【レビュー】小型ナイトビジョンスコープNVS20を買ってみた

Aliexpress11.11セールNVS-20という小型ナイトビジョンスコープを購入してみたのでレビューです。以前レビューしたNV016より、もう少しコンパクトなナイトビジョンスコープを探していたところ、こちらの商品に辿り着きました。単眼鏡タイプの赤外線暗視スコープで、小型ながらもカラー&赤外線ナイトビジョンに対応、4K動画と36MP静止画を撮影できるすぐれものです。NV016と比較しながらレビューしていきましょう。それではスタートです。

商品概要

商品は、FNIRSIというブランドの単眼タイプ小型ナイトビジョンスコープNVS-20です。FNIRSIは測定機器などを製造している中国のメーカーですが、なぜか暗視スコープがラインナップに。カラー暗視撮影に対応する高感度センサーを搭載し、NV016同様に内蔵赤外線ライトを使った赤外線暗視撮影もできる優れものです。コンパクトなボディですが、最大4K30fpsの動画も撮影できます。

開封してみた

価格は、通常9,000円のものがセールとクーポン利用で6,110円なり。日本のAmazonでも取扱いがあり1.5万円程度で入手できます。

商品は、注文から11日で到着です。同梱品は、本体のほか、USBケーブル、18650バッテリー、32GBマイクロSDカード、英文説明書です。ケースはなし。

外観から見ていきましょう。本体はプラスチック製ですが、この手の中華製品としては質感は良好です。左側面にはメニューモード電源ボタンとピント調整ホイールです。

右側面にはバッテリーボックスです。ピントホイールは左右どちらからでも操作できます。

18650電池の容量は2000mAhです。バッテリーを交換できるのはうれしい。

上部にはプラス・マイナス撮影ボタンです。

モニターサイズは1.54インチで正方形に近いです。

カメラレンズです。

レンズのサイズは22mmで、フィルターネジは無し。テレコンなど装着するには小型のフィルターアダプターを接着剤で固定する必要があります。

レンズの上部には赤外線ライトを配置しています。

底面には三脚ネジ穴とUSB Cポート、マイクロSDカードスロットです。出荷時32GBカードがセット済みです。

本体サイズは152×42×82mm。片手で持ちやすいデザインですが、底面がカーブしているので平らな面に置いたときグラつくのが気になります。

重量の実測値は、電池、SDカード込みで250gです。

250g缶ジュースと同程度のサイズ感です。

NV016と比べるとかなりコンパクトです。このサイズなら持ち運びにも便利で、使っていても悪目立ちはしなさそう。

操作方法

主な設定項目を紹介しておきましょう。動画の設定項目は5つ。

動画撮影の解像度は最大4K 30fpsです。

WDRはワイドダイナミックレンジ機能のオン・オフです。WDRはハードウェア版のHDRで、明暗差のあるシーンで白とびや黒つぶれを抑えてくれます。

動体検知撮影に対応します。

静止画撮影の設定は8項目。電子手ブレ補正の設定もできるようです。

最大3600万画素の静止画撮影ができます。

システム設定は10項目。LCDの輝度調整にも対応します。

言語は日本語対応しますが、ところどころ意味不明な中国語が。

露出補正は1/3段刻みで最大プラス・マイナス2段まで補正できます。

ファームウェアのアップデートに対応します。最新バージョン(2024-05-06)が入っていました。


そのほか細かい設定項目&マニュアルはブログに載せておくので興味のある人は概要欄から参照ください。メーカーHPからマニュアルとファームウェアがダウンロードできますのでそちらも参考にしてください。

操作方法

ざっくりと撮影テストです。操作は簡単。電源ボタン長押しで起動して撮影ボタンを押すだけです。

露出はオートで、フォーカスはマニュアルになります。

ボタンを短押しすると、内蔵赤外線ライトがオンになり、ナイトビジョンモードで撮影できます。+・ーボタン短押しで赤外線ライトの光量を最大7段階まで調整できます。

レベル1です。肉眼では赤外線はほとんど見えませんが。

レベル7まで上げると光源はそれなりに赤く光ります。スマホカメラは赤外線にも感度があるため写真のような色合いですが、肉眼で見ると赤く光って見えます。

デジタルズームは6倍まで。

撮影画面はこのような感じ。動画記録解像度は3860×2140ですが、LCDには横方向を圧縮した正方形の画像が表示されます。

横方向が圧縮されるため、丸いレンズフィルターを撮影するとモニターには縦長に表示されます。

画面が小さいのでピント調整は厳しいかなと思いましたが、LCDはそこそこ解像度があるのでざっくり使った感じでは問題なし。

なお、音声は記録されますがマイクの感度はイマイチです。

電源ボタンを短押しするとLCDがオフになります。録画しながら画面をオフできるのはうれしい。

テスト撮影(日中)

テスト撮影です。昼間と夜間で何パターンか撮影してみました。センサーと赤外線ライトの性能を中心に見ていきましょう。三脚に固定しての撮影です。

まずは日中の撮影です。岡山城を撮影してみました。スマホカメラで撮るとこのような感じです。2倍ズームで35mm換算50mm相当です。

静止画から撮影していきましょう。3600万画素です。カメラの画角FOVは10°で35mm換算250mm相当です。ISO 100でF1.8、シャッタースピードは1/3200秒です。

デジタルズームは0〜5.9倍まで0.1倍刻みで変更できます。画質は3倍あたりまでは問題ないですが、6倍までいくとそれなりに粗いです。静止画撮影では電子式手ブレ補正が効きます。

日中でもナイトビジョン撮影が可能です。明るい環境下でもSONYハンディカムのような規制はかかりません。

1−⑥岡山城動画1倍〜6倍

動画です。画質は問題ないですが、アスペクト比がヘンですね。横長に潰れたような…。

PCモニターに正方形の画像を表示して動画撮影して、再生してみたところ横長に表示されます。横方向に1.3倍程度伸びているようです。これはいただけないですね。

どうやら、元々2880×2160(4:3)の動画が3840×2160(16:9)になっているようです。動画編集ソフトのHandBrakeでアスペクト比を4:3に設定して再エンコードすることで修正されました。

テスト撮影(夜間)

夜間撮影です。川の対岸にあるボートハウスを撮影してみました。直線距離で85mです。

スマホカメラで撮影するとこのような感じです。1/10秒のスローシャッターのためボートなど映っていますが、肉眼ではほぼ見えません。

カラーナイトビジョンから。街灯や車のヘッドライトの影響の少ない場所を選びましたが、わずかな灯りでも明るく映っています。デジタルズームは最大の6倍までいくとかなり粗い画質です。

モノクロナイトビジョンです。搭載しているのは小型の赤外線ライトですが、80m離れた対岸まで赤外線光が届いているようで、ボートもきれいに映っています。

こちらもデジタルズームは望遠端で粗さが目立ちますね。常用できるのは3倍までかな。

河川敷をぐるりと撮影してみました。街灯などある程度照明があればカラーでそれなりに映ります。

赤外線撮影は100mくらいなら光が届いて撮影できそうです。ただ、デジタルズームは3倍あたりが限界なので、30-50mくらいの距離で使うのが良さそうです。ざっくり使った感じでは、小型の割に使えるかな。

【公園】

場所を変えて、公園で60m離れた場所にある看板を撮影してみました。真っ暗な場所で、カラーナイトビジョンではほとんど映りません。

赤外線撮影に切り替えると、看板の文字がはっきりと判読できます。これぐらい映れば問題ないという画質でしょう。

さらに、90m離れた場所から撮影してみました。人の姿も映っていますが、倍率的には厳しいですね。赤外線は届いていますが光量がかなり減衰しているようで、ノイズが目立ちます。看板の文字も判読できません。50mあたりが限界ですかね。

50m離れた駐車場の車両も撮影してみました。街灯があればカラーでも撮影できそうです。

ただし、白いボディの車では露出が合わないため車内は厳しそうです。露出補正すれば映るでしょうか。暗めのボディなら車内もきれいに映ります。

使用感は

ひと通り撮影機能を使ってみての感想です。まず、気になるLCDのサイズですが、1.54インチというサイズは索敵目的だと厳しいかなという印象です。UVCに対応していればスマホを外部モニターとして使えたのですが。

デザインについては、NV99Sのような双眼鏡スタイルのほうがモニターを大きく使えて見やすいですね。一方で、NVS-20の縦長スタイルは、カメラ部の断面積が小さいので、撮影時に被写体に気づかれにくいというメリットはあります。

あと、側面のピント調整ホイールは両手で持つなら問題ないですが、片手だと使いにくいですね。やや重め。上部にあったほうが操作しやすかったでしょう。

操作性については、ソフトウェアの作り込みが甘いようで、いろいろと難ありです。電池の交換時のほかに、よくわからないタイミングで設定がリセットされるのは困りものです。リセットの度に日時の設定などやり直すのは面倒です。加えて、撮影中に急にフリーズすることも何度かありました。NV016と比べると全体的に不安定な印象です。

あと、デジタルズームの操作がしづらいです。ボタンを押してズームするまで3秒ほどかかるのはストレスです。倍率は0.1倍刻みですが、表示が速いので目的の倍率で止めるのが困難です。1倍刻みでよいと思うのですが。

そのほか、撮影した動画のアスペクト比が実際より横長になるのも気になります。このあたりがファームアップで改善されればよいのですが…。

画質については4Kだけあって細部まで細かく描写されます。オート露出も問題なしで、NV016のようにオーバー気味になることもありません。デジタルズームについては、等倍〜3倍あたりまでは許容範囲ですが3倍を超えると常用はできないかな。

内蔵赤外線ライトは小型の割に強力で30-50m程度の距離であれば問題なし。ただ、NV016と比べると輝度は低いようで、50mを超えると光量が少ないかなという印象です。

NV016と比較

以前レビューした双眼鏡スタイルのナイトビジョンスコープNV016と比較しておきましょう。

使用上のマイナス面は、やはりLCDサイズが小さい点です。NV016は画面が大きいので少し離して見ても大丈夫でしたが、NVS-20のサイズ感だと目の前まで画面を持ってこないとピント調整が厳しいです。

また、画面が横方向に圧縮されて表示されるのも若干ストレスを感じます。ただ、このあたりは本体サイズとのトレードオフなので、まあ許容範囲かな。NV016はサイズが大きいので撮影する場面によっては目立ちますしね。

画質については、デジタルズームは3倍あたりまでかな。デジタル5倍でも使えるNV016と比べると劣ります。センサーの感度もNV016と比べるとやや低く、カラー、モノクロともにノイズが多い印象です。

赤外線ライトの輝度を比較してみました。ハンディカムでNVS-20NV016の赤外線ライトを比較です。やはり、NV016のほうが赤外線ライトの輝度は高いですね。

まとめ

ということで、まとめです。ざっくり使ってみての感想としては、まず動画のアスペクト比が横長になるという欠陥がある時点でオススメはしないかな。再生アプリで修正できるとはいえ、明らかな欠陥商品です。ファームウェアのアップデートで改善されるまでは購入しないほうがよいと思います。そのほか、LCDのサイズや赤外線ライトの光量、デジタルズームの画質については小さなサイズを考えれば許容範囲でしょうか。

メリットはコンパクトなサイズ感です。4K録画対応など性能的にはNV016と同等にも関わらず、半分以下のサイズに収まっているのはうれしい。バッテリーが取り替え可能な18650電池というのも高評価ポイントです。

また、筐体の質感も良く、NV016のように保護レンズの品質の悪さから生じるゴーストもありません。ハード面のクオリティは高いです。ファームウェアのアップデートに対応するなどサポート面での安心感もあります。画質やズーム倍率を優先するならNV016を選んだほうがよいかな。とにかくサイズの小さなナイトビジョンカメラをということならNVS-20を選択肢に入れてもよいでしょう。

次回は、NVS-20にフィルターアダプターを取り付け、3倍光学テレコンを使った超望遠暗視撮影にチャレンジします。このチャンネルでは赤外線撮影に関する各種話題やレビュー動画をお届けしています。動画アップ時に通知がいくのでチャンネル登録いただけるとうれしいです。

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