IIIF150の薄型軽量タフネススマホAir1 Ultraのレビューです。前回はSoCなど基本性能をチェックしましたが、今回はカメラ機能に焦点を当ててレビューです。ナイトビジョンカメラ(赤外線カメラ)機能を中心に、すでに所有しているフラッグシップモデルのIIIF150 Raptorとも比較しながら検証していきます。Air1 Ultra搭載のSONY製20MP IMX350と、Raptor搭載のOmnivision 64MPセンサーの性能差はどれぐらいあるのか。もちろん、おなじみ赤外線透け透け撮影の性能もテストします。それでは検証スタートです。
【概要】
はじめにAir1 Ultraのカメラ性能について簡単に紹介しておきます。Air1 Ultraに搭載のカメラは、メインが64MP(IMX686、1/1.73インチ)で、ナイトビジョン20MP(IMX350、1/2.78インチ)、セルフィーが32MP(IMX616、1/2.8インチ)と、いずれもSONY製センサーを搭載しているのが大きな特長です。
左上がメインカメラ、右下がナイトビジョンカメラです。右上にはナイトビジョンカメラ用の赤外線LED2灯が、カメラユニット中央にはLED4灯が搭載されています。その他のスペックなど詳細は、概要欄から前回の動画で確認ください。
【カメラアプリ】
Air1 Ultraのカメラアプリには、カメラ、動画、64MP、夜間視力などのモードがあります。動画は最大1080P 30fpsです。夜間視力を選択すると、ナイトビジョンカメラ機能が使えます。
【テスト撮影】
それでは、テスト撮影開始です。写真のような室内の白色LED環境下で、何パターンか撮影してみました。
【メインカメラ】
メインカメラは、6400万画素のIMX686センサーです。通常は、4 in 1ピクセルビニングで4画素を1つに合成して1600万画素で撮影します。64MPモードでは、全画素を使って6400万画素で撮影することもできます。
デジタル2倍ズームです。生成される画像の解像度は、等倍と同じ1600万画素です。
デジタル4倍です。こちらも1600万画素です。室内でもきれいに写りますね。
ちなみに、Raptorのカメラだと4倍ズームはこんな感じです。100MP 1/1.52インチのISOCELL HM2は、9 in 1ピクセルビニングで1200万画素の画像を生成します。値札の文字を見るとよくわかりますが、Air1 Ultraでは読めていた文字が、Raptorでは潰れています。
気になるのは、画像処理の関係か、斜めの直線の部分がギザギザになっているところです。IMX686よりセンサーサイズは大きいですが、全体的に画質はいまいちな印象です。
動画撮影はこんな感じです。動画撮影時の手ブレ補正はEIS(電子式)です。
【ナイトビジョンカメラ】
続いて、ナイトビジョンカメラです。こちらはSONY IMX350で、2000万画素のモノクロセンサーです。カラーフィルターがないので、一般的な2000万画素のカラー写真と比べると解像度が高いのが特徴です。
カメラアプリから夜間視力を選択するとナイトビジョンカメラに切り替わります。ナイトビジョンカメラは基本オート撮影で、細かい設定は変更できません。
操作は左上から、タイマー、赤外線LED光量調整(4段階)、LED ON/OFF、各種設定となっています。右上のムービーボタンをタップすると動画撮影に切り替わります。
それでは、写真から撮っていきましょう。赤外線LEDオフの状態では、画面は真っ暗ですが。
赤外線LEDをオンにすると、被写体に赤外線が照射され、暗闇の中でもはっきりと写すことができます。
普通のカメラで撮ると、このような状態です。人間の目では捉えることのできない赤外線域の光を、専用のカメラセンサーで捉えることができます。
デジタル2倍ズームです。ナイトビジョンカメラも、デジタルズームでは2000万画素の画像が生成されます。
4倍ズームです。このあたりになると画質が悪く、ノイズが目立ってきますね。
こちらはRaptorのナイトビジョンカメラで撮ったものです。搭載センサーは、Omnivision OV64Bで、1/2インチ 6400万画素です。パッと見た感じではRaptorのほうが解像感があって、ノイズも少ないかな。
上がAir1 Ultra、下がRaptorの画像を拡大したものです。暗所の画像を比べてみると、Raptorは画像処理がかなり強めにかかっているかなという印象です。一方で、Air1 Ultraはノイズは多いものの、オリジナルの情報はしっかり残っているようです。どちらが好きかは、好みが分かれると思います。
Air1 Ultraに戻ります。アプリは、Raptorと同じですね。マニュアルでのフォーカスポイント選択と露出補正に対応します。フォーカスを合わせたい場所をタップするだけです。
露出は太陽マークをスライドさせることで操作できますが、動画撮影だとすぐ元に戻ります。固定できるとよいのですが。
【赤外線改造】
続いては、赤外線撮影用に簡単な改造をしておきます。AliexpressでAir1 Ultra用のTPUケースを調達しました。送料込みで1,046円です。
赤外線域のみを取り込むためにケースに赤外線フィルター(IRフィルター)を取り付けます。ケース裏側にFUJIFILMのIR84フィルターをハサミでカットして貼り付けます。
これで、840nm未満の近赤外線〜可視光域がカットされ、840nm以上の赤外線域のみを撮影できるようになりました。外から見ても赤外線カメラとは気づかれないでしょう。
【屋外撮影】
屋外でもテスト撮影してみました。大阪市役所前のミャクミャク様オブジェです。
まずは、標準カメラで撮るとこんな感じです。
続いてナイトビジョンカメラです。IRフィルターは未装着です。Air1 Ultraのナイトビジョンカメラは、SONYのハンディカムのような規制がかかっていないので、晴天下でも普通に赤外線撮影できます。IRフィルターなしでは、可視光域も取り込むため、モノクロ写真のように写ります。カラーフィルターがないので、標準カメラより解像感の高い写真を撮影できます。
カラー写真ではボヤけていた、背景の貼り紙の文字ですが。
ナイトビジョンカメラで撮影すると解像度が上がるため、小さな文字も読むことができるようになりました。
そして、こちらがIRフィルターを取り付けて撮影した写真です。IRフィルターありでは、赤や青など可視光域がカットされるため、真っ白になります。台座の文字もほとんど消えていますね。
赤と青の衣装のスパイダーマンも、赤外線撮影すると。
可視光域がカットされるため、真っ白になります。
通常カメラでは隠れて見えなかったマスクの下の顔も。
赤外線カメラで撮影すると、口や鼻のあたりが透けて見えます。ポリエステル素材は赤外線を透過しやすいので、このような写真を撮ることができます。
【夜間撮影】
夜間の暗視撮影もテストです。夜の公園でネコを撮影してみます。メインカメラで撮影するとこのような感じです。高感度耐性があるので、暗い場所でもそれなりにきれいに写ります。
ナイトビジョンカメラで撮影すると、IR LEDから赤外線が照射されるので、地面まで明るく写ります。
■
ナイトビジョン動画です。赤外線LEDが猫の目に反射して光っています。
【透け透け撮影】
透け透け撮影もテストしてみましょう。マネキンに赤い水着を着せて、ナイトビジョンカメラで赤外線撮影してみます。
水着はポリエステル素材のもので、前側には裏地が付いています。
水着の内側にクレヨンしんちゃんのイラストを挟んで撮影します。
きれいに透けていますね。透け透け撮影成功です。
やや露出オーバー気味なので、露出をマイナス補正してみました。
補正前よりくっきりと写っています。
動画も撮影してみました。センサーは異なりますが、Raptor同様に透け透け撮影を楽しめます。
【まとめ】
ということで、まとめです。Air1 Ultraのカメラ性能については、期待どおりのクオリティでした。特にナイトビジョンカメラを使った赤外線撮影はいろんな用途に使えそうです。透過撮影も問題なくできました。
Raptorとの比較では、本体重量が軽いのが大きなメリットですね。デザインもスッキリしているので、使っていても悪目立ちせず、普通のスマホと区別つかないです。また、この重量なら、スマホ用の電動ジンバルにも装着できます。
カメラについては、メインはAir1 Ultraが勝っていますが、ナイトビジョンについては、一長一短ありでしょうか。テスト前はIMX350のほうが性能高いかなと思っていましたが、期待したほどの大きな性能差は無さそうです。解像度は、64MPのRaptorが高いので、デジタルズームなど考えるとトータルではRaptorのほうが使い勝手は良いと思います。価格と重量を重視するならAir1 Ultra、電池持ちや解像度の高さならRaptorですね。
とにかく軽い赤外線タフネススマホが欲しいなら、発売から1年経過した機種ではありますが、Air1 Ultraは買いだと思います。カメラ性能も文句なしの星5つ。
となると、やはり発売を控えた64MPセンサー搭載のAir2 Ultraは気になりますね。SoCがDimensity 7050にグレードアップされるので、動画の記録解像度やフレームレートなど向上が期待されます。夏には、Raptor後継機の登場も予想されるので、なかなか悩ましい。
引き続き、IIIF150スマホや赤外線撮影の最新情報、レビューなどお届けしていきます。更新情報をお届けするためにチャンネル登録いただけるとうれしいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿