くなるようです。
ただし、NV016は拡大してみるとノイズが多いのが気になりますね。赤外線専用でカラーフィルターの無いRaptorのカメラのほうが、解像感が高く、生地の繊維もしっかり写っています。
■
カラー動画を見るとわかりますが、NV016は1300万画素センサーから4倍の5200万画素を読み出しているため、かなりノイズの乗った映像です。
おまけです。以前のレビューで紹介した三愛水着の透け防止加工を施したインナーショーツを水着の下に着せて撮影してみました。
水着と防透けショーツの2枚重ねではさすがに透けないようです。
ところが、水着を濡らしてNV016で撮影してみるとそれなりに透けています。着けないよりはマシですが、それでも透けるのを防ぐことは無理なようです。
【屋外撮影】
続いて屋外撮影も検証してみました。薄曇りですが日中で赤外線はそれなりに照射している環境です。室内撮影で使ったものと同じ水着を着けて撮影です。
NV016のカラーモードです。IRカットフィルターは入っていないので、赤外線域の感度はありますが、透けていません。
ナイトビジョンモード(レベル1)です。IRフィルターは未装着です。こちらも透けません。
IR760フィルターを装着しました。水着の模様が消えて、しんちゃんの顔が透けています。
赤外線の照射量をレベル7まで上げてみましたが大きな変化は見られません。太陽光だけで十分な赤外線量のようです。
■
動画も撮影してみました。パッと見てはあまり透けていないようにみえますが、ズームすると露出が合って、しっかり透けていることがわかります。
フィルターをIR850に変えてみました。透け感が強まった印象です。赤外線量の多い屋外ならIR850のほうが透過効果は高そうです。
ちなみに、SONYハンディカム HDR-AX55のナイトショットモードにIR850を装着して撮影するとこんな感じです。画質自体はAX55のほうがきれいですが、透け感はNV016のほうが高いですかね。
■
続いて、水着を濡らしてみます。しんちゃんがかなりはっきりと透けました。水をかけることで生地と肌が密着して、透け感が強くなることがわかります。
【まとめ】
ということで、まとめです。NV016に赤外線フィルター(IRフィルター)を装着し、ナイトビジョン撮影することで赤外線透過撮影ができます。ハンディカムのナイトショットやRaptorのナイトビジョンカメラと比較して、NV016のほうがより透け効果があるような印象です。
NV016に使われているカメラセンサーのメーカーや型番は不明ですが、ドラレコやセキュリティカメラ用で近赤外線域の感度が高くなるよう設計されており、一般的なカメラセンサーよりも赤外線の透過効果が強いようです。
検証結果のとおり、市販の水着ではかなりはっきりと透けましたし、防透け効果を謳う商品を着けても、ある程度は透けてしまうので、これからの季節は注意が必要でしょう。
このチャンネルでは、これからも赤外線撮影についてさまざまな話題を提供していきます。動画アップ時に通知をお届けできるのでチャンネル登録いただけるとうれしいです。
[関連記事]