前回レビューしたニコンSeries E 100mm F2.8が思いのほか使えたのでSeries Eのレンズをもう1本メルカリで調達することに。今回入手したのはズームレンズのE 75-150mm F3.5です。送料込みで2400円は安い。
このレンズを改造版NVC200に装着すると35mm換算で800-1600mm相当の画角を得られる計算ですが、画質はどうなるでしょうか。
さらに、オリンパスの1.7倍テレコンTCON-17Xを組み合わせての超望遠撮影にもチャレンジです。夜間暗視撮影を中心にいろんなパターンでテスト撮影してみましょう。
なお、ナイトビジョンコンデジNVC200の仕様や詳細については撮影編、修理&改造編など過去動画で詳しく紹介しています。YouTubeには掲載できなかった情報や追加情報についてはブログに随時掲載しているのでそちらも参考にしてください。それではレビュースタートです。
【動画内で紹介した製品(Amazonリンク)】
【ズームクリープ修理】
届いた商品はカビもなく状態の良いレンズでしたが、ズームリングが緩いようです。
レンズを上に向けるとズームリングが下に落ちてくるズームクリープという不具合が確認できます。中古のE 75-150 F3.5では典型的な症状のようで、まずはこちらを修理することに。
ズームリングのラバーを剥がすと銅板の下にプラスネジがあるのでそれを外すと、前側のレンズ筒が抜けます。
ズームリングの前側に革製の摩擦材が貼り付けてあります。この摩擦材が擦り減っているのがスカスカの原因なので交換することに。
劣化して粉がボロボロ落ちてくるうえにカビくさいのでオリジナルは処分です。
Amazonで入手したフェルトを同じサイズに切って貼ることに。片面に両面テープが貼ってあるので作業しやすいです。
オリジナルのスペーサーの厚みは1.5mmくらい。用意したフェルトでは厚みが足りないので、両面テープ3枚を重ね貼りして厚みを調整します。凹んだ部分から少しフェルトがはみ出すくらいが目安です。
これでレンズを上に向けてもズームリングが落ちなくなりました。修理完了です。
【装着】
それではNVC200にE 75-150 F3.5を取り付けてみましょう。E 100mm F2.8と比べると倍くらいのサイズ感です。
常用するにはサイズ的にちょっと大きいかな。なお、レンズはズームリングを前後&回転させることでズーム、ピント調整する構造のため三脚座を付けるスペースがありません。
【撮影テスト】
テスト撮影はいつもの岡山城です。天守閣までの距離は375m。
レンズは555gでNVC200のボディで支えるにはちょっと厳しい重量です。雑に扱えばボキッといきそうなので慎重に扱いながら撮影です。
広角端75mmです。コンパクトなレンズですが写りは上々です。
デジタル5倍。
デジタル10倍。
望遠端150mmは35mm換算で10.6倍の1590mm相当です。このサイズ感でここまでズームできるのはうれしい。
デジタル5倍、実倍率は2倍です。
デジタル10倍で実倍率6.6倍です。ややノイズが目立ちます。
続いて250m先の橋の看板を撮影です。
比較用に、以前ハンディカム FDR-AX55にオリンパスのTCON-17Xを装着して撮影した時の望遠端の画像です。1366mm相当では看板の文字は判読不能です。
望遠端150mmです。
デジタル5倍で看板の文字が読めそう。F3.5の明るいレンズで、晴天下なら被写体ブレもないです。
デジタル10倍です。魚釣りのイラストもはっきり写っています。
対岸にカメラを向けてアオサギを撮影です。距離は125mくらい。
デジタル5倍です。もう少し倍率が欲しいかなという距離感。
デジタル10倍です。
河川敷に降りてみました。それでも等倍ではやや厳しいサイズ感です。
デジタル5倍を使えばいい感じでフレームに収まります。
デジタル10倍です。
ボートにカメラを向けてみました。橋より奥側を進んでいるので250m以上離れています。
【テレコン装着】
E 75-150 F3.5のフィルター径は52mmなので、55-52ステップアップリング経由でTCON-17Xを装着できます。
1.7倍テレコンで127-255mmになりますが、E 100 F2.8のようにTCON-17Xを三脚座に固定するとピント調整時にカメラ本体が回転してしまいます。
双眼鏡サポートでレンズアダプターを固定することで解決しました。これで重量のあるテレコンを付けても大丈夫。詳細はブログ記事で確認ください。
フロントテレコンTCON-17Xを装着して撮影してみました。画角は1.7倍になり、望遠端で255mm、35mm換算2703mm相当です。
デジタル5倍です。文字が読めるようになりました。
デジタル10倍では釣り糸などイラストの細かい描写も確認できます。
【暗視撮影】
公園の芝生広場で暗視撮影のテストです。ほぼ真っ暗な環境です。
VCSEL赤外線ライトを照射してナイトビジョンモードで100m先の看板を撮影します。
広角端75mmから。シャッタースピード(SS)は1/15 秒、ISO 787です。NVC200の測光方式は画面全体平均測光のため、赤外線光が当たっていない周辺部に引きづられてシャッタースピードが落ちています。
デジタル5倍です。SS 1/20でISO 685に。
デジタル10倍ではSS 1/30 ISO 578です。
望遠端150mmです。SS 1/25でISO 793。ズームすると赤外線照射範囲の割合が広がるため、シャッタースピードが速くなります。
デジタル5倍ズームではSS 1/30 ISO 670に。ISO感度も下がっています。
デジタル10倍ではSS 1/30でISO 408に。
絞りの変化とISO値の関係はこのような感じです。絞ってもホットスポットは目立ちません。F4 ISO 1062
F5.6 ISO 2352
F8 ISO 6114
F11 ISO 6400
人物撮影も見ていきましょう。望遠端150mmです。F3.5と明るいレンズに加えてVCSEL IRライトを照射することで街灯のない暗闇でもここまできれいに撮影できます。
TCON-17Xを装着です。レンズコーティングの影響で、同心円状の色むら(ホットスポット)が目立ちます。
もうワンパターン撮影です。60-70m程度の距離です。
望遠端ではここまで拡大できます。
少し引いて全身が収まる程度です。
【後楽園】
日を改めて岡山後楽園で人物撮影です。この日は夜間開園していたので暗視撮影テストです。ライトアップの照明が当たる箇所以外はほぼ真っ暗な環境です。
望遠端150mmでここまで寄れます。
望遠端では150mm×1.7倍の255mmで35mm換算2700mm相当になります。
TCON-17Xはフロントテレコンで口径が大きいので、E 75-150 F3.5に装着してもF値がほとんど落ちないのがメリットです。
安価なレンズですが、TCON-17Xと組み合わせることで255mmをF3.5で撮影できます。
園外へ出て、駐車場に止まっている車を撮影してみました。川を挟んで65mの距離です。河川敷の臨時駐車場でかなり暗い場所です。
カラー撮影から。1.7倍テレコンをつけています。広角端127mm(1350mm相当)でも十分な画角です。センサー感度が高いので車のボディは映っていますが、車内はほぼ見えません。
ナイトビジョンモードに切り替えても似たような感じです。NVC200の内蔵赤外線ライトでは光量が不足するようです。
VCSELライトを照射します。かなり明るくノイズもなくなりました。車内もはっきり見えています。
150mm(2700mm相当)にズームします。白いボディに露出が引きずられて車内はやや暗いですね。
デジタル5倍ズーム(実倍率2倍)でここまで拡大できます。
広角端75mmです。暗めのボディ色なら露出も合いやすく、人の顔もはっきり識別できるほどに撮影できます。
【超遠距離赤外線】
超遠距離赤外線撮影もテストです。場所を変えて350m先の工事看板を撮影してみましょう。
VCSEL IRライトを照射します。スマホのナイトビジョンカメラで撮影すると350m先でも赤外線が照射されているのがわかります。ただ、この距離では赤外線ライトの光量は100mと比べるとそれなりに減衰します。
カラーだとこんな感じ。街灯のない場所でかなり暗いですが、なんとか写っています。
広角端75mmです。シャッタースピードは下限の1/15でISO 2469です。
デジタル5倍ズームではISO 1400まで下がります。
デジタル10倍にするとISO 1150に。文字もボンヤリですが読めるようになりました。
絞りを1段絞ってF5.6にするとホットスポットが目立ってきます。
【まとめ】
ということで、まとめです。今回はニコンの軽量レンズSeries E 75-150 F3.5をNVC200に装着して望遠撮影テストしてみました。メルカリで2400円と安価に入手できたレンズですが満足の性能です。
ただ、同じSeries EのE 100 F2.8と比べると2倍くらいのサイズ感な上に。
華奢なボディのNVC200に取り付けるには強度面で不安を感じる重さです。ズームできるのは便利ですが、このレンズを常に持ち運ぶという選択肢は無いかな。
普段はE 100 F2.8を常用するとして、追加で150mmが必要かといわれれば微妙な画角です。
テレコンと双眼鏡ホルダーを合わせても1045gで1715gのAPO 70-200 F2.8+1.4倍TC(280mm)よりはコンパクトで持ち運びも容易です。
次回詳しくレビューするAi-S NIKKOR 100-300mm F5.6+双眼鏡ホルダーなら1133gでほぼ同じ重さですが、75-150+TCON-17XのほうがF値が1と1/3段分明るいです。
加えて、テレコンを外した状態では大きなレンズを使っている感は軽減されます。人物撮影など撮影対象に圧迫感を与えることもないでしょうか。
といったあたりを考慮すると暗視撮影用のレンズとしては、100m程度の距離であればE75-150 F3.5+TCON-17Xの組み合わせは意外と使えるのではという結論に至りました。
難点はTCON-17Xを装着するとホットスポットが目立つあたりですが、コンパクトさを優先させるならE 75-150 F3.5はありでしょう。
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