【レビュー】5K録画対応暗視スコープNV016とSONYハンディカムナイトビジョン画質を比較してみた

双眼鏡スタイルの望遠暗視スコープNV016レビューの第三弾です。購入から3ヶ月経過しましたが、いろんな場面で活躍しているスグレモノカメラです。望遠倍率は35mm換算で250mm相当、テレコン付けて500mm相当ですが、同じく赤外線撮影機能搭載のSONYハンディカムAX-55と比較して画質はどれぐらい違うのか気になります。ということで、今回はNV016AX-55でナイトビジョン画質を比較してみました。格安中華カメラの暗視機能はSONYハンディカムにどこまで迫れるのか。それでは詳しく見ていきましょう。

※記事内動画はYouTubeで視聴できます。

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[使用した商品]

望遠暗視スコープNV016 望遠暗視スコープNV016

37-17ステップアップリング

Panasonic 2倍テレコン DMW-GTC1(※終売品)

ゴースト対策

比較の前に簡単な改造のお話です。以前のレビューでNV016のゴーストが酷いという話をしましたが解決策が見つかりました。

調べてみたところゴーストの原因となっているのはレンズ筒前面にあるレンズ保護用のプラスチック板のようです。透明のプラスチックですが品質が悪いため街灯など照明がこのプラスチック板に反射してゴーストの原因になっていたみたいです。

ということで、このプラスチック板を外すことに。ダメ元でレンズ筒に力を入れて回すと簡単に外れました。

外した状態はこんな感じです。特に接着剤などで固定はされていないようで、真っ直ぐ引っ張るだけで外せるみたいです。

あとは両面テープで貼られている保護プラスチックを内側から押し出して外すだけです。レンズは剥き出しになりますが、高価な製品でもないのでよし。

テレコンや赤外線フィルターを装着するために39-37mmステップダウンアダプターを接着剤で取り付けます。

注意点として、アロンアルファなど一部の接着剤は、成分が蒸発して接着部周辺が白くなる白化現象が起こります。特に湿度の高い夏場などは白化が起きやすいです。

成分がレンズに付着しないよう、硬化促進に対応したUV硬化タイプの接着剤がおすすめです。白化について詳しくはアロンアルファのページを参照ください。

レンズ筒を元に戻して作業完了です。レンズ部が剥き出しになるので、UVフィルターとか付けといてもいいですかね。これでゴーストはほぼ収まりました。

比較対象機種

今回、比較対象に使うのはSONYのハンディカムFDR-AX55です。1/2.5型 Exmor R CMOSセンサー搭載で、センサーの最低被写体照度はカラー9LUX、ナイトショット0LUXです。

光学20倍のズームレンズ望遠端は35mm換算で536mmということで、テレコン付けたNV016の500mmに近い値です。

2016年発売の古めの機種ですが、ナイトショット赤外線撮影対応で、ビューファインダーも搭載しているので使い勝手の良いカメラです。

なお、中華暗視スコープNV016については以前の動画やブログで詳しくレビューしているので、そちらを参照ください。動画概要欄にリンクを貼っておきます。

比較①(中距離)

場所は夜8時の旭川河川敷です。街灯のない真っ暗な場所を選んでテスト撮影です。この日は曇りで月も出ていないのでかなり暗い環境。スマホカメラで撮影するとこんな感じの場所です。

50m離れた場所にペットボトルを置いて撮影してみました。2倍テレコンを付けたNV016のカラー撮影だとこんな感じです。35mm換算で500mm相当になります。橋の照明が届くので何とかカラーで撮影できますが、光量が少ないのでノイズの多いザラザラな画質です。

ハンディカムAX-55のナイトショットモードです。撮影条件を同じにするため、隣に並べたNV016のIRライト(レベル5)を照射した状態で撮影しています。広角端だとこんな感じです。画面中央の明るく映っている箇所が赤外線LEDライトの光です。人間の目には見えません。

望遠端です。4K動画撮影時は手ブレ補正機能の都合で中心部を切り抜いて撮影するので光学30倍(804mm相当)になります。ペットボトルは映っていますが少し暗いですかね。

こちらがNV016のナイトビジョンモードです。画角は500mm相当でAX-55よりは広角寄りです。

画面を覗くとこんな感じです。真っ暗闇でもはっきりと映っているのが伝わるでしょうか。

デジタル5倍ズームにするとこんな感じです。AX-55と比べると明るく映っていますね。デジタルズームですが、5倍なら画質の劣化はそれほど気になりません。

ちなみにこちらは前回レビューした小型暗視スコープNV99Sに2倍テレコンを装着して撮影した画像です。HD画質のため解像感は劣りますが、感度はこちらのほうが高いのかNV016より暗所画質は高いですね。

場所を移して80m先の対岸にあるスワンボートを撮影です。街灯と看板の照明があるので先ほどの場所より少し明るいです。

AX-55です。やや暗めですが、ボートはしっかり映っています。奧のお店の棚の商品も確認できますね。

NV016です。AX-55より明るく映っており、お店の中もはっきり見えます。

デジタル5倍ズームです。ボートのハンドルもしっかり見えます。これだけ離れていても赤外線照明が十分に届いているようで、明るく映っていますね。

AX-55の画像をフォトショップのレベル補正で明るくしてみました。NV016と比べると、全体的に鮮明さに欠け、ノイズも多いようです。センサーの感度が低いのが影響しているのでしょう。NV016の5倍ズームのほうが画質的には上回っている印象です。

比較②(遠距離)

続いては、日にちを変えて夜の公園で100m離れた場所からベンチをそれぞれのカメラの赤外線暗視機能を使って超望遠撮影してみました。スマホカメラで撮影するとこんな感じです。道路から離れた芝生広場で街灯もないので、前回の撮影場所よりさらに暗くなります。1/8秒の低速シャッターでもほとんど写らない真っ暗な環境です。

同じくスマホカメラで動画撮影です。30fps動画撮影ではシャッタースピードの上限が最大1/30に制限されるためさらに暗くなります。街灯以外はほとんど映っていません。

それでは、NV016の画像から見ていきましょう。NV016は2倍テレコンを装着しているので、光学ズーム倍率は35mm換算で500mm相当です。まずはカラーナイトビジョンから。灯りがほとんど無いのでかなりノイズの多い画像です。

ナイトビジョンに切り替えてみました。赤外線ライトはレベル5で照射しています。カラーモードと比べるとかなり明るくきれいな画像になりました。

デジタル5倍ズームです。ベンチがハッキリと映っています。100m程度の距離なら赤外線LEDは動画撮影に必要な十分な光量を照射できるようです。

デジタルズームのため画像はやや粗いですが、暗闇で100m離れた場所がこれだけきれいに撮れれば十分満足です。

続いて、ハンディカムはどうでしょう。赤外線ライト無しだとこんな感じです。

照明の条件を同じにするため、NV016の赤外線ライトを照射します。広角端では照明の当たる中央が明るくなっているのがわかります。

望遠端までズームしていきます。ベンチがあるのはなんとなくわかりますが、画質は粗いですね。全体的に画面が暗いです。赤外線の光量がかなり不足しているようです。

NV016ではノイズはそれなりに乗っているものの、ベンチの形はもちろん塗装の剥げまで映っています。周辺の樹木もしっかり描写されているのがわかります。比べてみると、同じ赤外線光量でも、NV016ではハンディカムより明るく映っているのがわかります。

検証前は、光学ズーム倍率の高いハンディカムのほうが画質的には有利かと思いましたが、意外な結果です。50-80m程度の距離ならハンディカムでもなんとかナイトショット撮影できますが、100m以上離れると感度の低いハンディカムのセンサーでは光量がかなり不足するようです。

別のベンチにカップルが座っていたのでカメラを向けてみました。距離は100m程度です。ハンディカムは人の姿がかろうじてわかるかな程度で画質的には厳しいです。

一方、NV016は人の姿がはっきり映っています。センサーの感度が高いため、人の姿もはっきり判別できます。暗視撮影についてはNV016の圧勝といって良いでしょう。

NV016でさらに離れた場所から撮影してみました。距離は140-150mぐらいです。さすがに150m離れると倍率的には厳しいですが、輪郭程度なら判別できます。

【まとめ】

ということで、まとめです。暗視撮影では光学ズーム倍率の高いハンディカムが有利かと思っていましたが、検証してみると意外にもNV016のほうが高画質なことがわかりました。

詳しいスペックは公表されていませんが、NV016のカメラセンサーはドライブレコーダーなどに使われるもので、最低被写体照度が高いことに加え、赤外線域の感度も高くなるよう設計されていることが影響しているようです。似たような暗視スコープでセンサーのスペックが公表されているNV99Sはナイトビジョン撮影時の最低被写体照度がカラー0.001 lux、モノクロ0.0001 luxあり、NV016でも同程度の性能のセンサーが使われていると思われます。

一方、ハンディカムはナイトショット撮影時の最低被写体照度は0 luxとなっていますが、カラー撮影時の最低被写体照度が9 luxなので、カラー0.001 luxNV016と比べるとかなりセンサーの感度が低いようです。

また、家庭用ビデオカメラという性質上、カメラセンサーの赤外線域の感度はさほど重視されていないようです。夜間走行時も撮影できるよう赤外線域にも高い感度を持つよう設計されたドラレコ用センサーと比べると、赤外線域に対する感度は劣るようです。

ハンディカムのナイトショット機能を活かして100m以上の超望遠赤外線撮影をするためには、かなり光量の大きな赤外線LEDライトが必要なようです。

最後までご視聴いただきありがとうございました。このチャンネルでは赤外線撮影に関する各種話題やレビュー動画をお届けしています。動画アップ時に通知がいくのでチャンネル登録いただけるとうれしいです。

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