【レビュー】赤外線サーマル&ナイトショット搭載スマホ IIIF150 Raptor(サーマルカメラ編)

赤外線カメラとサーマルカメラをダブルで搭載したタフネススマホIIIF150 Raptorのレビューです。今回は物体の温度を感知・測定できるサーマルカメラに焦点を当てて見ていきます。

サーメルカメラとは

Raptorのサーマルカメラレビューへ移る前に簡単に機能について説明です。サーマルカメラ(サーマルイメージカメラ)は、物体から放射される遠赤外線を可視化するカメラです。ヒトやモノなど熱を持つ物体からは、肉眼では見ることができない遠赤外線が放射されています。物体から放射される遠赤外線は、高温な物体ほど強く、低温な物体ほど弱くなるという特性があります。

サーマルカメラには、遠赤外線を検出するセンサーが搭載されており、この遠赤外線の強弱を検知して温度を計測し、計測した温度に応じて画像処理で色付け表示します。

主な用途としては、建設現場で熱源を測定する非破壊検査や、軍事・警備で暗視カメラとして使用されています。そのほかにも、最近では新型コロナなど発熱者のチェックにも利用されています。安価で高性能なサーマルカメラが出ており、サバイバルゲーム(サバゲー)などの場面でも活用されています。

赤外線カメラとの違い

一方、赤外線カメラ(ナイトビジョンカメラ)は近赤外線を照射するLEDを搭載したカメラで、物体に反射した近赤外線をとらえることで対象物を撮影します。肉眼では見えない近赤外線を照射することで、暗闇の中でも撮影対象に気づかれずに撮影できるのが最大の特徴です。主に防犯目的に使われていますが、それ以外にも野生動物などの観察目的でも利用されます。

Raptorのサーマルカメラ

Raptorに搭載されているサーマルカメラセンサーはInfiRay社のTiny1-Cというモジュールで、256×192(49,152画素)の解像度です。フレームレート(1秒あたり表示される画像の枚数)が25Hzで、最長1000メートル先の物体を感知することができます。

使用方法

前置きが長くなりましたが、それでは実際にRaptorのサーマルカメラで撮影開始です。まずは使用方法を簡単に説明します。InfiRayアプリを起動すると、クイックモードでサーマルカメラの画像が表示されます。画面上の全体温度をタップするとランダムな3箇所の温度が表示されます。画面下部の撮影ボタンを押すと写真が撮れます。パレットでは表示色パターンを変更できます。

画像モードでは、表示形式を選択できます。通常はサーマルカメラとメインカメラの画像を合成したもの(MIX)が表示されますが、写真のようにサーマルカメラの画像(IR)だけを表示することもできます。

ミックスモードでは2つのカメラの画像を合成するため、近くのものを写すときは、視差で画像がズレます。距離を0.2〜4メートルの間でスライドさせることでズレを修整できます。

プロモードでは、温度パラメータの放射率、温度、距離を指定することで、より正確な計測ができます。温度は測定対象周辺の気温、距離は測定対象までの長さの値を指定します。

放射率は赤外線を放射しやすい材質の物体ほど1.0に近づき、放射しにくい物ほど0に近づきます。人間の皮膚の放射率は0.97です。標準の放射率は、0.95固定です。例えば、アルミニウムの放射率は0.30と低いので、そのままでは正確な温度が測定できません。測定前にアプリの放射率設定を0.30に変更する必要があります。

プロモードでは、任意の点の温度を計測することができます。ROI(関心領域:Region of Interest)をクリック、ポイントを選択し、計測箇所をタップすると測定ポイントを最大3箇所追加できます。

計測はポイント(点)のほかに、ボックスラインなど各3個まで追加可能です。そのほか、スケールを選択すると強調する温度範囲を指定することもできます。例えば人間だけを強調する場合は35℃〜39℃のように範囲を指定します。

屋外で撮影

旭川の河川敷で撮影です。この日は暑かったので、夕方でもアスファルトに熱が残っているため、人が通ってもいまいちはっきり区別できませんね。空と川は温度が低いので青くなっています。

日にちを変えて、雨上がりに西川緑道公園で撮影してみました。普通のカメラで撮ると写真のような感じです。

雨で地面の温度が下がっているので撮影しやすい環境です。サーマルカメラで撮影すると、ベンチに座っている人や電灯など熱源が赤く表示されます。肉眼では気づきませんでしたが、手前のベンチに野良猫が2匹座っているのがわかります。

近所の公園に移動しました。普通のカメラで撮影すると写真のとおり真っ暗です。

サーマルカメラに切り替えると、滑り台の上に野良猫が寝ているのがわかります。

Raptorのサーマルカメラは写真のほかに、動画やタイムラプス撮影もできます。動画で撮影してみました。ネコが歩いていく様子がきれいに写っています。

CAT60と比較

2016年に購入・レビューしたCAT S60にはFLIRのサーマルカメラが搭載されているのでそちらと比較してみましょう。こちらはセンサーが80×60と、かなり粗い上に、フレームレートが8.7Hz。計測可能な距離が最大50ft(15m)です。7年前の商品でスペックは低いですが、機能自体は問題なく、今でも現役で活躍しています。

CAT S60のサーモカメラ画像です。サーマルセンサーの解像度が低いため全体的に粗い印象です。また、細かい設定ができないため、条件によっては人の位置を把握するのが難しいです。

一方、Raptorは、解像度が高いのできめ細かい温度分布を確認できます。加えて、色の付く温度範囲を指定できるので視認性が高いです。きちんと設定すれば見つけたいものを見つけやすい。温度の分布も細かいですね。

総合評価☆☆☆☆☆

それでは、Raptorのサーマルカメラ評価です。良い点は、まず、従来モデルより解像度が大幅に向上し、画質が良くなっている点を挙げることができます。最長1キロ先まで感知できるようになったのもうれしいですね。屋外でも広範囲に撮影できます。野鳥撮影など野生動物を見つけるときにも使えそうな感じです。色づけする温度範囲を細かく調整できる点も評価できます。

難点は、クイックモードだと任意の点を選択できない点、加えてプロモードでは設定がやや複雑な点ですかね。日本語マニュアルがないため設定方法を把握するまでに時間を少し要しました。

とはいえ、サーマルカメラはあると便利な機能です。電気代高くて節電対策があれこれ必要なご時世で、家電製品の発熱チェックなど役立つ場面は多いでしょう。評価は満足の星5つです。

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