ウズラ飼育のウソとホント 〜エサの噂を検証〜

はじめに
ウズラはキジ科の鳥です。野生のキジは雑食性で、草花や昆虫を食べて生きています。ウズラのエサにも植物と動物性タンパク質をバランス良く与えてやる必要があります。市販のウズラエサには、トウモロコシや大豆などの植物性の原料と、魚粉など動物性の原料とが配合されています。一方で、インコやオウムは『草食性』の鳥で、虫など動物性タンパク質を摂取しません。このため、オウム、インコのエサには魚粉のような動物性タンパク質は添加されていません。このような食性の違いを理解した上で、どのようなエサを与えるのがウズラにとってしあわせなのか、ネットに氾濫する情報の中身を検証、解説していきたいと思います。

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ウズラのエサは太らせる家禽用のエサで必要以上に高カロリーだからペットウズラには良くない?
→ウズラや家禽(ニワトリ)エサのカロリーはキロあたり2,800kcal程度で、他の鳥類用のエサと比較してもけっして高くありません。例えばハト用のエサは3,200kcal、オウム用は3,400kcal、小鳥用シード(殻付)は4,000kcalです。ウズラにその他の飼鳥(しちょう)用のエサを与えるとカロリーオーバーになるので、ウズラには必ずウズラ専用エサを与えるようにしましょう。

ウズラエサよりシードエサがオススメ?
シードエサ(種子類)はカロリーが高い上、ウズラの成長に必要な各種栄養素が不足しておりウズラ飼育には向きません。ウズラ専用エサには、トウモロコシなどの穀類のほかに、タンパク質を補給するための大豆ミールや各種ビタミン類、カルシウムや亜鉛などのミネラル、そのほかウズラの体内では合成できない必須アミノ酸のコリンやメチオニンなどの栄養素が添加されています。

ペットのウズラにはハトのエサを与えるとよい?
→空を飛ぶハトと地面を歩くウズラではまったく食性が異なります。ウズラエサのエネルギーはキロあたり2,800kcalですが、ハトエサは3,200kcalと高カロリーかつ炭水化物の比率が高く、ウズラに与えると脂肪肝のような病気を引き起こす原因になります。また、ハトエサのタンパク質含有量は8%程度しかなく、20%以上のタンパク質を要求するウズラには栄養が不足しています。

ウズラにはニワトリ用のエサを与えるとよい?
→同じキジ科のニワトリエサのエネルギー量は2,700kcalでウズラエサとほぼ同じです。しかし、タンパク質の含有量が15%程度で、20〜24%程度を要求するウズラエサと比べると大きく不足しています。ビタミンやミネラル、アミノ酸の含有量も家禽エサとウズラエサでは若干異なります。家禽エサは炭水化物がウズラエサに比べてカロリーベースで20%以上多いのも問題です。エネルギー源として使いきれなかった炭水化物(糖質)は最終的に脂肪としてウズラの体内に蓄積されます。ニワトリ用のエサを使う場合は、ミルワームなどを与えてタンパク質を補充するとともに、エサの与えすぎにならないよう注意してください。

ヒメウズラには専用のドリーム姫がいい?
→ウズラ大学のドリーム姫についても一言。姫ウズラ用として販売されているものですが、なんでこんなエサを売っているのか意図がわかりません。ここのドリーム姫は、①並ウズラ用のエサ(ウズラ農家が使っている飼料)500gと②9種のシード500gを混ぜたものとをヒメウズラ用のエサとして販売しています。細かな成分が記載されていないのであくまで推測の域を出ませんが、この配合ではヒメウズラには完全にカロリーオーバーです。そもそも、シード類はカロリーが高く、一般的に販売されている殻付きの小鳥用シードでは4,000kcalオーバーのものも珍しくありません。ドリーム姫に配合されている穀物をみるとどうみてもそれに近いのです。このメーカーは養鶉用の飼料を小分けにして販売しているようですが、おそらくエサの見せかけ上のタンパク質比率を落とすために、シードを半分混ぜて調整しているのでしょう。これではエサ中の糖質(炭水化物)や脂質の比率が高くなりすぎ、ウズラの健康にはマイナスというか危険なレベルです。さらに、飼料安全法ではこのようなウズラエサには成分表示をするよう義務付けられていますが、それすらありません。違法商品ということも問題です。同じウズラ飼料のバーディーウズラがキロ320円で買えることを考えるとコスパも悪いですね。ウズラ大学のエサはいろいろな種類がありますが、市販品のほうが安価で安全性も高いです。ということで、ウズラ大学のエサはオススメしません。ウズラ大学のヒメウズラ種卵を買ってみたら酷い目にあった件

家禽ウズラは高カロリーなエサを食べているため長生きできない?
→養鶉場(ウズラを飼育する場所)では、採卵用のウズラは生後1年を過ぎると産卵率が落ちるので新しいウズラと入れ替えます。古いウズラは経済的な事情で処分されるだけで、エサが原因で早死するわけではありません。殺さずに飼育を続ければペットウズラと同じように長生きできます。

エサの中に含まれる魚粉が酸化してよくない?
市販エサに含まれる輸入魚粉には抗酸化剤(エトキシキン)が添加されているので魚粉が酸化することはありません。そもそも、エサに含まれる魚粉は脂分を抽出したあとの脱脂魚粉で、もともと脂の含有量自体が少ないのです。特有のニオイ(いわゆる魚臭さ)は魚粉中に含まれるトリメチルアミンという物質に由来するものです。トリメチルアミンは、魚が生きているときに浸透圧調整で使うトリメチルアミン-N-オキシドという物質が還元(酸素を失う)されることで生成されます。トリメチルアミンに肝毒性はありません。エサに魚粉を混ぜるのは動物性タンパク質のほか、カルシウム吸収に必要なビタミンD3、必須微量元素のセレンなどを供給するためです。国産の魚粉を使っているエサでは酸化防止剤を添加していないものがありますが、そのようなエサは酸化して傷みやすいという欠点があるので注意してください。なお、ラウディブッシュなどの一部ペレットでは魚粉を使用していないため、魚臭さはありませんが、原材料に動物性タンパク質が含まれていないため、雑食性のウズラに与えると動物性タンパク質が摂取できません。

クサくないエサは安全?
→ウズラエサのニオイの原因としてエサ中に含まれる魚粉が挙げられます。魚粉はウズラが成長していく上で必要な動物性タンパク質やビタミンD3を多く含んでいますが、ニオイがクサいからと魚粉を使わないニオわないエサを与えていては、ウズラが成長に必要な動物性タンパク質が摂取できません。クサくて安全なものもあれば、クサくなくて危険なものもあります。ニオイと安全性との間に相関性はありません。

魚粉の酸化防止剤として使われているエトキシキンが危険?
→日本国内で飼料に使われる添加物は「飼料安全法」という法律で使用基準規格が厳格に定められており、エトキシキンについても使用量等が指定されています。さらに、鶏の肉や卵を人間が口にしても影響がないように「食品衛生法」でもエトキシキンの残留基準値が定められています。言い方を変えれば、こうした規制が緩いペットフードと比べれば、家禽用飼料であるウズラエサは規制が格段に厳しく、安全性が高いといえます。なお、エトキシキン不使用をアピールする商品もありますが、当然そういったエサは劣化が早くカビやそれに伴うカビ毒などが発生しやすくなります(アスコルビン酸などは効果が長期間持続しません)。海外から船便でリファー(冷蔵施設)を使わず常温で1ヶ月以上かけて輸送しているようなエサはかなりリスクが高いことも留意してください。余談ですが、エトキシキンは、国内ではリンゴや梨の変色防止用途でも広く使用されています。

ウズラが大好きなエサは安全?
→嗜好性が高いだけで安全とはいえません。シード類やミルワームなどウズラはよろこんで食べますが、どちらも脂質が多く含まれているのでよろこんで食べているだけです。嗜好性の高いエサばかりを与えているとカロリーの取り過ぎになりますし、必要な栄養が摂取できず病気になる可能性もあります。

エサの中に含まれる大豆カスに使われる処理剤がよくない?
→大豆の脱脂加工(油分を抽出する処理)に使われる処理剤のヘキサンは約70度の温度で蒸発します。ヘキサンは脱脂処理後、加熱し除去されるので脱脂大豆の中に処理剤が残ることはありません。また、仮にヘキサンが残存していたとしたも肝機能低下を起こすことはありません。

ウズラエサには薬品や添加物が入っているのでよくない?
→日本国内で販売されている成鳥用のウズラエサには基本的に抗生物質などの薬品は入っていません。ペット用のウズラエサは法律上は「飼料」の扱いになるため、飼料安全法という法律で抗生物質等の使用が禁止されています。ただし、ヒナ用のエサには細菌感染を防ぐための抗生物質が添加されている場合があります。添加物については、各種ビタミンやメチオニン、リジンなどの必須栄養素が添加されています。なお、魚粉中の酸化防止剤(エトキシキン)など原料の段階で添加物が使用されているケースもあります。輸入魚粉は運搬中火災が起きないよう酸化防止剤の添加が義務付けられているので、国産エサでも輸入魚粉を使っているものは必ず酸化防止剤が含まれています。

ウズラエサにはタンパク質が多く含まれているからよくない?
→ウズラは一般的な鳥類よりも多くのタンパク質を必要とします。特にヒナ(0-2週)のうちはエサ中に27%のタンパク質が必要とされています(国連食糧農業機関資料より)。ウズラに必要なタンパク質要求量(CP値)は国や地方自治体などの機関や飼料メーカーなどが長年かけて研究し導き出した数値です。タンパク質はウズラの血液、筋肉、臓器、羽などを構成する重要な栄養素で、毎日の産卵では10g前後の栄養素が卵として体外に排出されています。不足すれば発達に大きな影響を与えますし、代謝に影響を与え脂肪肝などの病気を引き起こす要因にもなります。タンパク質は脂肪のように体内に貯めることのできない栄養素ですから、毎日欠かさず与えるようにしてください。一部でタンパク質を多く与えると肝臓や腎臓に負担をかけ機能低下を引き起こすとする意見がありますが、タンパク質については極端に過剰な量を与えない限りは多く摂取しても問題ないとされています。

タンパク質の多いエサを与えてウズラを太らせている?
→タンパク質を摂取することで筋肉が付き増体することはありますが、体脂肪が増えることはありません。体脂肪や内臓脂肪を増やす(太らせる)原因は、炭水化物(糖質)や脂質です。人間の糖質制限ダイエットをイメージしてもらえばわかりやすいと思います。そして、タンパク質はアミノ酸に分解されることで脂肪の代謝を助ける役割があり、エサ中のタンパク質比率の高いエサのほうが脂肪が付きにくいという研究データもあります。

タンパク質の多いエサが卵を多く産ませる?
→これもよく誤解されていますが、ウズラの卵におけるタンパク質の比率は12%程度で、脂質(13%)よりも割合は低くなっています。ちなみに大半は水分です。卵=タンパク質と考えがちですが、思っているほどタンパク質の比率は高くありません。研究でも産卵率に影響するのはタンパク質ではなく、総カロリーという結果が出ています。

それでもタンパク質の少ないエサを与えたい
→タンパク質比率の低いエサはその分炭水化物(糖質)の比率が高くなります。例えば、タンパク質を減らすためにエサにシードを混ぜれば、炭水化物や脂質の摂取量を増やすことにつながります。栄養価を考えず安易に低タンパクなエサに切り替えることはおすすめしません。タンパク質摂取量を減らしたいのであれば、単純に与えるエサの量を減らせば解決します。もしくは、フスマや籾殻、茶葉などを1〜2割混ぜるという方法もあります。

ウズラのエサにはラウディブッシュを使うべき?
→ラウディブッシュは草食性のインコ用のエサで、雑食性のウズラには不向きです。特にメンテナンスタイプは3,400kcalと高カロリーで、タンパク質も不足していますし、炭水化物(糖質)は60%もカロリーオーバーになるので、使っている人はすぐに中止してください(詳しくはエサ編を読んでください)。高タンパク低カロリーなブリーダータイプでもカルシウムやビタミン類が不足します。このようなエサを与え続けると、軟卵や卵詰まりの原因になります。そもそも、ウズラ飼育がポピュラーな米国でエサにラウディブッシュを使う人はいません。米国ではウズラ専用エサは販売されていませんが、ほとんどの人はタンパク質が多く含まれたキジ(Game Bird)用のエサを使っています。ウズラにラウディブッシュを与えるのは日本だけで流行っているガラパゴスな飼育法です。

ラウディブッシュは獣医監修の安全なエサ?
これも誤解されている方が多いですが、ペレットはドッグフードやキャットフードと同じで、内容もメーカーによって千差万別です。ラウディブッシュには保存料などの添加物も多く使われていますし、ウズラ用の配合飼料と比べて安全かと言われると疑問を感じます。日本では高価なラウディブッシュですが、本国アメリカでは1.2キロのものが800円程度で手に入ります。高いお金を出してペレットを与えるのであれば、オーガニックなどもう少しグレードの高いものを与えるのがよいと思います。

でも、獣医さんがラウディブッシュを推奨していますが?
→町の獣医さんは長年ペットとして飼われているインコやオウムについては詳しいかもしれませんが、ウズラのような家禽は専門外です。インコ用に設計されたエサを特に根拠もなく成分が似ているというだけで食生の違うウズラに与えることには疑問を感じます。それよりも、農業試験場や飼料メーカーで専門家が長年の研究で蓄積したデータをもとに配合している専用エサを与えるほうが安心です。また、ペレットエサを販売することで獣医さんの懐にお金が入ることも留意すべきです。ドッグフードでも同じようなことがありますが、獣医推奨という言葉に飼い主さんが期待しているほどの意味はありません。

ペレットは低カロリーな健康食では?
ペレットが低カロリーというのは、インコに与えるシード(種子)類と比較してという意味です。飼鳥(しちょう)の分野は、家禽や犬、猫に比べて市場規模が小さいので、エサや栄養学の面での研究は大きく遅れています。従来インコ用のエサとして使われているシード類は鳥の食生を基に配合されたものですが、炭水化物や脂肪分が多くビタミンなどの栄養素が不足していることが指摘されてきました(インコにボレー娘やビタミン剤を与えるのはこのためです)。ですから、栄養バランスの取れたペレットが開発され利用されるようになりました。獣医さんが飼い鳥にペレットを薦めるのはこうした理由があるのです。しかし、古くから養分要求量の研究が進んでいるニワトリやウズラのような家禽では、ペレットより安くて、低カロリーでバランスの取れた配合飼料がすでにあるので、わざわざインコ用のペレットを使う必要はないのです。

ウズラには農家こだわりの自家配合エサがいい?
→栄養価の計算もできていない素人の配合したエサをウズラに与えるなんて考えられません。最低限、成分表ぐらいは記載されたエサを使ってください(法律では表示が義務づけられています)。自家配合と謳っているエサでも使われている原料は大半が輸入飼料です。なかには安価に入手できるという理由で米ぬかなどを混ぜているところもありますが、米ぬかは脂質が20%近く含まれ、カロリーが高いのでウズラに与えるとカロリーオーバーになります。さらに、米ぬかは不飽和脂肪酸が多く含まれるので劣化しやすい点も注意が必要です。脂質の多い高カロリーなエサを与えればウズラはよろこんで食べますが、そのようなエサを与え続けると、結果メタボになり病気を引き起こします。トンデモ系のEM菌とか波動水とか、ナントカ水とかの系統は科学的根拠のないほぼほぼインチキなので騙されないように気をつけましょう。

ウズラエサにはカルシウム補給にボレー粉を混ぜる?
→これもインコの飼い方と混同しています。シード中心のインコ用エサではボレー粉やカトルボーンでカルシウム補給をしたり、追加でビタミン剤を与える必要がありますが、ウズラエサには十分なカルシウムが入っているので、わざわざ後からボレー粉を足す必要はありません。必要以上にカルシウムを摂取させると尿量が増えたり腎臓に負担をかけるなどの影響が出ます。ボレー粉を与える場合は、エサに混ぜず、ボレー粉だけを別の容器に入れるようにしてください。

タンパク質補給にミルワームを与えるとよい?
→生ミルワームのタンパク質含有量は20%程度で、22%のタンパク質が含まれるウズラエサに追加で与えてもあまり意味はありません。さらに、ミルワームは脂質が多く含まれているので与え過ぎるとカロリーオーバーになります。タンパク質補給を目的にするなら、乾燥ミルワーム(粗タンパク質50%)をオススメします。生ミルワームはウズラの気分転換やストレス解消を目的に数匹を与える程度にしてください。

タンパク質補給に豆腐やオカラを与えるとよい?
豆腐は豆乳にニガリと呼ばれる凝固剤を添加してつくります。ニガリの主成分は塩化マグネシウムというミネラルですが、豆腐にはマグネシウムが1,000gあたり440mg、オカラでは400mgも含まれています。市販のウズラエサのマグネシウム含有量が50mgですから、豆腐やオカラを摂取させるとかなり多めのマグネシウムをウズラに摂取させることになります。過剰なミネラルは排尿量を増加させますし、マグネシウム自体にも下痢を誘発する作用があると言われています。長期間与え続けるとウズラの腎臓に大きな負担を与え、腎機能障害などの病気を引き起こす危険性があります。

◯心構え編
◯孵化編
◯ヒナ飼育編
◯エサ編
◯エサ編(ウソホント)
〇グッズ編
◯いろいろ編
◯1ヶ月経過編
◯2ヶ月経過編

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