Youtube動画の配信開始に合わせて、久しぶりにビデオキャプチャーカードを買い替えたのでご紹介です。高画質なRAWキャプチャに対応し、HDCP2.2のコピーガードを解除してくれる製品です。従来品と比較してどの程度画質が向上しているのか、さっそくレビューしていきましょう。
【商品概要】
商品は、Amazonで購入した、海賊王HDCP2.2対応 USB3.0 HDMIビデオキャプチャーボード(2023モデル)です。ビデオカメラなどHDMI出力をこの機器に挿し込み、USBケーブル経由でパソコンに繋げるとHDMIソースのビデオがキャプチャできます。接続できる映像ソースはビデオカメラ、PS5などのゲーム機、スマホなどなどHDMI出力を持つ機器です。
HDMIキャプチャカードはAVerMedia LiveGamerなど多数出ていますが、大手メーカーの製品はいずれもHDCPの規格に準拠しています。
このため、地デジチューナーなどに繋げたHDMIソースの画像は、コピーガードが働き、取り込み、録画することができません。
AmazonやAliexpressで入手できる安価な中華キャプチャーカードだと、HDCP解除に対応している製品は、HDCPのコピーガードがかかった映像ソースもキャプチャできるものがあります。
しかし、こうした製品は、USB3.0接続を謳っているにも関わらず、実際はUSB2.0で接続されているため、画質が今ひとつです。USB2.0接続では、転送レートの上限が理論値で480Mbpsに制限されるため、画像データをMJPEG形式で大きく圧縮しています。これが原因で画質が大きく劣化するのが難点でした。
今回レビューするキャプチャカードの最大の特徴は、AVerMedia LiveGamerのように正真正銘USB3.0規格に対応しているので、YUY2のような無圧縮画像で、高いビットレートでのキャプチャーが可能な点です。
今回購入したのは最大4K30fpsキャプチャー(NV12)に対応した製品です。無圧縮RGBは1080P/30fpsで、YUY2(4:2:2)とP010(4:2:0)は1080P/60fpsで、NV12(4:2:0)は4K/30fps もしくは1080P/120fpsでのキャプチャーに対応します。
【開封してみた】
ということで、商品届いたので早速開封です。商品は、キャプチャカード本体とUSB C to Aケーブル、説明書のシンプルな構成です。
本体は、①HDMI入力②HDMI出力(パススルー)③USB Type C端子⑤3.5ミリマイク端子⑥オーディオ出力端子ーがついてます。オーディオ入出力端子は、配信を行う際など、ヘッドフォンやマイクを接続するときに使用します。
取り付けは簡単です。とりあえずパナソニックのHDDレコーダーを繋げてみましょう。レコーダーのHDMIケーブルをキャプチャーカードのHDMI INに挿し込んで、付属のUSBケーブルでキャプチャカード本体とパソコン(USB3.0)を繋げるだけです。
なお、USB経由でPCモニター上に表示される画面は、動画処理の都合でコンマ数秒の遅延が生じます。PS5などを使ってゲーム画面を収録する際は、HDMIパススルー(HDMI OUT)を使って別途テレビ画面にリアルタイムの映像を出力することができます。
【OBS STUDIOインストール】
このキャプチャーカードはUVC(USB Video Class)規格に対応しているので、Windows標準のドライバで動作します。繋げるだけで映像キャプチャデバイスとして認識されるので、ドライバのインストールなど難しい設定は不要です。
キャプチャーは、UVC対応のアプリなら、Adobe Premiereのようなプロ向けからBandicamのような初心者向けまで、何でも使えます。今回は、私が普段使っている、OBS Studioという無料アプリを紹介していきます。せっかくなので、インストールからキャプチャまでの手順を紹介していきましょう。まずはOBSのサイトからアプリをダウンロードしてインストールします。
初回起動時に写真の画面が表示されます。録画のために最適化し、配信はしないを選択します。
解像度は、とりあえず1920×1080、60fpsを選択しておきます。
キャプチャ設定は、アプリ側で自動で指定してくれます。あとから変更することもできます。
【映像設定】
購入したキャプチャーカードを登録します。アプリを起動したら左下のソースウインドウ内の「+」をクリックするとリストが表示されます。
映像キャプチャデバイスをクリックします。
ソースを選択/作成ウィンドウが表示されます。新規作成で、ソース名は好きな名前を入力します。映像キャプチャデバイスのままでも大丈夫です。
映像キャプチャデバイスのプロパティウィンドウが表示されます。正常に接続されていれば、USB3.1 368videoが表示され、映像が表示されます。他のキャプチャデバイスなどが接続、表示されている場合は右側のタブをクリックし、USB3.1 368videoを選択します。
解像度/FPSタイプの設定は、通常はデバイスの既定値を選択しておけば大丈夫です。
取り込む機器の解像度やフレームレートとアプリ側の設定が一致しないと画面に映像が表示されません。その際は、カスタムを選択し、解像度等設定値を変更することで正しく表示される場合があります。USBケーブルの抜き差しやアプリの再起動なども試してください。
カスタム設定では、解像度やFPS、映像フォーマットなど値を変更できます。最大で4K/30fps、1080P/120fpsまで選べます。高画質でキャプチャーしたい場合は、YUY2など無圧縮キャプチャーを選択することもできます。
【音声設定】
続いて、音声を設定します。OBS Studioは配信用途にも使えるので、複数の音声ソースから音声を収録できます。今回はビデオキャプチャーが目的なので、レコーダーの音声だけを収録するよう設定します。まず、音声ミキサーウィンドウ左下の歯車マークをクリックします。
オーディオの詳細プロパティのモニターと出力を選択することで、キャプチャーデバイス(HDDレコーダー)の音声が聞こえるようになります。
このままでは、PCの操作音やマイクの音声も収録されるので、デスクトップ音声とマイクの横にあるスピーカーマークをクリックし、ミュート(オフ)にしておきます。これを忘れると、デスクトップの操作音など余計な音声が録音されたり、音声が二重になったりするのでご注意ください。これで準備は完了てす。アプリ上に映像ソースの画像が表示され音声が流れています。
【キャプチャー設定】
続いては、録画(キャプチャー)の設定です。キャプチャー設定は画面右下のコントロールウィンドウ内の設定から変更できます。
設定画面で出力を選択することで、録画の項目を変更できます。
初期設定では、録画フォーマットがmkvになっていますが、扱いやすいMPEG-4(mp4)に変更することをおすすめします。出力パスは保存先ですね。ひと昔前ならハードディスクの性能でコマ落ちとかありましたが、今どきのPCならまず問題ないです。
映像エンコーダは、ご使用の環境に合わせて変更してください。パソコンのグラフィックカードに搭載されたハードウェアエンコーダー(intel QSV、Nvidia NVencなど)を使ったほうがパソコンの負荷は低いです。ここでは、一般的なハードウェアエンコードのNVenc H264を選択します。
なお、ソフトウェアエンコーダーを使って細かく設定することで、より高画質なキャプチャーができますが、パソコンのスペックが高くないとコマ落ちなどが発生します。我が家のPCはスペック低いので、ハードエンコです。
これで準備完了です。キャプチャーは、右下の録画開始をクリックすればスタートします。
録画終了を押すと録画が終わります。初期設定ではビデオフォルダ内に動画が保存されます。HDCPのコピーガードは解除され、問題なく出力されています。
【比較】
それでは、今回キャプチャーした動画の画質を、安価なノーブランドの中華製品と比較してみましょう。映像ソースは、パナソニックのレコーダーを使ってDRモードで録画した1080Pの地デジ番組です。各画像はクリックすると拡大表示されます。
中華製キャプチャーカードは、キャプチャー解像度1080Pのものですが、映像ソースのフォーマットがMJPEG(圧縮)になります。PCの小さなモニター上で見た感じでは、きれいに撮れている印象です。
続いて、今回購入したUSB3.1 368の映像です。フォーマットはYUY2で無圧縮になります。録画設定はどちらも同じで、NVencのMP4(高画質)です。ぱっと見た感じでは、あまり違いがわからないですね。
スクリーンキャプチャーした画像を400%に拡大して並べるとどうでしょう。右がUSB3.1 368の無圧縮YUY2で、左が中華製カードのMJPEGです。MJPEGは全体的にぼんやりした画質です。全然違いますね。
大仏さんの顔も、USB3.1 368(右)はディテールがきれいに出ていますが、MJPEGは全体的に、くすんでいます。
こちらはドラマの1場面から。USB3.1 368(右)と比べると、MJPEGは、キルト生地の模様やコップの輪郭など潰れていますね。ブロックノイズも多いです。MJPEGならさほど劣化は無いと思っていましたが、圧縮率が高いのか、素人目でもはっきりと画質の違いがわかりますね。
朝ドラから主人公の顔のアップを。こちらもMJPEG(左)のほうが、全体的にぼんやりした印象ですね。シーンによってはそれほど画質の悪さは目立ちませんが、情報量の多い場面だと細部が破綻するような印象です。
【HDCP解除】
HDCPの制限がかかるHDDレコーダーの映像は問題なく出力されました。他の機器はどうでしょうか。いくらか映像ソースを確認してみました。
Fire TV Cubeを繋げて、Amazonプライムビデオを視聴してみましょう。
Amazonプライムの動画をPC画面上に取り込むとこんな感じです。最新作のシン・仮面ライダーです。HDCP解除されてアプリ(OBS)上に動画が表示されます。Amazonプライムビデオの動画は問題なく出力できました。
続いては、U-NEXTです。HBOのチェルノブイリです。こちらも問題なく出力されますね。
TVerも大丈夫でした。NETFLIXは契約していないので試していませんが、いろいろ試したところでは、ほとんどのソースが問題なく出力(キャプチャー)できるようです。
【4Kソース】
4Kキャプチャーにも対応しているということで、4Kソースの動画も取り込みできるか試してみました。Youtubeの4K動画です。映像ソースの設定を手動で変更します。4Kの場合、映像フォーマットがNV12になりますが、問題なく設定できました。なお、4Kキャプチャする際は、別途OBS側の出力設定も変更する必要があります。
【総合評価☆☆☆☆☆】
では評価へ。これは文句なしで星5つです。HDCPを気にすることなく、無圧縮で高画質キャプチャーできるのはうれしいですね。HDDレコーダーはもちろん、AmazonプライムビデオやU-NEXTなど、4Kソースの動画でも問題なくパソコンへ取り込みできます。現状、最強のキャプチャーカードといってよいでしょう。
マイナス点は、高めな価格ですかね。とはいえ、ASUSのTUF GAMING CAPTURE BOXやAVerMediaのLIVE GAMER EXTREMEなど、USB3.0&RAW対応で4Kキャプチャーできる機器はいずれも2〜3万円とお値段高めなので、このあたりはやむを得ないですかね。
ネット配信のようなビットレートの低い動画は、MJPEGの安価な製品でもいいのかなという気もしますが、地デジ含めてとにかく高画質でいろんな映像ソースをHDCPコピーガードを気にせずキャプチャーしたい人にはおすすめです。
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