夜間暗視撮影で愛用しているVCSEL赤外線トーチ。メインで使用中のAlonefire TK504(850nm)が優れた性能を発揮するので、追加で1本購入しました。IRライト2灯での光量アップを検証します。
合わせて、同じVCSELタイプのUniqueFire UF-2002や、波長の異なる940nmモデル、従来タイプの5W LEDとも比較してみます。メーカーや波長、光源の違いによってどの程度光量が変わってくるのか、画質に影響するのかを実際の撮影シーンを想定しながら見ていきます。
なお、今回使用するVCSEL赤外線トーチをはじめとする各種機材の詳細や入手方法は過去動画やブログで紹介しているので、動画概要欄から確認ください。それではレビューを始めます。
【動画内で紹介した製品(Amazonリンク)】
【レビュー】VCSEL 850nm vs 940nmを比較してみた
【レビュー】ナイトショット赤外線暗視撮影用にVCSEL高輝度レーザー半導体搭載LEDライトを買ってみた
【VCSELライト】
はじめに今回比較するVCSEL 赤外線ライトについて簡単に解説しておきます。詳細は過去動画も参照ください。
従来モデルの5W LEDは点光源で発光した光を反射板やレンズなど使って一方向に向くように調整するため光が拡散しやすくロスが多いのが欠点です。
VCSELレーザーは面発光でLED光と比べて指向性が高いのが特長です。
両者を比較するとこのようなイメージです。VCSELは遠距離に強く100m程度の距離なら撮影に十分な赤外線光を照射できます。
同じメーカーの5W LEDモデルとVCSELモデルとを比較するとこのようになります。100m先を照射するとVCSELのほうが狭い範囲を明るく照射しているのがわかります。5W LEDは光が拡散するため広い範囲を照射して暗くなっています。
【比較①】
赤外線撮影用に2社のVCSELライトを所有していますが、同じ18650バッテリーを使用するものでも輝度に違いがあるので比べてみることに。
以前のレビューで簡単に検証していますが、今回はもう少し詳しく見ていきます。せっかくなので従来型の5W LEDや940nmタイプも加えましょう。評価するのは以下の4製品です。
- Alonefire TK504(850nm)
- UniqueFire UF-2002(850nm)
- Alonefire TK504(940nm)
- Alonefire TK503(850nm)※5W LED
AlonefireのTK504です。電池込みで142gと小型で扱いやすい上に、輝度も高いのでメインで使っている赤外線ライトです
UniqueFireのUF-2002は通常の凸レンズと比べて薄いフレンネルレンズが採用されているのが特長です。3段階で輝度調整にも対応します。
ただ、TK504と比べるとやや輝度が落ちる上に、重量が232gと90g重く、サイズもひと回り大きくかさばります。堅牢性や防水性は高そうですが、ズームリングが固いなど操作性の面でもやや難ありな印象です。
【比較テスト①】
それでは850nm VCSEL2機種の性能を比較してみましよう。改造版ナイトビジョンカメラNVC200にSIGMA APO70-200 F2.8と1.4倍テレコンを装着した状態で100m先の看板を撮影します。
オート撮影の条件を安定させるためデジタルズームで2倍に拡大し看板が画角いっぱいになるように撮影します。いずれもシャッタースピードは下限の1/15秒です。
UF-2002(弱)です。光量はかなり抑えめ。ISO 4334でノイズが目立ちます。小さな文字は判読不能です。
UF-2002(中)ではISO 1646で小さな文字も解像するように。NVC200の場合、ISO 1600あれば十分な画質が得られます。
UF-2002(強)ではISO 1016まで下がりました。細かい文字もしっかり解像しています。
TK504です。100m先ではUF-2002(強)より光量が大きいようでISO 768まで下がっています。3割くらい光量が多い計算です。
UF-2002とTK-504を同時に当てるとISO 627まで下がります。TK504単体と比べると1.23倍の明るさ。2灯照射は期待したほどの効果は得られませんでした。
参考にSIGMA APO 50-500 F4.0-6.3を装着したα7Sで撮影するとこんな感じです。望遠端500mm F6.3でISO 64000 SS 2/5に。拡大すれば大きな文字はなんとか読めますが、小さな文字は判読不能です。
超高感度センサーのα7sは街灯程度の明かるさがあればノイズの少ないきれいな動画を撮影できますが。
暗闇に近い環境ではそれなりにノイズが乗ります。ISO 64000でシャッタースピード1/30秒だとこのようになります。暗闇では赤外線を照射したナイトビジョンのほうが映りはきれいです。
人物も撮影してみましょう。UF-2002(強)ではISO 1048です。
TK504はISO 913です。やはりTK504のほうが明るいですね。
UF-2002とTK-504をダブルで照射するとISO 801まで下がりました。
【比較テスト②】
各赤外線ライトの照射範囲や輝度を比較してみました。100m先の樹木にライトを照射してナイトビジョンカメラNV99Sで撮影します。850nmのVCSELライトから。左がAlonefire TK504で、右がUniqueFire UF-2002です。UF-2002は照射範囲は狭いですが、TK504と比べると輝度が低いのがわかります。
850nmと940nmの比較です。940nmタイプ(右)はほとんど可視光を発しないため秘匿性の高いのが特長です。同じAlonefireのTK504で照射範囲は同じですが940nmのほうが暗いです。NVC200のカメラセンサーは940nm帯域の感度が低いことが影響しています。
従来タイプの5W LEDとの比較です。LEDは光が拡散するためVCSELと比べるとかなり広範囲を照射しています。輝度もこの距離ではかなり暗いです。
【2灯照射】
UF-2002はやや光量が落ちるということで、TK504をもう1本追加で入手しました。2灯でどれくらい明るくなるでしょう。SIGMA APO70-200 F2.8に2倍テレコンを装着した状態で100m先の看板を撮影します。
1灯でISO 1396です。2倍テレコンのためF5.6に上がります。
1.4倍テレコン(ISO 768)と比べると光量は1/2になるためノイズがやや目立つかな。
2灯ではISO 901まで下がりました。1.5倍程度明るくなっています。この感度なら2倍テレコンも問題なく使えます。
人物撮影も試してみましょう。SIGMA APO 70-200 F2.8に1.4倍テレコンを装着した状態で120m先のベンチをデジタル5倍ズームで撮影です。1灯ではISO 1789です。
2灯ではISO 1436まで下がりました。1/3段、25%ほど明るい計算です。
少し距離を離して150m先の階段を撮影です。Tokina AT-X SD 100-300 F4の望遠端300mmで撮影しています。
1灯ではISO 1965ですが。
2灯ではISO 1542に下がります。33%明るくなった計算です。
距離250mです。望遠端300mm+デジタル2倍です。さすがにこの距離になると精細感は欠けてなんとか映るかな程度です。とはいえほぼ暗闇の状態でここまで映るのはすばらしい。
【まとめ】
ということで、まとめです。今回は2社のVCSELライトの明るさを比較してみました。100mの距離ではAlonefire TK504がUniquFire UF-2002を光量で20-30%上回りました。どちらも18650バッテリータイプのVCSELライトですが、UF-2002はフレンネルレンズの影響で光量が減衰するのかやや劣る結果に。
両者を使っての感想としては、UF-2002はしっかりした作りではありますが、重くて操作性が悪いのがデメリット。Alonefireのほうが輝度が高くて使いやすいです。
2灯併用については単純に明るさが2倍になるわけではなく、100mの距離では2-3割程度明るくなるかな程度でした。期待したほどの成果は出ませんが、光量は増えるので、2倍テレコンで画質が向上するなど効果は得られます。
940nmタイプや5W LEDについては100mの距離では850nm VCSELと比べるとかなり光量が低下します。30-50m程度の距離では十分に使えるので用途に合わせて選択するとよいでしょう。今回は100mの距離での検証でしたが、過去動画では近距離でのテストもしているのでそちらも参考にしてください。
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