ニコンFマウントアダプターを装着した改造版ナイトビジョンカメラNVC200用にSeries E 100mm F2.8を入手してみたのでその実力を詳しくレビューします。
Nikkor 50mm F1.4とほとんど変わらないコンパクトなサイズ感がうれしい。
1/4インチセンサーのNVC200に装着することで35mm換算1060mm相当の光学倍率を得ることができます。今回はこのE 100mm F2.8を使って超望遠撮影をチェックしてみます。
さらに、過去のテストで画質がよかったソニーの2.6倍テレコンVCL-DH2637や
オリンパスの1.7倍テレコンTCON-17Xを装着しての超望遠撮影も検証です。
ソニー2.6倍を使えばニコンP1100の35mm換算3000mm相当に迫る最大2756mm(100mm×2.6倍×10.6)の光学倍率を得ることができますが画質はどうでしょう。実際の撮影シーンを想定しながらみていきましょう。
なお、ナイトビジョンコンデジNVC200の仕様や詳細については撮影編、修理&改造編など過去動画で詳しく紹介しています。YouTubeには掲載できなかった情報や追加情報についてはブログに随時掲載しているのでそちらも参考にしてください。それではレビュースタートです。
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【E 100mm F2.8】
入手したE 100mm F2.8(右)をAF Nikkor 50mm F1.4と並べてみました。全長は5mmくらい長いかな。一方で重量は215gと15gほど軽くサイズ感はほぼ同じです。
NVC200にぴったりです。このサイズで35mm換算1060mm相当の画角が得られるのはうれしい。
まずはE 100mm F2.8の実力から見ていきましょう。おなじみの岡山城で距離は370mです。
オリジナルレンズはこの程度の画角でした。レンズ性能がいまいちで、中心部はそれなりに解像していますが周辺部がつぶれています。
E100mm F2.8です。小さなレンズに似合わずかなりの拡大率です。NVC200オリジナルのレンズが25mmなので4倍の倍率が得られます。1/4インチセンサーではフルサイズレンズの中央部分のみを使用し、周辺部の歪みが少ない高画質な画像を得られます。
デジタル5倍ズームです。実倍率は2倍になります。
デジタル10倍ではここまで拡大できます。
赤外線撮影してみました。IRフィルターを装着することで可視光がカットされ赤外線のみを取り込むことができます。
河川敷に降りて対岸の川鵜を撮影です。距離は100m。
デジタル5倍ズームです。100mだとちょっと倍率が足りませんね。
【テレコン比較】
もう少し倍率が欲しいよねということでオリンパスの1.7倍テレコンTCON-17Xを装着してみました。カメラ本体で重めのレンズ2本を支えているのでかなり不安定です。
等倍から見ていきましょう。1060mm×1.7倍で1802mmです。ISO 100でシャッタースピードは1/6097に。
デジタル5倍です。特に問題はないですね。
もう1つ。ソニーの2.6倍テレコンVCL-DH2637です。こちらも金属製でそれなりに重みがあるので不安定です。
1060mm×2.6倍で2756mmですが、パッと見でわかるほどのぼやけた画質です。特に周辺部の画質が著しく低下しています。レンズ口径が小さいのでフルサイズ用レンズには厳しそう。
デジタル5倍です。中心部を切り抜くデジタルズームでも全体的に滲んだような感じになっています。
続いて250m先の看板を望遠撮影してみます。
比較用に、以前ハンディカム FDR-AX55にオリンパスのTCON-17Xを装着して撮影した時の望遠端の画像です。1366mm相当でもこの程度にしか拡大できない距離です。
E100mm F2.8にテレコンなしの1060mmではややワイドな画角です。
デジタル5倍です。
デジタル10倍でも平仮名が読めるかどうか。
続いてTCON-17Xを装着です。
デジタル5倍で注意書きの文字が判読できるように。
10倍では釣り禁止のイラストも確認できます。
VCL-DH2637です。やはりぼやけた画質です。
倍率が高いので文字は読めますが、画質は曇ったような感じです。
やはりレンズ口径が小さいのが影響しているようです。
F11まで絞れば多少マシにはなりますが、実用にはやや厳しい画質です。
【三脚座装着】
テレコンを装着するとかなり不安定な上に手ブレも発生するので対策することに。TCON-17Xに三脚座を装着します。キヤノンEF70-200 F4用のRING A (W)という型番のものがTCON-17Xにぴったりでした。これで重たいレンズ側を固定することに。
カメラ本体は軽量なのでだいぶ安定するようになりました。静止画撮影ではシャッターを押すときに手ブレしますが、動画なら問題なし。
TCON-17Xを付けて公園で撮影テストです。
距離は20m程度。テレコンなしのE 100mmではこのような画角です。やや物足りない。
TCON-17Xを装着すると1800mm相当になる計算です(100mm×10.6×1.7倍=1802mm)。
小さな鳥でも20m程度の距離なら十分な拡大率です。
【夜間撮影】
夜間のナイトビジョン撮影も試してみましょう。暗闇の公園で100m先の看板を撮影です。VCSELライトで赤外線を照射しています。
テレコンなしから見ていきましょう。1060mm相当の画角で、開放端F2.8でISO 421 シャッタースピード1/30です。周辺部に赤外線が当たっていないためISO感度はやや高め。
デジタル5倍です。IRライトの照射範囲にズームされることで感度はISO 218に下がっています。
デジタル10倍です。
絞りの変化による画質の違いも見ておきましょう。F4です。ISO 676でSS 1/30。
F5.6では ISO 774に。SSは1/20に下がります。
F8でISO 1028に。SSは下限の1/15です。
F11です。ISO 1720に。ノイズが目立ってきます。

F16ではISO 3111です。かなりのノイズです。
F22ではISO 6400に。文字もほぼ読めなくなりました。
TCON-17Xを装着しました。テレコンなしでISO 421です。テレコン装着でF値はF2.8の1.7倍でF4.76になりISO 715になる計算ですが、画像が拡大されて赤外線の照射範囲にズームされるのでISO 564に収まっています。シャッタースピードは1/30です。
F4です。ISO 678でSS 1/25に。
F5.6でISO 714に。SSは下限の1/15です。
F8ではISO 1419です。テレコンなしより1段分暗い感じです。ノイズが目立ってきました。開放側では目立っていなかった赤外線撮影由来の色ムラ(ホットスポット)が出ています。テレコンなしでは出ていなかったので、TCON-17Xのコーティングが影響しているようです。
F11 ISO 2233 SS 1/15
F16 ISO 4664 SS 1/15
動きのあるものも撮影してみましょう。60mの距離ならデジタルズーム無しでも十分な倍率です。縦方向の撮影範囲は120cmくらい。
100mの距離でもデジタル5倍ズームを併用することできれいに撮影できます。テレコン装着でF値はF4.8まで上がっていますが、ノイズはそれほど目立ちません。
参考までにContax 300mm F4だとこんな映りです。
両者を比べるとデジタルズーム由来のノイズが目立ちますが、E 100mm F2.8+TCON-17Xは十分許容できる画質です。
【まとめ】
ということで、まとめです。ニコンFマウントを取り付けたナイトビジョンカメラNVC200用にコンパクトな100mmレンズを装着してのテスト撮影でした。
Series E 100mm F2.8(右)は50mm F1.4と同レベルのサイズ感で、常用するにはおすすめです。安価な上に軽量小型で画質も上々です。
NVC200のオリジナルレンズ比で4倍の画角が稼げるので、倍率を重視するならE 100mm F2.8を選択肢に入れてよいでしょう。赤外線撮影でホットスポットが発生することもありません。加えてフロントテレコンを装着できるのも利点です。
テレコンについては、ソニーVCL-2637では径が小さくて画質が悪化するようですが。
TCON-17Xなら画質の劣化もほぼ無く35mm換算1800mm相当の画角が稼げます。
野鳥なら20m、人物なら50m程度の距離が適しています。
ただ、TCON-17Xは280gとやや重めで、レンズ1本ぶんくらいの重量。E 100mm F2.8と合わせると500g近いので、それなら100-300のようなズームレンズを使ったほうがという気もします。
同じSeries Eの75-150 F3.5なら520gで重量も大差ありません。こちらは3000円程度と安価に入手できるのもメリットです。
夜間撮影については、TCON-17X装着で50m程度、デジタルズームを併用することで100mあたりまで対応可能です。テレコン装着で1段分くらい暗くなりますが、F2.8の明るいレンズなので問題なく撮影できます。
ただしTCON-17Xを装着するとホットスポットが発生するケースがあります。絞りをF8あたりまで絞らなければ目立たないので、実用上はそれほど影響はなありません。
みなさんはどんなレンズやテレコンをNVC200で試してみたいですか。コメントで教えてください。このチャンネルでは赤外線撮影に関する各種話題をお届けしています。更新情報をお届けできるので、チャンネル登録やいいねいただけるとうれしいです。