前回のレビューで紹介した赤外線ナイトビジョン機能搭載の望遠暗視スコープNV016が安価な割に思いのほか使えたので、追加でコンパクトタイプの商品を購入してみました。今回入手したのはNV99Sという手の平サイズの望遠暗視スコープで、NV016同様にフルカラー暗視撮影とモノクロナイトビジョン撮影に対応します。小さなボディですが性能はいかほどか。さっそく詳しくレビューしていきましょう。当チャンネルではおなじみのナイトビジョン撮影機能を使っての赤外線透け透け撮影にもチャレンジしてみたので最後までお楽しみください。
※記事内の動画はYouTubeで視聴できます
[関連記事]
【レビュー】5K録画対応暗視スコープNV016で夜の公園を覗いてみた
【レビュー】5K録画対応暗視スコープNV016で赤外線透け透け撮影してみた
[使用した商品]
【商品概要】
商品は中国の通販サイトAliexpressで見つけたナイトビジョンスコープで、NV99Sという型番の製品です。双眼鏡スタイルの暗視スコープで、カメラレンズのほかに夜間撮影用の赤外線投光器を備えています。フルカラー暗視撮影と赤外線ナイトビジョン撮影に対応しているのが特長で、35mm換算250mm相当の光学望遠レンズで撮影できます。
似たような商品が何種類かありましたが、今回はお値段の安かったTTaka7というブランドのものをチョイスです。Aliexpressでの購入で価格は6,523円。8月17日の注文で22日に到着です。
ちなみに、日本のAmazonでも同じ商品の取り扱いがあるようで、1.2万円前後で入手できます。興味のある人はどうぞ。
【商品詳細】
まずは商品についてざっくり紹介です。双眼鏡タイプの暗視スコープですが、撮影に使うカメラは単眼で、向かって左側に配置しています。レンズは単焦点で、画角が10°ということで35mm換算で250mm程度。市販のビデオカメラでいうところの10倍ぐらいの倍率です。フォーカスはマニュアルで、レンズのF値は1.2と明るいですね。
さらに、5倍までのデジタルズーム機能を搭載しているので、画質は劣化しますが最大で1250mm相当まで拡大できます。
カメラセンサーは製造メーカー不明ですが、SC8052という型番の1/4インチセンサーを搭載しています。最低被写体照度がカラー0.001 LUX、モノクロ0.0001 LUXの超高感度タイプです。
カメラレンズの隣には、3W 850nmタイプの赤外線LEDライトが搭載されており、ナイトビジョン撮影用の赤外線を照射することができます。
モニターは本体後方で、横長の3インチ(480✕870)TFT液晶です。
販売サイトのスペックを見ると、動画は4K 30fps、静止画は48MPで撮影できるとなっています。夜間撮影については、低照度カラー撮影と赤外線撮影に対応します。
バッテリー容量は1,700mAhで、充電はUSB Type Cポートから。外部バッテリーも使えます。記録はマイクロSD(TF)カードで、最大128GBまで対応します。本体サイズは9×9×5.5cmです。
【開封してみた】
それでは届いた商品を詳しく見ていきましょう。同梱品は本体のほか、Type Cケーブル、ストラップで、説明書は英語と中国語です。ケースは無し。
本体外装はアルミ合金製で、意外と高級感のある作りです。レンズ筒も金属製です。
大きさは手のひらサイズでかなりコンパクト。185g缶コーヒーくらいのサイズ感です。
重量は212グラム。手にした感じではサイズの割にずっしりとした重みです。
向かって左側がカメラレンズ、右側が赤外線LEDライトです。
カメラレンズはマニュアルフォーカスで、レンズ筒を回すとピント調整できます。フィルターネジはなし。
レンズ筒も金属製です。フレームの外径は3cmで、500円玉ぐらいの大きさ。内径は約2.8cmです。
記録はマイクロSDカード(TFカード)で最大128GBまで対応します。32GBのカードを挿すと残容量5.5時間と表示されます。1時間あたり6GBぐらいですかね。カードスロット下には充電&動作確認用のLEDがあります。
底面には1/4インチ三脚ネジ穴と充電&データ転送用のUSB Cポートが。パソコンに繋げると外部ストレージとして利用できるほか、UVC(Windows Video Class)に対応しているので、USBカメラとして認識させることも可能です。
付属のストラップは三脚ネジ穴に取り付けるタイプです。三脚ネジが塞がれるのでストラップホールがほしかったですね。
本体上部にはリセットボタンホールが、左側面には操作ボタンが配置されています。
ディスプレイは4インチ(480✕870)のTFTパネルで、そこそこ大きく、パッと見た感じでは画質も悪くないです。輝度調整には対応しません。
【操作方法】
操作方法を簡単に説明しておきます。Pボタンを3秒長押しで電源オンです。+ボタン2秒押しで撮影と再生の切り替えができます。Pボタン短押しで静止画撮影、OK短押しで動画撮影です。
+とーでデジタルズームの倍率変更(0〜4、最大5倍)ができます。OKボタンを2秒長押しするとナイトビジョンモードへ切り替えできます。
ーボタンを2秒押すと設定画面に移ります。英語、日本語など各種言語に対応します。
設定項目は、①日時②オートパワーオフ③スクリーンセーバー④言語と。
⑤50/60Hz⑥IR LED ON/OFF⑦フォーマット⑧初期化ーとなっています。設定変更は、+、ーとOKキーで操作します。
【日中撮影】
それでは実際に撮影してみましょう。撮影場所は岡山城です。スマホカメラの2倍ズーム(50mm相当)で撮るとこんな感じです。
光学レンズは単焦点で、画角(FOV)が10度ということで、35mm換算で250mm相当の画角が得られます。
撮影については、カメラレンズの反対側に操作ボタンがあるので、片手での操作はできません。ボタンが本体上部の人差し指が届く位置にあれば使いやすかったですね。このあたりの操作性はイマイチかな。
画質は想像していたより良好です。レンズ性能が良いのか、NV016よりは高画質な印象です。
Pボタンを短押しすると写真撮影です。画面左下には撮影日時が表示されますが、非表示にはできないようです。
手ぶれ補正は効かないので、遠くの被写体を撮るなら三脚は必須です。注意点として、三脚ネジ穴横にUSBポートがあるので、干渉しないよう通常より小型のプレートが必要です。写真のような20mm幅の小型プレートなら大丈夫です。
撮影はオートのため、明暗差のある場所では露出が合わない場面もあります。露出補正機能はないので、明暗差のある場所など環境によっては白飛びや黒つぶれが発生します。
液晶モニターを覗くとこんな感じです。日中でも問題なく視認できます。ただ、高精細というわけではないので、ピントの微調整は厳しいかなという印象です。
ナイトビジョンをオンにすると日中でも赤外線撮影ができます。赤外線撮影では画像はモノクロになります。
スマホと繋げるとUVCデバイスとして認識されます。スマホで画面確認しながら撮影することもできます。
【スペック詐称】
ざっくり使ってみた感じではコンパクトで好印象な製品ですが、テスト撮影をしてみていくつかの問題点を見つけました。購入を検討している人は次の点にご注意ください。
まず、動画撮影ですが、4Kではなく720P(HD)ですね。撮影した動画ファイルのプロパティを見たところ、1280✕720 30fpsのAVIファイルが生成されていました。これはかなりの残念ポイントです。画面には4Kの表示があるのですが。せめて1080Pで撮影できたら…。
次に、デジタルズームについては、+ーキーでデジタルズームの倍率変更(最大5倍)に対応しますが、写真もしくは動画撮影を開始すると強制的に1倍に戻ります。NV016のようにデジタルズームした状態での撮影・録画はできないようです。
また、静止画については、スペック表では48MPとなっていますが、実際は36MP(6928×5192)の画像が生成されます。
静止画は撮影することが無いので問題ないですが、4K動画とデジタルズーム録画に対応していないのはかなりの残念ポイントです。
【夜間撮影】
夜間撮影も試してみました。NV99Sは高感度センサーを生かしたフルカラーモードと、赤外線LEDを照射してのモノクロ赤外線モードの2種類のナイトビジョン撮影が利用できます。夜の岡山後楽園で撮影です。
まずはスマホカメラで撮影です。時刻は午後8時頃。芝生広場のあたりはかなり暗いので、人影がなんとか見えるかな程度で、ほとんど映りません。
NV99Sの動画です。フルカラーモードは、超高感度センサーの効果で夜間でも昼間のようにカラーで撮影できます。画質がやや粗くなるとはいえ、こんな暗闇でもカラー撮影できます。
ナイトビジョン(赤外線撮影)モードでは、モノクロ画像になりますが近赤外線が照射されるため、フルカラーモードと比べるとノイズの少ないきれいな画質です。
搭載の3W赤外線LEDは強力で、50mぐらいの距離なら余裕で光が届きます。発光部はわずかに赤く光っているかな程度です。ナイトビジョンモードでもLEDのオン・オフはできます。赤外線LEDは光量が一定で、照射範囲を広めたり狭めたりはできません。
日にちを変えて夜の公園でも撮影してみました。街灯の無いかなり暗い場所のため、ナイトビジョンモードで撮影です。ちょうどベンチに座っているカップルがいたのでカメラを向けてみました。被写体までの距離は30m程度です。この程度の距離なら赤外線LEDの光量は十分で、画質も上々です。もう少し倍率が欲しいかなという感じではありますが、コンパクトなのでガマンです。
注意点としては、モニターの輝度が明るいので夜間だと少し眩しいかなという印象です。輝度調整できれば良かったのですが。
【NV016と比較】
前回レビューした暗視スコープNV016とNV99Sとを簡単に比較してみましょう。NV99SのサイズはNV016の4分の1ぐらい。かなりコンパクトです。重量も半分程度です。
コンパクトなNV99Sですが、最大で5K 20fps動画撮影対応のNV016と比べると動画解像度が720Pとかなり劣ることに加えて、①デジタルズーム撮影②WiFi操作③レーザーポインター④LED光量調整⑤露出補正⑥ストラップホールなどがカットされています。
使い比べてみた感じでは、HD画質でデジタルズームが効かないのは困りものですが、コンパクトで携行しやすいのはNV99Sの大きなメリットです。性能重視ならNV016、携行性重視ならNV99Sですかね。NV99Sでアタリをつけて、NV016でしっかり撮影といった使い方が便利そうです。近い内に、両機種の画質比較もしてみましょう。
【総合評価☆☆☆☆★】
ということでまとめです。ざっくり触ってみての評価です。
マイナス面から挙げていくと、一番のザンネンポイントはやはり動画解像度が720Pと低いこと、加えてデジタルズーム撮影に対応しない点です。NV016の5倍デジタルズームは画質もそんなに劣化せず、使い勝手が良かったので同様の機能が欲しかったです。
あと、操作性がイマイチですね。片手で操作できるよう、本体上部に操作ボタンを配置して欲しかったかな。そのほか、欲をいえば電子式手ぶれ補正に対応していればです。
高評価な点としては、やはり手のひらサイズのコンパクトさです。NV016と比べるとかなり小さく、気軽に持ち出せるのが大きなメリットです。常時カバンの中に入れておいても気にならない大きさです。加えてこのサイズ感なら撮影していても怪しさが抑えられます。
夜間撮影については、カラー、ナイトビジョンともに解像度は劣りますが、十分な画質なので不満に感じることはありません。レンズ性能がよいのかフレアやゴーストもNV016ほど酷くはない印象です。遠距離撮影には不向きですが、30-50m程度の中距離では機動性の高さもあって威力を発揮するでしょう。
総合評価は、星4つですかね。動画解像度が720Pな点で星1つマイナス。やはり4Kを謳って720Pというのは萎えますね。とはいえ、このコンパクトさはかなり使い勝手が良くておすすめです。スペック詐称がなければ星5つ付けていたでしょう。わずかな光源でもフルカラー撮影できる上に、赤外線LEDと組み合わせた暗視カメラとしての性能も高く、30-50mの中距離レンジなら役に立つ場面は多いと思います。
今回は素のままでの撮影でしたが、次回動画では、IRフィルターを装着しての赤外線透け透け撮影や、2倍テレコンを装着した超望遠撮影にもチャレンジしてみます。チャンネル登録いただくと動画アップ時に通知をお届けできます。この動画がお役に立つ立ったらいいねいただけるとうれしいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿