【HDCPとは?】
まずはHDCPについて簡単に解説しておきます。ざっくり言えばコピーガードの1つです。一昔前は、ビデオとテレビを繋ぐケーブルといえば赤白黄色のアナログケーブルが主流でしたが、最近はほとんどの機種でHDMIケーブルが使われています。
このケーブルを伝わってデジタルデータが送られるわけですが、生データを送ると簡単にデータがコピーされてしまうということで、データのやりとりを暗号化したのがHDCPです。High-bandwidth Digital Content Protectionの略で、日本語にすると高帯域デジタルコンテンツ保護みたいな感じですかね。策定したのはintelさん。
仕組みとしては、例えば、HDDレコーダーからテレビにデータを送る際に、送信側(レコーダー)と受信側(テレビ)との間で暗号鍵のやり取りを行い、確認できたときだけデータが送信されるというもの。HDCP対応機器同士であればデータのやりとりができますが、非対応機器だと受け取ることができなくなります。
要するに、不正コピー禁止組合(DCP LLC)みたいなものがあって、組合に加盟したメーカーは不正コピーができない機器を販売することが義務付けられる代わりにHDCPの鍵を発行してもらえます。加盟していない野良メーカーの受信機は鍵がないので映像が受信できません(映らない)。
【HDCPのキャプチャー】
ということで、HDDレコーダーやAmazon Fire TVなどHDCP規格の映像ソースをキャプチャーカードに繋げると、①HDCP非対応のキャプチャーカード(野良キャプチャーカード)では、暗号鍵を持たないため画像を表示できない②HDCP対応のキャプチャーカード(DCP LLC加盟)では画像は表示されるがキャプチャーはできない(ハードメーカーが制限をかけている)ーのいずれかになります。
例えば、Fire TVをキャプチャーカードに繋げて録画しようとすると写真のような警告が出ます。HDCPでプロテクトされたビデオはキャプチャーできません。
【HDCP1.4のマスターキー漏れる】
ところが、2010年にこのHDCP暗号のマスターキーが開発元のintelから流出したことが発表されます。ホテルのマスターキーみたいなもんで、これさえあればどのメーカーのHDCP暗号でもカギを開けることができるみたいです。
マスターキーさえあれば、あとは簡単。テキトーな合鍵を仕込んで、受け取ったデータをHDCPかけずに生データでHDMIに流すようにしてしまえばHDCPをクラックできてしまうのです。これをHDCPクラックとかHDCP解除と呼びます。なお、HDCPパススルーというのはHDCPで暗号化したデータをそのまま他の機種に送る機能です。
【HDCP1.4解除スプリッター】
ということで、上記の仕組みを利用してHDCPをクラックしたHDMI1.4スプリッター(分配器)やキャプチャーカードが中国で出回るようになりました。それがこのブログで紹介しているHDMIスプリッターやキャプチャーカードです。
ややこしいのが、同じ外観のHDMIスプリッターでもHDCPを解除できるものとできないものがあるところ。下の2つの写真を見ると外観は同じ商品に見えますが、STOKのスプリッターはHDCP1.4に対応(最大4K 30fpsまでキャプチャ可)し、コピーガードも解除できましたが、ハル電子のはHDCP1.4には対応しておらず、キャプチャもできませんでした。同一商品に見えますが、中身が微妙に違うようです。
ラジオライフで紹介されていたKanaanのスプリッターについても、HDCP解除できるものとできないものが混在して販売されているようです。解除できるものはデコードチップみたいなものが載せてあるのかな?いずれにせよ、見た目だけでは判断できないのでご注意ください。
ここまでは最大4K 30fpsのHDCP1.4の話ですが、さらに上位規格のHDCP2.2についても最近クラックされたようです。中国国内を中心にHDCP2.2を解除できるキャプチャカードが出回っているようです。これを使えば4K UHD(4K 60fps)ソースの動画もキャプチャできます。
日本でも一部のお店が取り扱っているようで、Amazonで入手した海賊王というメーカーのキャプチャカードがHDCP2.2ソースの動画も取り込めました。ただし、出力は1080Pに制限される(最大1080P 60fpsでしかキャプチャできない)ため、どの程度のメリットがあるのかは不明です。HDCP2.2対応キャプチャカードについてはこちらでレビューしています。
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