・ハッチャー(セッターで代用可)[14日〜生後48時間]
・育雛器[生後0〜30日]
・成鶉舎(ケージ、平飼い)[生後30〜35日以降]
【孵化に最適な時期】
ウズラの卵の孵化は、春先から初夏にかけて開始するのが一番トラブルが少なくおすすめです。孵化成績は、春から初夏と秋頃(9〜10月)が高く、冬場は気温や湿度が影響するため著しく低下します。秋から冬に孵化をさせる場合は、卵が冷えやすく、ヒナも体温が下がるとすぐに死ぬので、とにかく温度管理に注意してください。
季節による孵化率の推移(ニワトリ)
【有精卵率】
種卵についてですが、有精卵として販売されているものでもけっこう無精卵が入っています。これは親鳥の交配がうまくいかないなどの理由で結構な確率で無精卵が混入するためです。愛知県の資料によると一般的な有精卵率は7〜8割程度となっています。
購入実績では、ウズラ大学のヒメウズラ卵で3割ぐらい、Amazonのデライトベースで買った並ウズラの有精卵で2〜3割ぐらい無精卵が入っていました。この数字は季節によっても変動するようです。
また、梱包が悪かったり、輸送時の扱いが雑だと、ヒビ入りの卵が入っていることがあります。ヒビ入りの卵は孵化器に入れてもまず孵化しません。入卵前に検卵し、ヒビの入った卵は外すようにしてください。
【卵の孵化率】
過去の経験では、孵化率(無精卵を除く)は自動孵化器で8割以上、手動だと6時間おきのアバウトな転卵で3〜5割程度でした。こまめに転卵すればもう少し孵化率は上がります。手動転卵ではペローシス持ちなど体の弱い個体が多く生まれる傾向がありますし、生後1週間の生存率も低くなります。
スーパーで売っている食用ウズラの卵は基本無精卵ですが、たまに有精卵が混じることがあるようで、暖めると孵化することがあります。ウズラのヒナは雌雄判別が難しいので、稀にメスの群れの中にオスが混じってしまうことが原因のようです。
血管が発生した卵
管理がしっかりしている養鶉場では、ケージにオスが混入しているのが判明した時点(オスは雄叫びをあげるのですぐわかります)で、すぐにケージから出し、そのケージから生まれた卵はすべて廃棄しています。有精卵は気温が高いと孵化を始めるため、血管の発生が起こったものを流通させると品質上問題になるからです。
ですから、有精卵は出荷元によってはまったく入っていない可能性もあります。言いかえると、管理の適当な養鶉場の卵は結構な確率で有精卵が混ざっています。養鶉場によっては10個のうち2〜3個有精卵が混ざっていたこともあるようです。
なお、種卵は産卵後、日数の経っていないものを使うのが望ましく、時間の経過とともに孵化率は低下していきます。適切に保管されていても、産卵後7日を過ぎると孵化率が大幅に低下し、10日を過ぎると孵化は難しくなります。できるだけ新鮮な卵を使うようにしてください。
【雌雄鑑別】
ウズラのオスメスを鑑別する方法については、生まれた直後であれば肛門の奥にある突起の有無で判別できるようです。養鶉場では生後すぐに専門の鑑別士がオスとメスを鑑別していますが、海外では顕微鏡を使って確認するぐらいですから素人には難しいです。
並ウズラ、ヒメウズラ共通の判別法としては、メスはオスより体がひと回りほど大きく、エサも倍ぐらい食べます。また、産卵の準備に入る頃にはタンパク質の要求が激しくなるのでエサを大量に食べます。ミルワームに異常に興味を示す個体もメスの確率が高いです。オスはエサをくわえてしばらくピーピー鳴きますが、メスはくわえるとすぐに食べます。
メスはオスと比較して総排泄腔(肛門)の穴が大きいです。オスは繁殖期に入ると総排泄腔の下にある陰嚢が膨らんできます。糞に白いホイップクリーム状の精液が混じっていたり、メスの背中に噛み付いて腰を振っているのは間違いなくオスです。
並ウズラオスの射精
並ウズラ特有のものとしては、ノドから胸元にかけての模様で雌雄が判別できます。成鳥になるにつれてメスは胸元に点々(ドット柄)の模様が出てきて、一方、オスは胸元が赤茶というか錆びたような色になってきます。一番わかりやすいのは鳴き声で、オスは「ゴゲギョー」「グギョー」みたいな感じで大声で鳴きます。
胸元が錆びたような色がオス
メスは胸元にドット模様が
ヒメウズラでは、素人でもわかりやすいのが首の下にある「ビブ」と呼ばれるよだれかけのような白い模様です。この模様があるのはオスです。ただし、ブルーフェイスやレッドブレストのような一部の変異種ではオスでもよだれかけが付いていないもの、判別しにくいものがあります。
白いよだれかけはオス
そのほかに、胸元に赤みのかかった羽が生えているのがオスとか、お尻のあたりが赤くなる通称赤パン、赤パンツといった判別法もあります。ホワイト、シルバー系のカラーでは判別が難しいもしくはできないようです。
【交配・産卵】
並ウズラは生後40から50日で性成熟を迎え、メスは産卵を開始し、オスは発情期に入ります。この頃から、メスの気を引こうとオスが大きな声で鳴きはじめます。オスは総排泄腔の下部(尻尾側)にある陰嚢(いわゆるキンタマ)が赤く膨れ、内部から泡状の精液を分泌するようになります。ヒメウズラは野生種のためか並ウズラよりは性成熟が遅く、2ヶ月経過したあたりでオスの発情が始まり、65〜70日目あたりでメスが産卵を始めます。
交尾(クロアカキス、クロアカ=総排泄腔)は、オスがメスの総排泄腔内に精液を射精しておこないます。この時、メスが動かないように、オスはメスの後頭部の毛をクチバシで咥えます、発情期に入ると多くのメスの後頭部の羽が抜け、後頭部がハゲあがった姿を目にするようになります。
産卵期に入ったメスは、はじめのうちは無精卵を産みます。交配した翌々日から有精卵を産みはじめますが、はじめの1週間程度は受精率が安定せず、1週間を過ぎたあたりから安定し、有精卵の割合が高くなってきます。
産卵時間については、ニワトリは午前中に卵を産むことが多いですが、ウズラの場合は、日没の3〜4時間前に集中します。夏場であれば、午後7時頃に日が落ちますから、午後3〜4時ごろに産卵します。
【ウズラの抱卵】
基本的に並ウズラのメスは卵を温めません。鳥類はある程度の数の卵を産むとお腹のあたりの羽が抜け落ちて、皮膚からの体温で卵を温めます。しかし、ウズラやニワトリのような家禽は品種改良の過程でこのような本能が欠けています。この本能を「就巣性」と呼びます。就巣性の喪失は遺伝子の変異で起きたものなので、並ウズラのメスが卵を温めることはありません。
ヒメウズラについては、就巣性が残っているので、ある程度卵が集まれば抱卵を始めることがあります。抱卵させれば自分で卵を孵化してくれますが、個体によっては途中で抱卵をやめたり、そもそも抱卵しないことも珍しくありません。
【オスの発情】
オスの発情要素には、日照量、温度、湿度、エサの量などが影響すると言われています。群れの中でオスが発情期に入ると、大きな声で鳴いたり、他の個体に攻撃したりするような場面が増えてきます。
オスとメスを分けた上で、食餌制限をすることである程度発情を抑えることができるようです。発情に影響するホルモンの1つであるエストロゲンを抑制する物質には、緑茶に含まれるカテキンや、キャベツ、ブロッコリーに含まれる亜鉛が挙げられます。
【鳴き声対策】
発情期に入るとオスの大きな鳴き声も悩みのタネです。鳴き声には個体差(個性)があり、一日中鳴き続ける個体もあれば、ほとんど鳴かない個体もいます。鳴き声には、メスへのアピールや、縄張り主張の意味合いがあるようです。オスが複数いる飼育環境では、1羽が鳴くと他の個体も釣られて鳴くので、一番よく鳴く個体を鳴き声の届かない場所に隔離することで、他の個体の鳴き声が止みます。
隔離したオスが1羽で鳴き続けるようであれば、自分の姿が映るように鏡を置くと落ち着くことがあります。また、オスは身体を伸ばして鳴き声を上げる習性があるので、飼育ケージの天井をウズラが背伸びできないぐらいの高さまで低くすると改善するようです。
オスの鳴き声が止まずうるさい場合は、エサの量を減らすと改善することがあります。オスとメスを区分けした上で、オスのエサの量を通常の7割〜半分程度にまで減らしてください。減らしすぎると体調に影響するので、食餌制限は体重に注意してください。
鳴き声対策で一番効果的なのは、一番よく鳴く個体を隔離した上で、番(つがい)のメスをあてがってやることです。他の個体から隔離し、60cm水槽ぐらいのスペースでメスとペアにして飼育することでまったく鳴かなくなるまで改善します。同じ飼育ケース内に置かなくても、ガラス越しでメスが視界に入れば落ち着きます。
オスの飼育スペースにダッチワイフ的なもの(丸めた靴下やハンドタオルなど)を置いておくとそこにアカクロをこすりつけて射精します。充てがうメスがいなければ、オス2匹で飼育することで落ち着いた事例もありますが、オス同士で交尾するのであまりおすすめはしません。
【メスの産卵抑制】
並ウズラは卵を多く産むように改良された品種です。インコに対して行うような疑似卵を抱かたり、巣材を撤去するなどの産卵コントロールはうまく機能しません。
並ウズラに有効な産卵コントロール法には食餌制限があります。エサのうち特に炭水化物(糖質)の量が産卵数に大きく影響します。エサを与えすぎたり、エサ中の炭水化物比率が高いとほぼ毎日放卵します。
産卵数を減らしたい場合は、エサの量を減らしたり、エサ中に低カロリーな籾殻などを混ぜるのが有効です。体重が減少すると体重維持のためのカロリー消費が優先され、産卵に必要なエネルギーが不足し産卵数が減少します。
メスに不断給餌でエサを与えると概ね20グラム程度を消費しますが、これをオスの消費量10グラムに近づけていきます。いきなり半分にするのは危険なので徐々に減らしていき、体重の減らないギリギリのラインまでエサの量を減らしてやると産卵数が減少します。なお、エサに10%程度の茶葉を混ぜることで排卵率が低下するとの研究データもあります。
ただし、必要以上に食餌制限をすると、ストレスで他の個体を攻撃するツツキ行動が増えたり、カルシウムなどの栄養不足で軟卵を産んだり、卵づまりを起こす可能性もあるので注意してください。
なお、タンパク質量は卵の大きさや重量に作用するもので、産卵制限を目的にタンパク質比率や量を減らしても産卵数には大きな影響は与えません。卵=タンパク質という思い込みでエサ中のタンパク質の量を減らせば産卵数が減ると誤解している方がいますが、実際は卵1個中のタンパク質の割合は脂肪と同程度の8〜10%程度しかありません。
そのほか、野生のウズラは日照時間の少ない冬場は3ヶ月程度卵を産みません。夏場でも日光の当たる時間を減らすことで産卵数をコントロールできます。照度(明るさ)と産卵性の関係では、照度が高くなる(明るくなる)に伴い産卵率は高くなります。室内飼育する際は、夜間はカバーを掛けるなどしてやるとメスの余計な産卵をある程度は抑えることができるようです。
【ウズラの羽切り】
ウズラは羽ばたくと3〜4メートルの高さまで飛びます。屋外飼育の場合、ネットを張っていてもすき間から飛び出す可能性もあります。室内飼いでも、羽ばたくとケージの屋根に頭をぶつけるとケガをするので、対策として羽の一部を切り落とす「羽切り(クリッピング)」をする必要があります。
羽切りは、風切り羽をハサミで切り落としますが、いくつかの方法があります。ひとつは羽先をバッサリいく方法ですが、血管を切ると出血する可能性もあるので、ここでは羽軸を残したクリッピングを紹介します。
風切り羽の初烈風切羽(外側の羽)を羽軸を残してハサミでカットします。外側から4〜5枚をカットしておけば大丈夫です。羽軸をカットすると出血することがあるので注意してください。
上記の処置で大きく羽ばたくことはなくなりますが、それでも1〜2メートル程度はジャンプします。まったく飛ばなくするには、さらに内側の羽をカットしたり、羽軸をバッサリカットする必要が出てきます。カットした羽は時間が経過するとまた生えてくるので、定期的にクリッピングするようにしてください。
【ウズラの寿命】
野生のウズラの寿命は1年程度と言われていますが、これは9割のウズラが捕食者に食べられてしまうからです。ペットとして正しい環境で飼育すれば通常4〜5年は生きます。長生きのケースで9年生きたウズラもいます。オスとメスでは、オフのほうが長生きするようです。メスは産卵が多いぶん寿命に影響するのかもしれません。
寿命は、エサや飼育環境、ストレス、遺伝など様々な要因が影響します。正しいエサを与えても遺伝的要因などが原因で数年で死ぬこともありますし、いい加減な飼い方でも長生きする個体もいます。
【ウズラの天敵】
人工飼育下では、ネズミ、ネコ、キツネ、ヘビ、カラスなどがウズラの捕食者になります。屋外飼育する際は、これらの動物が侵入しないように注意してください。室内でもネズミが侵入するケースはあるので糞を見つけたら早急な対策が必要です。都市部でもカラスやネズミは出没するので注意してください。特にカラスは賢い動物で、防鳥ネットを捲ったり、飼育カゴのトビラをクチバシで器用に開けたりして侵入してきます。
【イジメ、ケンカ】
ウズラは、仲間同士でケンカやイジメをする攻撃的な鳥です。多頭飼いをしていると、仲間の目や頭部、クチバシや羽を突いたり、羽を毟ったりすることがあります。流血したり、場合によっては仲間を殺すこともあります。オス同士のケンカが多いですが、メスでも攻撃的な個体もいます。
オスは、日光が当たると闘争心が増し、他の個体に対して一層攻撃的になります。直射日光の当たる量を抑えることである程度おとなしくなるようです。ウズラには、血など赤いものを見ると突く習性があるので、流血しているウズラがいたらすぐに群れから離し、別ケージで保護してください。
こうした行為の原因は多くがストレス(交尾によるメスのハゲは除く)なので、早めにストレスを取り除いてください。
主なストレスの原因と対策
・飼育スペースが狭い
→スペースを広げる
・縄張り争い
→エサ場や水やり場の場所を変える
→ブロックなど置いて逃げ場、隠れ家をつくる
・新入りイジメ
→同時期に生まれた個体以外は別の場所で育てる
・オスの本能、繁殖期
→日照量を減らす
→オスとメスをつがいにしてやる。
→オスの成鳥同士を同じケージに入れない
・エサ不足
→エサの量を増やす
→エサ場を増やす
→ビタミン剤、カルシウムなど不足している栄養を補充する
→タンパク質や塩分、食物繊維の比率を上げる
→炭水化物、糖質の比率を下げる
→ペレット給餌を粉エサに変える
・ダニやノミ、病気
→砂浴びをさせて清潔な状態を保つ
→ダニ避けスプレーを使う
・刺激の欠如、退屈
→突いたり、飛んだりできる遊び道具を入れる
→ミルワーム(生き餌)を与える
→小枝や葉っぱを入れる
→突ける野菜を与える
→カトルボーンを設置する
・風が吹く環境
→風除けを設ける
・暑すぎ、寒すぎ
→空調設備、ヒーター等で適温に近づける
・雨や霜など天候の変化
→濡れないよう屋根を設置する
→隠れ家、小屋をつくる
◯心構え編
◯孵化編
◯ヒナ飼育編
◯エサ編
◯エサ編(ウソホント)
〇グッズ編
◯いろいろ編
◯1ヶ月経過編
◯2ヶ月経過編
並ウズラは生後40から50日で性成熟を迎え、メスは産卵を開始し、オスは発情期に入ります。この頃から、メスの気を引こうとオスが大きな声で鳴きはじめます。オスは総排泄腔の下部(尻尾側)にある陰嚢(いわゆるキンタマ)が赤く膨れ、内部から泡状の精液を分泌するようになります。ヒメウズラは野生種のためか並ウズラよりは性成熟が遅く、2ヶ月経過したあたりでオスの発情が始まり、65〜70日目あたりでメスが産卵を始めます。
シェービングクリームのような精液
交尾(クロアカキス、クロアカ=総排泄腔)は、オスがメスの総排泄腔内に精液を射精しておこないます。この時、メスが動かないように、オスはメスの後頭部の毛をクチバシで咥えます、発情期に入ると多くのメスの後頭部の羽が抜け、後頭部がハゲあがった姿を目にするようになります。
ヒメウズラの交尾
メスは気の毒なぐらいハゲます
産卵期に入ったメスは、はじめのうちは無精卵を産みます。交配した翌々日から有精卵を産みはじめますが、はじめの1週間程度は受精率が安定せず、1週間を過ぎたあたりから安定し、有精卵の割合が高くなってきます。
産卵時間については、ニワトリは午前中に卵を産むことが多いですが、ウズラの場合は、日没の3〜4時間前に集中します。夏場であれば、午後7時頃に日が落ちますから、午後3〜4時ごろに産卵します。
【ウズラの抱卵】
基本的に並ウズラのメスは卵を温めません。鳥類はある程度の数の卵を産むとお腹のあたりの羽が抜け落ちて、皮膚からの体温で卵を温めます。しかし、ウズラやニワトリのような家禽は品種改良の過程でこのような本能が欠けています。この本能を「就巣性」と呼びます。就巣性の喪失は遺伝子の変異で起きたものなので、並ウズラのメスが卵を温めることはありません。
ヒメウズラについては、就巣性が残っているので、ある程度卵が集まれば抱卵を始めることがあります。抱卵させれば自分で卵を孵化してくれますが、個体によっては途中で抱卵をやめたり、そもそも抱卵しないことも珍しくありません。
【オスの発情】
オスの発情要素には、日照量、温度、湿度、エサの量などが影響すると言われています。群れの中でオスが発情期に入ると、大きな声で鳴いたり、他の個体に攻撃したりするような場面が増えてきます。
ヒメウズラの交尾
オスとメスを分けた上で、食餌制限をすることである程度発情を抑えることができるようです。発情に影響するホルモンの1つであるエストロゲンを抑制する物質には、緑茶に含まれるカテキンや、キャベツ、ブロッコリーに含まれる亜鉛が挙げられます。
【鳴き声対策】
発情期に入るとオスの大きな鳴き声も悩みのタネです。鳴き声には個体差(個性)があり、一日中鳴き続ける個体もあれば、ほとんど鳴かない個体もいます。鳴き声には、メスへのアピールや、縄張り主張の意味合いがあるようです。オスが複数いる飼育環境では、1羽が鳴くと他の個体も釣られて鳴くので、一番よく鳴く個体を鳴き声の届かない場所に隔離することで、他の個体の鳴き声が止みます。
隔離したオスが1羽で鳴き続けるようであれば、自分の姿が映るように鏡を置くと落ち着くことがあります。また、オスは身体を伸ばして鳴き声を上げる習性があるので、飼育ケージの天井をウズラが背伸びできないぐらいの高さまで低くすると改善するようです。
オスの鳴き声が止まずうるさい場合は、エサの量を減らすと改善することがあります。オスとメスを区分けした上で、オスのエサの量を通常の7割〜半分程度にまで減らしてください。減らしすぎると体調に影響するので、食餌制限は体重に注意してください。
オスの飼育スペースにダッチワイフ的なもの(丸めた靴下やハンドタオルなど)を置いておくとそこにアカクロをこすりつけて射精します。充てがうメスがいなければ、オス2匹で飼育することで落ち着いた事例もありますが、オス同士で交尾するのであまりおすすめはしません。
【メスの産卵抑制】
並ウズラは卵を多く産むように改良された品種です。インコに対して行うような疑似卵を抱かたり、巣材を撤去するなどの産卵コントロールはうまく機能しません。
並ウズラに有効な産卵コントロール法には食餌制限があります。エサのうち特に炭水化物(糖質)の量が産卵数に大きく影響します。エサを与えすぎたり、エサ中の炭水化物比率が高いとほぼ毎日放卵します。
産卵数を減らしたい場合は、エサの量を減らしたり、エサ中に低カロリーな籾殻などを混ぜるのが有効です。体重が減少すると体重維持のためのカロリー消費が優先され、産卵に必要なエネルギーが不足し産卵数が減少します。
メスに不断給餌でエサを与えると概ね20グラム程度を消費しますが、これをオスの消費量10グラムに近づけていきます。いきなり半分にするのは危険なので徐々に減らしていき、体重の減らないギリギリのラインまでエサの量を減らしてやると産卵数が減少します。なお、エサに10%程度の茶葉を混ぜることで排卵率が低下するとの研究データもあります。
ただし、必要以上に食餌制限をすると、ストレスで他の個体を攻撃するツツキ行動が増えたり、カルシウムなどの栄養不足で軟卵を産んだり、卵づまりを起こす可能性もあるので注意してください。
なお、タンパク質量は卵の大きさや重量に作用するもので、産卵制限を目的にタンパク質比率や量を減らしても産卵数には大きな影響は与えません。卵=タンパク質という思い込みでエサ中のタンパク質の量を減らせば産卵数が減ると誤解している方がいますが、実際は卵1個中のタンパク質の割合は脂肪と同程度の8〜10%程度しかありません。
そのほか、野生のウズラは日照時間の少ない冬場は3ヶ月程度卵を産みません。夏場でも日光の当たる時間を減らすことで産卵数をコントロールできます。照度(明るさ)と産卵性の関係では、照度が高くなる(明るくなる)に伴い産卵率は高くなります。室内飼育する際は、夜間はカバーを掛けるなどしてやるとメスの余計な産卵をある程度は抑えることができるようです。
【ウズラの羽切り】
ウズラは羽ばたくと3〜4メートルの高さまで飛びます。屋外飼育の場合、ネットを張っていてもすき間から飛び出す可能性もあります。室内飼いでも、羽ばたくとケージの屋根に頭をぶつけるとケガをするので、対策として羽の一部を切り落とす「羽切り(クリッピング)」をする必要があります。
羽切りは、風切り羽をハサミで切り落としますが、いくつかの方法があります。ひとつは羽先をバッサリいく方法ですが、血管を切ると出血する可能性もあるので、ここでは羽軸を残したクリッピングを紹介します。
風切り羽の初烈風切羽(外側の羽)を羽軸を残してハサミでカットします。外側から4〜5枚をカットしておけば大丈夫です。羽軸をカットすると出血することがあるので注意してください。
羽軸から左半分をカットします
4枚をカットしました
上記の処置で大きく羽ばたくことはなくなりますが、それでも1〜2メートル程度はジャンプします。まったく飛ばなくするには、さらに内側の羽をカットしたり、羽軸をバッサリカットする必要が出てきます。カットした羽は時間が経過するとまた生えてくるので、定期的にクリッピングするようにしてください。
【ウズラの寿命】
野生のウズラの寿命は1年程度と言われていますが、これは9割のウズラが捕食者に食べられてしまうからです。ペットとして正しい環境で飼育すれば通常4〜5年は生きます。長生きのケースで9年生きたウズラもいます。オスとメスでは、オフのほうが長生きするようです。メスは産卵が多いぶん寿命に影響するのかもしれません。
寿命は、エサや飼育環境、ストレス、遺伝など様々な要因が影響します。正しいエサを与えても遺伝的要因などが原因で数年で死ぬこともありますし、いい加減な飼い方でも長生きする個体もいます。
【ウズラの天敵】
人工飼育下では、ネズミ、ネコ、キツネ、ヘビ、カラスなどがウズラの捕食者になります。屋外飼育する際は、これらの動物が侵入しないように注意してください。室内でもネズミが侵入するケースはあるので糞を見つけたら早急な対策が必要です。都市部でもカラスやネズミは出没するので注意してください。特にカラスは賢い動物で、防鳥ネットを捲ったり、飼育カゴのトビラをクチバシで器用に開けたりして侵入してきます。
【イジメ、ケンカ】
ウズラは、仲間同士でケンカやイジメをする攻撃的な鳥です。多頭飼いをしていると、仲間の目や頭部、クチバシや羽を突いたり、羽を毟ったりすることがあります。流血したり、場合によっては仲間を殺すこともあります。オス同士のケンカが多いですが、メスでも攻撃的な個体もいます。
攻撃されて丸坊主のオス
ケンカの強いオスは頭がフサフサ
こうした行為の原因は多くがストレス(交尾によるメスのハゲは除く)なので、早めにストレスを取り除いてください。
主なストレスの原因と対策
・飼育スペースが狭い
→スペースを広げる
・縄張り争い
→エサ場や水やり場の場所を変える
→ブロックなど置いて逃げ場、隠れ家をつくる
・新入りイジメ
→同時期に生まれた個体以外は別の場所で育てる
・オスの本能、繁殖期
→日照量を減らす
→オスとメスをつがいにしてやる。
→オスの成鳥同士を同じケージに入れない
・エサ不足
→エサの量を増やす
→エサ場を増やす
→ビタミン剤、カルシウムなど不足している栄養を補充する
→タンパク質や塩分、食物繊維の比率を上げる
→炭水化物、糖質の比率を下げる
→ペレット給餌を粉エサに変える
・ダニやノミ、病気
→砂浴びをさせて清潔な状態を保つ
→ダニ避けスプレーを使う
・刺激の欠如、退屈
→突いたり、飛んだりできる遊び道具を入れる
→ミルワーム(生き餌)を与える
→小枝や葉っぱを入れる
→突ける野菜を与える
→カトルボーンを設置する
・風が吹く環境
→風除けを設ける
・暑すぎ、寒すぎ
→空調設備、ヒーター等で適温に近づける
・雨や霜など天候の変化
→濡れないよう屋根を設置する
→隠れ家、小屋をつくる
◯心構え編
◯孵化編
◯ヒナ飼育編
◯エサ編
◯エサ編(ウソホント)
〇グッズ編
◯いろいろ編
◯1ヶ月経過編
◯2ヶ月経過編
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