2025年11月13日木曜日

【レビュー】PanasonicデジカメDMC-GF5を赤外線改造してみた(分解編)

ミラーレスの赤外線カメラ化計画始動です。

YouTubePanasonicのマイクロフォーサーズカメラDMC-GF5をフルスペクトラム化する動画を見つけたので、我が家に眠っていたGF5も赤外線改造してみることに。

以前、Pentax Q7ローパスフィルター(IRフィルター)を除去したことはありますが、もう少し高性能なミラーレスカメラで赤外線撮影をということで、カメラ本体を分解しての改造に挑戦です。

第1回は分解編としてGF5の分解からローパスフィルターの取り外し、テスト撮影の様子をお届けします。プラスドライバーとピンセットがあれば30分程度の作業でできるので、興味のある人は最後まで動画をお楽しみください。

なお、YouTubeには掲載できなかった画像や追加情報についてはブログに随時掲載しているのでそちらも参考にしてください。それでは分解編スタートです。

動画内で紹介した製品(Amazonリンク)

注意事項

はじめに注意事項をいくつか。今回紹介する改造作業はドライバーとピンセットがあれば比較的簡単にできますが、フレキシブルケーブルの断線など本体動作に致命的なダメージを与える可能性があります。

また、センサーカバーを取り外すため、センサーにホコリ等が付着する可能性が高いです。場合によっては、センサークリーニングが必要になるケースも出てきます。本体内部には高電圧の回路も組み込まれているので感電などの危険性もあります。改造は自己責任で楽しんでください。

DMC-GF5

今回改造するDMC-GF5について簡単に触れておきます。パナソニックのコンパクトミラーレスカメラで2012年発売のかなり古い機種です。動画撮影はフルHD 30fpsと今どきのカメラと比べると見劣りしますが、メルカリ6000-7000円と安価にで入手できる上、赤外線撮影の改造が比較的容易です。

マイクロフォーサーズ機はフルサイズ機と比べてレンズの画角が2倍になるので望遠撮影には適しています。加えて、レンズがコンパクトで、感度も常用でISO 6400(拡張12800)と、ある程度の暗所には耐えられそう。

同じシリーズの旧モデルGF3 / GF4や、後継モデルのGF6あたりも構造は似ているので、改造を検討している人は参考にしてください。

【動画】

今回参考にしたYouTube動画はこちらです。中国語ですがGF5を分解してローパスフィルターを取り外す様子が見れます。

ほかにもGF3の分解動画やWebサイトを参考にして分解していきます。GF6はこちら。

本体カバー

それでは分解スタートです。GF5のローパスフィルターを取り外せるでしょうか。まずは底面と左右側面のネジ計12本を外します。

バックパネルが開くので、LCDに繋がるフレキシブルケーブル2本を外します。

バックパネルが外れました。

続いてメイン基板を取り外します。

カメラセンサーにつながるフレキシブルケーブルに放熱シートが貼り付けてあるので、ドライヤーで温めて剥がします。

丸で囲った上部5か所と。下部4か所のケーブルを外します。

フレキシブルケーブルは黒いロックレバー(フラップ)を爪などで90度上にあげると引き抜けます。

フレキシブルケーブルは鋭利なピンセットで掴むと破れることがあるので慎重な作業を。ケーブルの一箇所に力が集中しないよう、ピンセットなどで全体に力がかかるように押さえて引き抜きます。ピンセットはプラスチック製や先端がゴムで覆われたものがおすすめです。

ロックがなく引き抜くだけのケーブルもあります。白いコネクターは少しタイトですがピンセットでつまんで左右にグリグリしながらゆっくり引っ張ると抜けます。

右上のシャッターユニットに繋がるフレキシブルケーブルは抜けやすいので注意してください。抜けたら上部パネルの分解が必要になります。

ケーブルをすべて抜いたらメイン基板を外します。3箇所のプラスネジを抜き、メイン基板を左にずらすと取り外しできます。

上部パネルです。フラッシュの下の金具を上げると前側パネルのロックが外れます。

シャッターボタンのあたりを押すと上部パネルが外れます。

こちらはフラッシュ用のコンデンサー(キャパシター)です。感電の危険性があるのでドライバーなどで触れないように気をつけてください。

センサーユニット

ここからはセンサーユニットの取り外しです。センサーユニットは3箇所のネジを抜くと外せます。

センサーユニットを固定しているネジ穴です。この3箇所のネジでセンサーの角度などを微調整しているので、外す前にネジの位置と回転数を記録しておいたほうがよさそう。

ネジを抜くとバネが外れるので無くさないように。

センサーユニットが取り外せました。さらにフィルターユニットを固定している3箇所のネジを外します。

これでフィルターユニット(右)が外れました。

青いガラスが紫外線と赤外線をカットするローパスフィルターです。

フィルターのサイズは厚さ3mmでタテヨコが17×22.5mmです。

取り付けスペースの大きさは23×18mmです。

左上に1箇所だけ2×2mmの切り欠きがあります。

ナイトビジョンカメラでリモコンの発光部を撮影すると赤外線が明るく映りますが。

取り外したローパスフィルターを間に置くと赤外線光がカットされているのがわかります。

超音波フィルターのプラスチックフレームにも0.5mm厚のフィルターが配置されています。サイズは31×28mmです。

こちらもIRを遮断するようでナイトビジョンカメラで撮影すると赤外線がほぼ映りません。

ただ、このフィルターはフレームに接着されているため簡単には外せません。取り外すには基板ヒーターやヒートガンのような装置が必要です。

ということで、とりあえず3mm厚のローパスフィルターだけ外してどう写るか確認することに。

元に戻す時の注意点としては、組み立て時にセンサーユニットの振動モーターに繋がる細いケーブルを基板側に出しておくことくらい。

フレキシブルケーブルを元通り繋ぎ直せば組み立て完了です。GF5はプラスドライバーと精密ピンセットがあれば比較的簡単にローパスフィルターを取り外せます。

組み直したカメラで撮影するとIRカットフィルターが無いため、やや赤みのかかった画像になります。

ただ、照明を落とした状態でIRライトを当てて撮影するとかなり暗い。まだ赤外線が遮断されているようです。超音波振動ユニット側のフィルターも取り除かないとダメみたい。

超音波フィルター除去

ということで、赤外線をカットする超音波フィルターも除去することに。再び分解して超音波フィルターユニットを外しました。

超音波フィルターユニットを丸ごと取り外してもカメラは問題なく動作しています。ただ、センサーはむき出しになるので、ホコリなど汚れが付着しやすくなるのでご注意を。

撮影テストです。超音波フィルター有りのときより赤みが増しました。

真っ暗な状態でIRライトを当てて撮影すると、赤外線で明るく映っています。これで赤外線撮影が可能になりました。

IRフィルターを装着することで可視光をカットした赤外線撮影もできます。

赤外線撮影ではお馴染みのFire TVリモコンを撮影してみましょう。赤外線を通しやすい素材でできています。

IRライトを照射した状態でローパスフィルターを外したGF5で撮影してみました。中の単四電池がわずかに透けています。

IRフィルターを装着して可視光をカットすると、内部がはっきりと透けて見えるようになりました。透過度の強弱は素材に影響されます。興味のある人は過去記事を参照ください。

テスト撮影



ローパスフィルターを取り除いたカメラで問題なく撮影できるかを確認するため、屋外でテスト撮影してみました。レンズはM.ZUIKO D-ED 14-42ですが、無限遠でもピントが合っています。

ZUIKO D-ED 40-150の広角端40mmです。こちらも問題なく撮影できます。

望遠端150mmでもピントは合っています。

暗視性能もテストです。VCSEL IRライトで赤外線を照射して75m先のスワンボートをZUIKO D-ED 40-150で撮影します。

望遠端150mmです。倍率不足でボートには寄りきれませんが画質は上々です。

赤外線ライトをワイドにするとやや暗くなりますが、画面全体を映すことができます。

モノクロモードに切り替えます。

デジタル2倍ズームは35mm換算600mm相当の倍率に。古いカメラとはいえマイクロフォーサーズセンサーだけあってノイズの少ないきれいな画質です。

デジタル4倍(1200mm相当)でもノイズはそれほど目立ちません。デジタルズームを併用すればかなりの拡大率で、暗視撮影用途でも十分使える性能です。

問題点も見つかりました。単焦点レンズのH-HS030を装着して撮影すると無限遠でピントが合いません。ローパスフィルターを外したことで無限遠のピント位置がズレているようです。

近距離ではオートフォーカスが働いているので、3mm厚+0.5mm厚の2枚のフィルターを外したことが原因で、無限遠側でピント位置がズレたと考えてよいでしょう。

ガラス製のローパスフィルターを取り外すと、屈折率の関係でピント面がセンサーから離れて、前ピンになります。このため、無限遠でピントを最長にしても焦点が合わず、画像がボケてしまいます。

これを修正するには、ローパスフィルターのあった場所に同じ厚みのガラスを挿し込んでやる必要がでてきます。ガラスを入れることで無限遠のピント位置がセンサー側にずれて、ピントのズレが修正されます。とりあえずズームレンズなら赤外線撮影できるようにはなったので今回はここまで。

まとめ

ということで、まとめです。今回はパナソニックのミラーレスカメラDMC-GF5で赤外線撮影ができるようにローパスフィルターを取り外す改造を施しました。

GF5はローパスフィルターを外すだけでは赤外線撮影には対応しませんが。

フィルターユニットを丸ごと取り外すことで赤外線が撮影できるようになりました。作業時間の目安は30分程度で、慣れれば10分もかかりません。

IRフィルターを装着するとリモコンの内部が透ける特殊な赤外線撮影も可能になります。

手元にあった2本のズームレンズを試してみましたが、無限遠でピントが合うので、そのまま問題なく使用できます。ズームレンズであればローパスフィルター除去によるフォーカスのズレは影響が少ないみたいです。(※ズームレンズでも広角側では影響が出る場合があります。特に単焦点レンズほど顕著ではありませんが、無限遠でのピントずれに注意が必要です。)

改造作業はプラスドライバーとピンセットがあれば比較的簡単に取り外しできるので、手軽に赤外線撮影を楽しむにはGF5はおすすめです。GF3からGF6あたりまでは内部構造が似ているので参考になるかと。

GF7 / GF8 / GF9 / GF10については外観が変わっているので、内部構造が異なる可能性が高いです。

注意点として、単焦点レンズなど一部のレンズではローパスフィルターを外す影響で無限遠でピントが合わない問題が発生します。マウントアダプターを使って超望遠レンズを使うときなど不具合が生じるのでなんとか改善したいところです。

ということで、次回は今回改造したGF5NVC200を比較してみます。暗視撮影機能を中心にズーム倍率や画角などどの程度違いがあるのかを見ていきます。興味のある人はチャンネル登録で更新情報が届きます。

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【レビュー】PanasonicデジカメDMC-GF5を赤外線改造してみた(分解編)

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